June 17, 2012

自分の仕事をつくる

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)
自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

キーワード:
 西村佳哲、仕事、デザイン、働き方、こだわり
働き方研究家にるインタビューがまとめられた本。以下のような目次となっている。
  1. 働き方がちがうから結果もちがう
  2. 他人事の仕事と「自分の仕事」
  3. 「ワーク・デザイン」の発見
  4. 補稿 10年後のインタビュー
(目次から抜粋)
自分の仕事をつくる』というタイトルには、『他人事ではないこと、他の人には肩代わりできないこと、任せないこと、任せたくないこと、ほかでもない「自分の仕事」をしよう!』という願いが強く含まれているらしい。

この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、世界が変わる方法は一人一人の「働き方」が変わることから世界が変わる可能性もあるのではないか?という問を発端とし、著者の「働き方研究家」という肩書を活かし、デザインやモノづくりに関わっている人に「あなたの働き方について聞かせてください」とインタビューしたものがまとめられた本となる。

本書でインタビューされた人たちの職業は様々。インダストリアルデザイナー、建築デザイナー、PowerBook Duo(1992年)をデザインした人やサーフボードを作っている人、プラモデルを作っている人、雑誌編集者、パン屋さんなどなど。

みなモノづくりやデザインに関わっている人なので、自分のシステム開発業という職業上、とても参考になることが多かった。それぞれに仕事、働き方にこだわりを持たれているのだなぁと思った。

そのこだわりは一緒に働く人たちであったり、仕事場であったり、道具であったり、自分の仕事として提供している価値であったりで、なるほどなぁと思うことが多かった。例えば、映画『紅の豚』に出てくるポルコの飛行機をデザインされたプラモデル会社の人の話など、なるほどと思った。
「そもそも模型なんて生活必需品ではない。僕らのような仕事がなくなったところで、誰も困りはしないでしょう。だからこそ、つくる側が楽しんでいなかったら嘘ですよね。最初から遊びの世界なんだから、馬鹿みたいに思いっきりこだわった仕事をした方がいいと思うんです。」
(pp.224-225)
このプラモデル会社のこだわりはすごいなぁと思った。ポルコの飛行機は実在しないのだけど、実際に飛ぶことができる設計になっているらしい。実物エンジンの資料を取り寄せ、そして映画に出てくるデザインに仕上げ、そこからプラモデルになるという話はとても興味ぶかかった。そういう部分を楽しまれているのだろうなと。

またグラフィックデザインをされていて、ベネトンの香水のパッケージデザインをされた人の以下の言葉。
 そして観察精度が上がると、引きずられる形で、本人のデザインの精度も高まっていく。デザインに限らず、スポーツや料理においても、模倣は基本的な上達方法だが、そのポイントはまず観察を通じたイメージ精度の向上にある
 本人の「解像度」の高さが、その人のアウトプットの質を決める。
(pp.28-29)
僕は今は、システム開発で基本設計(basic design)フェーズからの仕事をやっているけど、同じようにデザイン(設計)をする観点からこれはなんとなくそうなのかなと思った。観察というか、お客様の業務資料などから読解してシステムに落とし込むときのイメージが重要で、表面的な部分だけに終始して設計すると例外パターンを抜け漏れしたり、使いにくいシステムになってしまうだろうし。

自分自身は同じようにモノづくりに関わる仕事だから、自分の仕事ではどうだろうか?と置き換えながら考えやすかったし、そのように読むとまたいっそう自分の働き方や仕事に対する意識が深まっていくと思う。

ただ、モノづくり、デザインだけが仕事のすべてではないので、このインタビューだけがすべて正しいというわけでもなさそうだなと。自分事として仕事をしている人だけが絶対的に正しい、というわけでもなさそうだし、仕方なく「こんなもんでいいでしょ」と人を軽く扱った仕事に従事しなくてはいけない読者からの意見の手紙が最後のほうに取り上げられていた。それに対する著者の真摯な回答も載っていて、なるほどと思った。

最後に著者の仕事観を引用しておきたい。
 仕事とは、社会の中に自分を位置づけるメディアである。それは単に金銭を得るためだけの手段ではない。人間が社会的な生き物である以上、その生涯における「仕事」の重要性は変わることがないだろう。自分が価値のある存在であること、必要とされていること。こうした情報を自身に与えてくれる仕事には求心力がある。あらゆる仕事はなんらかの形で、その人を世界の中に位置づける。畑仕事のような個人作業でもそうだ。自然のサイクルの中に、自分の存在を確かめることができる。
 人はどんなに大金持ちになっても、なんらかの形で働こうとする生き物だろう。お金持ちはお金持ちなりの仕事を、自分で作り出すはずだ。それは人間か、外の世界との関わり合いを通じてしか自分が存在する実感を得ることができず、またそれを常に渇望していることを示している。
(pp.256-257)
なるどどねと思った。

今年の初めから自分自身の働き方、仕事そのものを『ハタモク』という会に参加しつつ考えるようにしている。そもそも何のために働くのか?とか、今の仕事は自分にとってどういう意味があるのか?、そもそもこの仕事で良いのか?とか、どうやったらもっと仕事で充実感を得られるだろうか?といったことなどなど。それらをずっと考えていたので、この仕事観はとても納得がいった。

最近、7年目にしてようやく自分の仕事の意義などが分かりつつあり、そして楽しめるようになってきたなと思う。それまでは本当に苦行のようで、何のために働いているのかもわからず、それは自分自身が思うように仕事で成果を出せていなかったからだろうなと。そして、考え続けながらも、仕事を辞めず今まで来て、このような本を読むととても腑に落ちることが多かったなと。

まだまだ自分で自分の仕事のこだわりとか、本質的なことは何も語れないけど、いつかこんなインタビューを受けた時に、仕事とは〜ですよとか言えるようになっていたいなぁと思った。

本書はインタビュー記事なので雑誌を読んでいるような感覚になる。実際に初出は雑誌の記事だったものだし。それぞれのインタビューが数ページまとまっているので、読みやすかった。朝の通勤電車で少しずつ読むのがよいと思う。

あと、似たような本では以下のものがおススメ。著者の仕事に関連する本は他にも何冊かあるようなので、気になるので全部読んでみようと思う。



自分の仕事をつくる (ちくま文庫)
自分の仕事をつくる (ちくま文庫)
著者:西村 佳哲
販売元:筑摩書房
(2009-02)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 働く目的を考えたい人
  • デザイン、モノづくりを仕事にしている人
  • 自分の働き方を考えたい人
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