October 08, 2012

督促OL 修行日記

督促OL 修行日記
督促OL 修行日記

キーワード:
 榎本まみ、督促、修行、感情労働、プロ意識
督促をされているOLによるストレスフルな仕事の対処法などが書かれている本。以下のような目次となっている。
  1. 01 ここは強制収容所?
  2. 02 “ブラック部署”の紅一点!
  3. 03 ストーカー疑惑と襲撃予告
  4. 04 謎の奇病に襲われる…
  5. 05 自分の身は自分で守る
  6. 06 N本、大抜擢される
  7. 07 自尊心を埋める
  8. 08 濃すぎる人間修行
  9. 09 センパイ武勇伝
  10. 10 合コンサバイバル
  11. 11 仕事からもらった武器と盾
(目次から抜粋)
著者は、僕も主催者の一人の83年会の同志で、通販会社のコールセンターで『督促(とくそく)』のお仕事をしておられる。そんな著者によって、督促のお仕事のストレスフルな状況とそれらに対処するための著者なりの工夫が示されている。ちなみに、本書で記念すべき666冊目の更新となる。また、著者のブログは以下となる。著者であるまみさんに出会うまで、『督促』というお仕事が存在することも、それがどういう仕事形態なのかも正直知らなかった。一言で言えば借金の取り立てなのだけど、『闇金ウシジマくん』のようなフィクション、違法なものではなく、健全にクレジットカード等の支払が遅れているお客さんにコールセンターから電話で入金を催促するのがお仕事のようだ。

しかし、そのお仕事は本書でまみさんも示すように、電話越しに支払いが遅れているお客さんから『ぶっ殺す!!』とか『会社に今から行くぞ!!』とか『朝っぱらから電話してくるんじゃねぇ!!』といった罵声を浴びせられ、それらのストレスによって体重が10kgも落ちたり体の調子が悪くなったり、さらには心が病んでしまうようなとてもしんどいお仕事のようだ。

タイトルに『修行日記』とあるように、まみさんがなんとか通販会社から内定をもらい、新卒入社後、あまり業務成績がよろしくない状態から、なんか工夫しながらストレスフルな仕事への打開策を模索しつつ、年間2000億円の債権を回収するまでのスゴ腕督促OLになるまでが示されている。

本書は読みやすく、そして面白くて一気読みできた!!まみさん自作の四コマ漫画も載っているし、悲惨な状況が面白おかしく書かれているが、督促のお仕事に関わらず他のお仕事にも汎用的に使えそうなテクニック、仕事の取り組み方なども示されており、とても勉強になる部分が多かった。

年間2000億円回収の異名は伊達じゃない!! 普通はそんなにしんどい仕事だと辞めるだろうと思うのだけど、辞めずに奮闘しつつ、どうやったらお客様に怒鳴られずに入金してもらうか?の工夫が随所に示されている。

その工夫をいくつか示すと、お客さんに「お金を返してください」と直接言うよりも「入金できる日はいつ?」と質問すると考えてもらうことになり、罵声を浴びせられないとか、いきなり怒鳴られた時はフリーズしてしまうので、その場合は足をつねったり、足の小指をもう片方で踏みつけて下半身を刺激するとよいとか、謝罪は何度も繰り返すと誠意が薄まるので、謝罪2に対してお礼1がよいといったものがたくさん示されている。それらは他のお仕事や日常会話でも応用できそうでもある。

何よりも素晴らしいのは、ストレスフルな仕事で自分には向いてない、世の中から嫌われる仕事で、さらには不幸になる仕事んじゃないかと思いつつも、なんとか打開策を見出そうと試行錯誤しようとする姿勢だと感じた。以下一部引用。
 仕事ってなんだろう?
 お金を稼ぐために、生活をしていくために、しなければいけないものだけど、人生にとって仕事がマイナスになっちゃダメなんじゃないの?仕事が原因で働けなくなるとか、幸せじゃなくなるというのはおかしいんじゃないだろうか。
(pp.135)
僕もこれに似たようなことはときどき考える。残業続きでしんどいときなど。まみさんの場合は、この疑問が発端となって、本書が書かれる理由の一つとなる。さらに少し長めに引用。
 でもどんなにお客さまから嫌われたって、誰かがこの仕事をやらなきゃいけない。
 とはいえ、督促の仕事をすることで、同僚が体や心に不調を来してしまうことは、やり切れなかった。
 もう少しなんとかならなかったの?もう少し負担を減らせる方法があったんじゃない?とコールセンターで働く誰かが辞めていくたびに悔しく思った。
 
 よしじゃあ、いっちょ、実験しよう、と思った。
 幸いなことに(?)私は督促は苦手だった。自分で言うのもなんだけど、心も体もボロボロだった。
 私が督促できるようになれば、お客さまに言い負かされないようになって、お金をちゃんと回収できるようになれば、そのノウハウはきっと使える。
 私の実験結果で、A子ちゃんみたいに、督促のようなストレスフルな仕事で人生を狂わされてしまう人を一人でもなくすことができたら……。その日から私の「研究」が始まった。
 待ってろよ、私から同僚をたくさん奪っていった。「督促」め、カタキは討つぞ。
(pp.136-137)
その「研究」の成果が本書となるようだ。

自分には向いていないと感じたり、ストレスが多かったりしていろいろとしんどい状況になったら、仕事を辞めるという選択肢がまず頭に思い浮かぶでしょう。その選択肢もぜんぜんありだが、しかし、辞める前に本当に自分のできることはすべてやり尽くしたか?という部分がとても重要な気がする。向いてないと思いつつも、工夫しだいで何とかなるのではないかという部分にちゃんと挑戦したか?、そのうえでどうにもならないときはさっさと辞めて次に行くべきだし。そうではないなら、心身ともに病まない程度にもうひと踏ん張りしてもいいんじゃないかとも思えてくる。まみさんと同じように。

なので、正攻法で無理なら裏道を使うとよいということも示されているし、そういう部分に試行錯誤しないまま新人さんがすぐに辞めていくのはもったいないなと、まみさんは思われているようだ。それは僕も7年目くらいになると、何となくわかるような気もする。

僕も特にやりたいプロジェクトではないところにアサインされたりして、3年目までわりとしんどい状況で、何度も仕事辞めようかと思ったけど、まだ辞めるときじゃない、まだ自分のできることはやり尽くしてないと思いつつ、踏みとどまって今に至る。かといって、まみさんほど成果を出せているわけではないけど。そして、こういう仕事への取り組み方、意識がプロとして働いていくうえでとても重要なのだと思う。それらを本書を読んで改めて気づかされて、自分もお仕事を頑張ろうと思えた。

誰でも好きな仕事、向いている仕事をすぐにできるわけではない。たとえ第1志望の会社から内定を取れても、必ずしもやりたい仕事だけができるわけではないしね。そういうときに、どうやって活路を見出していくか、そういう部分がとても勉強になった。2,3年目くらいの自分に読ませたかったと思うね。

本書は督促業界で働いている人はもちろんのこと、これから就職活動をする大学生も読むべきだと思う。世の中にはこんな仕事があるのかという部分はもちろんのこと、必ずしもやりたい仕事ができるわけではないということを知っておくためにも。

そしてさらに、すでに働き始めている入社して3年目までの人も読むといいと思う。それくらいの年次だと、仕事に迷い始めているころで、自分には合わないし転職しようかなと思い始めるころだし。

本書を読めば仕事に対する意識も変わるし、読了後はこんな大変な仕事でもがんばってやっておられる人がいるのだから、自分も頑張ろうと思える。特に明日から休み明けで、あぁ、仕事が鬱だと思うような人も、読んでみると気持ちが前向きになれるし、仕事がよりよくなるヒントが得られるかもしれない。



督促OL 修行日記
督促OL 修行日記
著者:榎本 まみ
販売元:文藝春秋
(2012-09-22)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 督促業界で働いている人
  • 就職活動中の大学生の人
  • 自分の仕事は向いていないと思っている人
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