March 06, 2012

月は無慈悲な夜の女王

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)
月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

キーワード:
 ロバート・A・ハインライン、革命、月、戦争、政治
ハインラインの古典SF小説。以下のようなあらすじとなっている。
2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。
(カバーの裏から抜粋)
今年は、SF作品を重点的に読んでいこうと思っていた。SFの古典的なものもちゃんと押さえておきたいと思い、巨匠ロバート・A・ハインラインのこの『月は無慈悲な夜の女王』を読んでみた。率直な感想を示せば、正直あまり世界観に没入できず、楽しめなかった。

あらすじなどはWikipediaにまかせよう。マイクと呼ばれる人工知能搭載のスパコンが全編を通して物語の鍵を握っている。主人公マニーは、片腕が義手のコンピュータ技師で、マイクと友達関係でもある。一コンピュータ技師であった月世界の住民のマニーは、やがて革命に巻き込まれて、月世界を独立に導いていく立場となっていく。

スパコンのマイクと主人公マニーは、月世界の電話回線を通して情報をやり取りしている。マニーが電話でMYCROFTXXXの番号をプッシュすると、月世界のどこでもマイクを呼び出すことができる。電話でプッシュするというのが、インターネットが発達した現代からしてみると違和感があるが、この作品が書かれたのは、まだインターネットの前身であるARPA NETが作られた1969年より以前の1965年だからである。なので、現在では光ファイバが当たり前となって、一般的なSFもののネットワーク像とは若干違っているが、ADSL網を利用しているのだと考えるとイメージしやすいかもしれない。

また、地球を攻撃するために月の岩石を地球に向けて射出する弾道計算のプログラミングの描写も出てくる。そのときもやはりこの時代に書かれた背景的なものが影響しており、プログラミングを『パンチする』となっている。昔のメインフレームなどはパンチカードにプログラミングしていたので、そのような描写となっているのだろう。さらには、物語中では弾道計算プログラムを紙に印刷したら数メートルにもなったともある。

このような時代背景的な部分を、一プログラマの視点から鑑賞するのもなかなか趣があってよいかもしれない。しかし、どうしても古典SF的な作品であることを考慮しても、世界観に没頭できなかった。なんというか、19世紀以前のヨーロッパを舞台とした古典文学作品を読んでいるような感覚になった。SF小説と言えど、内容的にはそんなに難しい描写はなく、一文一文はちゃんと理解できるのだけど、数ページを集中して読み続けることがなかなかできなかった。

何となく昔の翻訳っぽい文体で、どうしても古臭さというか、リズム感がおかしく感じた。単に自分自身がそのような翻訳に慣れていないからというのもあるのだけど。また、通勤時間中に主に読んでいたこともあって、1日で読み進められるページが多くて20ページくらいとなり、より長大な物語がつぎはぎになっていき、あらすじの細かいところがおろそかになっていった。

そういうこともあって、この物語のテーマ性や面白さをあまり理解できずに、最後まで読み終えることだけに注力してしまった。680ページもあるからね。読み始めたのが1月半ばくらいからだから、読了まで約2ヶ月程度かかったことになる。もっと集中して読み込めば、この世界観を面白く鑑賞できたのかもしれないが。

ハインラインの作品は『夏への扉』と『宇宙の戦士』も読んだことがあるが、『夏への扉』は読みやすくてかつ分かりやすかった。まだ3作品しか読んでいないから、ハインラインが自分と相性のよい作家かどうかの判断は保留かな。あと、最近タイムリーに以下のSF特集記事があった。『月は無慈悲な夜の女王』もちゃんと含まれている。個人的には『スノウ・クラッシュ』と『所有せざる人々』が気になる。

SF小説は読了まで若干しんどいけど、読み応えがあるし、自分のイメージ力を醸成できると思うのでおすすめ。



月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)
月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)
著者:ロバート・A. ハインライン
販売元:早川書房
(2010-03-15)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 人工知能系の作品が好きな人
  • プログラマの人
  • 戦争がテーマのSF作品を読みたい人
Amazon.co.jpで『ロバート・A・ハインライン』の他の作品を見る

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1. Posted by あけび   March 10, 2012 17:25

5 おもしろそう!
SFも結構好きです^^

2. Posted by freedom   March 11, 2012 03:20

初めましてfreedomと申します。この度「賢者の図書館 (Under Construction)」様をリンクページにてご紹介させて頂きました。

私は読書一覧ブログ2という読書内容紹介のホームページを運営しているのですが、もしよろしかったら相互リンクして頂けないでしょうか?

サイト名:読書一覧ブログ2
URL:http://shingoonline.blog.fc2.com/
リンク先アドレス:http://shingoonline.blog.fc2.com/

ご検討よろしくお願いいたします。

3. Posted by Master@ブログの中の人   March 11, 2012 11:24

>>あけびさん

コメントありがとうございます!!
自分はあんまり楽しめませんでしたが、ぜひ読んでみてください

4. Posted by Master@ブログの中の人   March 11, 2012 11:25

>>freedomさん

リンクありがとうございます

左のサイドバーの一番下に追加させていただきました

よろしくお願いします。

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