April 29, 2013

考える生き方

考える生き方
考える生き方 [単行本(ソフトカバー)]

キーワード:
 finalvent、仕事、家族、沖縄、人生
いわゆるアルファブロガーと称されるfinalvent氏の人生観が示されている本。以下のような目次となっている。
    はじめに
  1. 第1章 社会に出て考えたこと
  2. 第2章 家族をもって考えたこと
  3. 第3章 沖縄で考えたこと
  4. 第4章 病気になって考えたこと
  5. 第5章 勉強して考えたこと
  6. 第6章 年をとって考えたこと
(目次から抜粋)
finalvent氏は極東ブログで政治のニュースや歴史の話、書評やたまに料理などの記事を精力的に更新されている。僕も読んでいるけど、ときどき政治の話とか難しくてよく分からないときがある。しかし、この本はそんなことはなかった。読みやすかった。書いてあることは目次にある通りで、一言で言えば著者のこれまでの55年の人生について。からっぽで失敗の人生だったと自ら評してはいるけど、考えていけば何とかなるというようなことが示されており、気軽に読める本だった。
 他者の評価なんてどうでもいいとまで超然とすることはないが、自分の人生はこういうものだったんだなという、人生の意味の組み替えは自分なりに考えていけばなんとかなる。
 人生は、成功はしないかもしれないけど、考えていけばなんとかなるんじゃないか。
 なんとかなって、日々、それなりに生きている実感みたいなものを考えて見つけていけたら、それでいいんじゃないか。そうした思いを書いてみたい。
(pp.6)
そんな著者のこれまでの人生に起こった挫折と失敗体験、難病を患ったり、結婚したり、沖縄に移住したり、禿てきたことにたいする辛さなどの経験が興味深く示されていた。

いろいろと線を引いた。それらをすべて示したいけど、それも無理なので、ほんの少しだけ示しておきたいと思う。でもその前に全体的に感じたことを示しておく。

なんとなく、読んでいる途中からデジャヴ感が沸き起こっていた。なんだか自分と性質が似ているのかもしれないなぁと。自分自身の人生は空っぽだったとか、空虚感が常に付きまとっていたり、意外にもプログラマーとして働いていたこともあったり、多発性硬化症という難病を患ったりなどなど、もちろん著者と自分はベクトル値は全然違うのだけど、方向性は似たものを感じた。

例えば、著者がICUの大学院生を辞めるころ、離人症のようになって精神的におかしくなってしまったというときに、カウンセリングに通ったらしい。そして、以下のように考えていたらしい。
 私の存在について誰も意味も感じていなかったと思う。こう言うことはつらいが、親や恋人ですらそうだった。世の中そういうものだろうと諦めていた。
 だから、しかたなく、本をよく読んでいたのかもしれない。本の作者や主人公が何を考えているか、一生懸命、読みながら理解しようと、彼らに傾聴していくことで、自分に与えられなかったこと、つまり自分を理解するといことを補っていた。
(pp.23-24)
僕の場合は別に誰も自分の理解者がいないとまでは思わなかったけど、それでも自分で自分がよく分からなくなって見失ってしまうから、必死で読書してきたというものがある。大学生のころからそうで、社会人になって余計に訳が分からなくなって、だからこんな読書ブログを始めて、結果的に今まで継続することにもなった。

また、著者は4人目の子供が生まれるころに、多発性硬化症を患ったらしい。この病気は難病指定で、治ることなく、治療法もないらしく、発覚当初、人生、終わったなという感じがしたらしい。そして難病になって、心が豊かになったということも、人間的な成長も特に感じなかったけど、難病者という視点から世界や人間関係を見られるようになったという部分などもなるほどと思った。こういう部分も割と自分と似ているなぁと思った。もちろん、程度の差はあるのだけど。

本書で示されていることがすべてが手放しで共感できるということはない。結婚して、子供も4人いて、アルファブロガーとしてネット界に認知されていて、さらに難病発症時に支ええてくれる家族がいて幸せだと明記しているのに、自分の人生はからっぽで失敗だった、と「はじめに」に書いてしまう部分などは、それはどうかと思ったり。きっと読んだ人の大部分はそこに突っ込みたくはなるだろう。でもこれらは客観的に他人がどうこう言える部分でもないんだろうなと思う。そういう主観的なものは、きっと本人にしか分からない領域があるのだと思う。それは僕も同じ。

他には著者の勉強観などが参考になった。ICU卒という背景から、英語の学習法とかリベラルアーツの重要性などなど。著者が何に興味関心を持って勉強してきたのかがよく分かり、そしてそれが極東ブログの記事に色濃く反映されているのだなと思った。リベラルアーツ教育の一つの要素として、文学を学ぶ重要性が以下のように示されていた。
 恋愛などをうたいあげる文学はえてして若い人のように思われているが、文学が本当の意味をもつのは、むしろ仕事に脂がのる30代、40代からだ。仕事もできて世の中のお金も動かせるようになり、性的にも成熟したとき、若い日とは違う恋愛に出会うこともある。きれい事ばかりではすまない人生のなかで、ふと悪に手を染めることもある。友だちを裏切り、死に追い詰めることもあるかもしれない。人間が生きているかぎり、どうしようもない問題と、その背後に潜む妖しいほどの美がある。それに真正面からぶつかっていくには、文学を深く理解する力が必要になる。安っぽい道徳や単純に信仰だけを強いるような宗教では乗り越えられはしない人生に残るのは、人間の学たる人文学である。
(pp.250-251)
なるほどねと思った。結局、自分自身、家族とか地域のコミュニティ、会社、国家と枠を広げていっても、それらを構成するのは人なのだから、人に対する理解が重要なんだなとも思った。でもそこまで気負って文学作品を読まなくてはならないということもないけどね。

人生って何だろうと昔から考え続けてきたから、自分より長く生きてきた人の人生観はとても参考になる。ただ、現在29歳という年齢で著者ほど長く考え続けてきたわけではないけど、自分なりに言えることは、人生は考えるため「だけ」にあるわけじゃないということ。もちろん随時考えることはとても大切だけど、それだけではなく、ちゃんと日々を生きるということが大切なんだなと思った。つまり、考えているだけで、過去に思いを巡らせて後悔したり、未来をいかに生きるべきかということだけを考えすぎて、今を生きていないのはよろしくないなということ。とても抽象的な話ではあるけれど。

自分の人生って何だろう?と考えたい人にはいろいろとヒントになる部分が多い。ただ、答えはどこにも書いてない。当たり前だけど。



考える生き方
考える生き方 [単行本(ソフトカバー)]
著者:finalvent
出版:ダイヤモンド社
(2013-02-21)

読むべき人:
  • 自分には何もないと思っている人
  • 難病を患っている人
  • 自分の人生について考えてみたい人
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