December 25, 2012

シャンタラム

シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)

キーワード:
 グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ、マフィア、哲学、愛、人生
最初に結論を示しておこう。これは今まで私が読んだ物語の中で確実にTOP3に入る強烈で圧倒的な物語だ!!!!!これほどの大作で夢中になって読み、そして衝撃を受けた作品は他に『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』くらいしか思い浮かばない。

この圧倒的な衝撃作に関して、私が何か言及するというのは、やはり冗長で蛇足にしかならず、これからこの物語に没入する人に対して、よけいな先入観を植え付けてしまうことになりかねない。そして、作品そのものの価値を下げてしまうのではないかという危惧がある。なので、これ以下はもう何も読む必要はなく、今なら在庫があるAmazonで上、中、下巻まとめて買うのもよし、本屋で見つけてまとめて買って読むのがよい。そのときは、やはりカバーの裏のあらすじを読んではいけない。買ったらすぐにカバーを外して保管しておくか、長方形のポストイットを張り付けて封印するのがいい。私は後者の手段をとった。

以下、完全に蛇足的な所感。

本書はスゴ本のDainさん経由で知った。今年3月に開催された新潮文庫しばりのスゴ本オフで、『これより面白いのがあったら教えてくれ』と評されていて、とても気になっていた。(ちなみに、私は『砂の女』で参戦した。)そして11月くらいに電車で読んでいる人を見かけ、Dainさんの今年のスゴ本まとめ記事(この本がスゴい!2012)を読み、さらに読みたさが増していった。さらに新潮社の中の人曰く、絶版になるのが早いかもしれないので、Amazonに在庫がなくなると、リアル書店に存在するときに買っておいたほうがよい、ということで12月に入ってリアル書店で買った。

読了に2週間かかった。有給休暇中で1日2,3時間は読めたにもかかわらず。総ページ数は上、中、下巻合わせて1,844ページという大長編。大体1ページ読むのに1分の計算で、2,000分、約30時間ほどかけて読了したのだと思われる。今はVacation中で、時間と精神に余裕があるこの時期に読めて本当に良かった。これが仕事に集中しなくてはいけない時期に読んでいると、日中仕事どころじゃなくなるだろう。続きが気になりすぎて。もしくは、無理して徹夜で読み込み、次の日の仕事に支障が出たかもしれなかった。なので、読み始めるのなら、できれば時間と精神に余裕があるときがいい。

いくら蛇足的な所感をここに示すとしても、あらすじに関わることは何も言及しないようにしておきたい。ただ、この物語は、30年前のインドのボンベイ(1995年からムンバイという名称に変更になったらしい)が舞台となっており、上巻の最初の50ページを読み進めた時にはすでにそこに立っているような感覚になる。そして、主人公リン・シャンタラムとともににスラム街から始まる圧倒的な旅をするだろう。この物語には、貧困があり、高潔さがあり、真実、暴力、裏切り、家族、友、仲間、哀しみ、空虚、憎悪、嫉妬、憤怒、恐れ、苦悶、逃避、痛み、飢餓、熱量、戦争、生きること、赦し、哲学があり、そして愛があった!!

5部42章からなるこの物語にはありとあらゆる要素が凝縮されている。ページが進むごとにさまざまな感情をリアルに喚起させられる。主人公のリン・シャンタラムの視点を通して、さまざまなことを自分もまるでそこにいるかのように疑似体験する。この圧倒的なリアルさは、著者の実体験によるところが大きい。どこまでがフィクションで、どこまでが著者の実体験なのか。その曖昧な境界に読者は引きずり込まれる、というレベルではなく、そこに半ば強制的に物語の目撃者として立たされる。

1章を読み進めるたびにかなり疲労するので、徹夜はできなかった。そもそも徹夜できるような体質でもないのだが。しかし、その1章がとても濃い内容で、アドレナリンを放出しっぱなしになり、意識的に自分を物語からログアウトするというようなことをしないと、間違いなく一気読みしてしまうタイプの物語。私はどちらかというと、行ったことも見たこともないインドの世界観、そして主人公の心情描写を隅々までイメージしながら読んだので、一気には読み進められなかった。それでも、有給休暇中とはいえ1,800ページ超のこのような作品を、ここまでの短期間で読めたことはなかったが。

1章1章が短編作品を読んでいるように事件が起こり、主人公リン・シャンタラムの心情が圧倒的な筆力で描写されている。時には力強く、時には微細に。思わず線を引きたくなるような描写が多く、それらが自分の魂に食い込んでくるような感覚だった。そして、それは翻訳が神がかかっているからであろう。主人公はマラーティー語、ヒンディー語、英語を話し、他にも多様な人種からなる登場人物により、さまざまな言語が飛び交っている。それらを違和感なく強烈に読者に訴えかけてくるような日本語に訳されているのは、すばらしいとしか言いようがない。このような外国文学作品は、翻訳がダメだと全然物語にダイブできなくなるので。

もうこれ以上何を書いても冗長にしかならない。私は主人公、リン・シャンタラムを通して、この物語からあらゆることを学ぶことができた。これほど強烈で圧倒的な物語は、そうそう一生のうちに何度も読めるものではないだろう。読めば自分の世界観が根底から覆されるような衝撃。そして、あらゆるエネルギーに満ち溢れたボンベイのスラム街、マフィアの世界に誘われる。そう、私はここ2週間、30年前のボンベイに完全にトリップしていたのだった。



シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)
著者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ
販売元:新潮社
(2011-10-28)
販売元:Amazon.co.jp

シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)
著者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ
販売元:新潮社
(2011-10-28)
販売元:Amazon.co.jp

シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)
シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)
著者:グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ
販売元:新潮社
(2011-10-28)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 圧倒的な物語を読みたい人
  • 強烈なインドの世界観にトリップしたい人
  • 生きることについて考えたい人
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