December 02, 2012

ダイナー

ダイナー (ポプラ文庫)
ダイナー (ポプラ文庫)

キーワード:
 平山夢明、食堂、殺し屋、ハンバーガー、生きる
バイオレンス小説。以下のような目次となっている。
ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった―ある日突然落ちた、奈落でのお話。
(カバーの裏から抜粋)
次回のスゴ本オフのテーマは「食×エロ」である。そのためにテーマにあった本を選定する必要がある。しかし、「食」、「エロ」どちらもインパクトのある本を持ち合わせていなかった。そういうことをどこかで考えながら、西新宿のブックファーストの文庫新刊コーナーで、この分厚く弓湯気まで立ち込めているハンバーガーの装丁が目に入ってきた。

書店員さんの手書きポップには、「バイオレンス描写と性描写を乗り越えて最後まで読んでください。結末には不思議な感動があります!!」というようなことが書かれていた。それを信じて、そしてこのハンバーガーの装丁も気に入り、何よりも次回のスゴ本オフのテーマにぴったりのいいとこ取りの本だと思い、著者もよく知らずに買ってみた。これ1冊だけ会計をしたら、777円で当たりの予感がした。しかし、これはよくもわるくも騙された。

あらすじはそんなに深くない。30歳でわけありのオオバカナコは闇サイト経由で人の運び屋をやることになったが、ヤクザ組織につかまる。そして、いろいろ拷問を受けて、自分が埋められている途中に料理ができるからと命乞いをして、何とか助かるも、売られた場所は殺し屋たちだけが集まる会員制のダイナーだった。そこで元殺し屋のボンベロというコックのもとで、ウェイトレスとしてさまざまな殺し屋に料理を運んだり、料理の下ごしらえをしていくというお話。

これは強烈な作品だった。舞台はこのダイナー、ハンバーガーなどを出すアメリカ式の食堂だけなのだが、そこでいろんな殺し屋が出てきて、殺し屋同士のいざこざでそいつらがたくさん死んでいく。殺し屋のタイプもいろいろ。顔に傷がある男は爆殺専門、子供に肉体を改造した男は1発300万円もする化学製品を使ったり、普通にショットガンを持っている奴、ダイナーでは幼児退行をしているプロレスラーみたいな男、美女だがワイヤーで丸太を切るように惨殺する奴、毒蛇を使う女などなど。

死に方の描写も想像していると気持ち悪くなってくるくらい。液化爆薬を撃ち込まれて頭がスイカみたいに吹っ飛んだりする奴、ショットガンを咥えさせられて吹っ飛んだ奴、毒殺されて顔が変形してしまったり、首を切り落とされたり、猛犬に顔を噛みつかれている奴などなどともうお腹一杯って感じになってくる・・・。最初のほうは。

主人公のオオバカナコがやってくる前には、このダイナーには過去8人のウェイトレスが働いていたが、みな客である殺し屋に殺されて、壁の写真に飾られている。ここに来る殺し屋は「そいつが気に入らないから殺す奴もいれば、気に入ったから殺す奴もいる」とコックのボンベロが言う。売られてきたカナコの命が一番軽い場所で、一体カナコはいつどうやって殺されるのか?という異様な緊迫感が最後まである。

この殺し屋のために作られた食堂で出てくる料理は、殺し屋をおして「怪物だろ……奴は。奴は天才だろ」と言わしめる、ボンベロが作るハンバーガーとなる。まずはその調理過程の描写をみてみよう。
 ボンベロはパティを二枚、グリドルに載せるとフライ返しで軽く押し潰す。その合間にバンズに薄く蜂蜜を引き、バターを塗る。レタスやトマト、ピクルス、玉ネギなどをバンズに載せ、ドレッシングを掛ける。パティが焼きあがると厚くカットしたチーズをグリドルの上に一枚載せる。あっと言う間にチーズは液化し、周囲に流れ出す。胃がキュッとなるような香ばしい脂の匂いが立ち込める。それをフライ返しで掬うと準備万端のバンズに載せ、さらにその上にチーズを何枚も重ねた。熱々のパティが重ねたそばからチーズを溶かしていく。やがてパティと共にレタスやトマトなどの具材もチーズのコーディングで大方、隠れてしまった。物凄く贅沢なチーズの使い方だ。皿の上にまでとトロトロのチーズが溢れ出していた。
(pp.103)
ボンベロ特性の「メルティ・リッチ」のできあがり。そしてそれを注文した殺し屋に薦められて食べる、オオバカナコの描写は以下。
 わたしは串を取り、両手でバンズを掴み上げると口を思い切り開いて、真ん中のパティのあるところ目がけ、顔を突っ込んだ。なんだか嬉しくて、こんな気持ちになったのは子どもの頃、積もりたての雪に顔を埋めた時、以来だった。口の中にバンズの甘みが広がり、コクと旨味が舌と喉を圧倒した。あまりのおいしさに髪の毛が逆立った。
(pp.105)
こういう描写が惨殺な描写と交互にやってきて、しまいには後半になるにつれて空腹感が勝ってくる。そして読みながら無性に食いたくなる。マクドナルドやモスバーガーのようなチェーン店にあるようなものではなく、チーズやアボガドなど具がたっぷりでパティが分厚くて、高級路線の(゚д゚)ウマーなハンバーガーを!!!w

ということで、読み終える前に、facebookの友達経由で教えてもらったクア・アイナのアボガドチーズバーガーセット(1,500円)をかぶりついた!!!!

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もともと高級路線のハンバーガーを全く食べたことがなかったし、食いたい気持ちが最高潮に達していたので、オオバカナコのように貪った。これはこれで貴重な体験だった。冒頭でよくもわるくも騙されたというのは、よろしくないほうは、性描写などほんとどどこにも出てこなかったこと。著者のあとがきを読むと、どうやらこの作品は文庫化にあたって相当書き直しされたようだ。結末までの過程が違うらしい。書店員さんはちゃんと文庫版を読んでなかったということになる。

よろしかった点は、直感で買ったが、やはり当たりだったということ。感動したかは分からないけど、面白かった。そしてfacebook経由でいろんなハンバーガーのお薦めを得られたことか。あと、映画みたいな作品で、何かに似ているなぁと思ったら、クエンティン・タランティーノのバイオレンス作品みたいな感じだった。やたらと人が血みどろになってグロく死ぬような、あんな感じ。

500ページ以上の作品なのだけど、2章まで読み終わるころには、暴力描写に慣れてハンバーガーを無性に食いたくなり、気づけば最後まで一気読みしているだろう。高級バーガーとともにかぶりつけ!!



ダイナー (ポプラ文庫)
ダイナー (ポプラ文庫)
著者:平山 夢明
販売元:ポプラ社
(2012-10-05)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • ハンバーガーが好きな人
  • クエンティン・タランティーノ作品が好きな人
  • 食べることは生きることについて考えたい人
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1. 平山夢山���������������������  [ �������� ]   June 16, 2013 16:33

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