January 19, 2014

[実践]小説教室

キーワード:
 根本昌夫、小説、小説家、読み方、世界
編集者による小説の書き方、読み方本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 小説とは何ですか?
  2. 第2章 書いてみよう
  3. 第3章 読んで深く味わおう
  4. 人はなぜ小説を書くのか―あとがきにかえて
  5. 巻末対談 角田光代×根本昌夫―ゆっくりと、信じたいものを書く
(目次から抜粋)
著者は『海燕』、『野生時代』の編集長を歴任し、小説教室の講座を開催し、新人賞を受賞する作家を読み出したり、島田雅彦、よしもとばなな、小川洋子、角田光代のデビューに立ち会ったらしい。そんな著者によって、小説の本質、小説の書き方、作家デビューの方法、そして小説の読み方、小説を書く意義などが示されている。

こういう小説の書き方指南本は、小説家デビューを目指す人だけが読むような感じではあるが、そうではない、一読者としても楽しめてかつ勉強になる部分が多い。とはいえ、やはり最初は小説家になるにはどうすればいいのか?というところが興味深く読めた。小説家になるには特異な体験よりも、何よりも「やる気」と「情熱」が必要で、どんなに仕事が忙しくても1日1時間は小説について考えられないとダメらしい。

また、小説家は破天荒なイメージがあるけど、一般的には常識人が多く、仕事ができて社会生活をちゃんとやっていける柔軟性がある人は、小説を書かせても一定水準のものを書けるらしい。そして、小説家を目指すなら、小説は当然たくさん読むべきで、特定のジャンルに偏ることなく、幅広く読むのがよいらしい。純文学志向の人はエンタメ系を、エンタメ志向の人は純文学を努めて読むとよいらしい。

一読者としてとても勉強になるのは、やはり小説の読み方の部分。著者曰く、いい小説には「構造」と「重要性」があるようだ。作品解説として村上春樹の『海辺のカフカ』が取り上げられており、村上春樹の小説が国境を越えて支持されているのは構造がしっかりしているかららしい。『海辺のカフカ』はもちろん読んだことはあるので、この著者の読み方はかなり勉強になった。漠然と物語の表面的な部分だけを追っていたのでは気づかないような内容だった。

あと、小説などの物語構造をしっかり把握できるようになると、もしかしたらシステム開発時に対象業務の構造を抑えてシステムに落とし込むとか、大規模で複雑な既存システムの構造を理解するのにも役に立つんではないかなと思った。

最後に小説を書くことの意義が箇条書きでまとめられているので、そこを引用しておこう。
  • 小説を自分で書いてみることで、小説を書くこと、そして読むことの面白さが各段に増してくる。
  • 小説を書いてみることで、過去のある一点から、自分の人生を生き直すことができる。
  • 小説を書くことで、新しい世界が開け、自分が世界そのものなんだ、世界と一体なんだという感覚に目覚めていく。
    (pp.239-240)
別にプロ作家を目指さなくても気軽に小説を書いてみればいいんじゃないかという感じがした。

小説の書き方を知っていること、実際に書いてみることで世の中に出版されている作品がどうスゴいのかがより感覚的に分かるのだろうね。それは、例えば映画のメイキング映像を見て、どうやって撮られているかを知ることで、より映画を注意深く見れるし、他にも絵画でもどういう技法で描かれているかが分かると、他の作品、作家、時代を比較してより深く鑑賞できるのと同じだなと思った。

小説家になりたい人、小説をより深く楽しみたい人にはおススメ。




読むべき人:
  • 小説家になりたい人
  • もっと深く小説を読みたい人
  • 自分の人生を生き直したい人
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