January 30, 2014

007 白紙委任状

キーワード:
 ジェフリー・ディーヴァー、007、テロ、ゴミ、使命感
ジェフリー・ディーヴァーによる新たなジェームズ・ボンドが活躍する小説。以下のようなあらすじとなっている。
20日金曜夜の計画を確認。当日の死傷者は数千に上る見込み。
イギリスの国益にも打撃が予想される。

 イギリス政府通信本部が傍受したEメール――それは大規模な攻撃計画が進行していることを告げていた。金曜まで6日。それまでに敵組織を特定し、計画を阻止しなくてはならない。
 緊急指令が発せられた。それを受けた男の名はジェームズ・ボンド、暗号名007。ミッション達成のためにはいかなる手段も容認する白紙委任状が彼に渡された。攻撃計画の鍵を握る謎の男アイリッシュマンを追ってボンドはセルビアに飛ぶが、精緻な計画と臨機応変の才を持つアイリッシュマンはボンドの手を逃れ続ける……
 セルビアからロンドン、ドバイ、南アフリカへ。決死の追撃の果てに明らかになる大胆不敵な陰謀の全貌とは?
(Amazonの商品の説明から抜粋)
007の大元の原作者はイアン・フレミングである。その作品をもとに一部映画化されており、現在まで007シリーズは全23作まで作られている。映画は初代ボンドのショーン・コネリーの『ドクター・ノオ』から23作目のダニエル・クレイグボンドの『スカイフォール』まで全部視聴済み。しかし、原作小説は一度も読んだことがなかった。

最近図書館に通うことにしたので、近所の徒歩15分ほどの図書館で本書を発見した。以前から本屋で見かけて気にはなっていたが、ハードカバーで高いなぁと思って特に買ったりしなかった。しかし、近所の小規模な図書館でこれを見つけた時に、これは!!と思って真っ先にこれを借りた。そしてなんとか貸し出し期限の2週間以内で読了できた。小説の中でも映画のようなジェームズ・ボンドが活躍していてかなりおもしろかった。ちなみに、この作品で文学作品カテゴリ100冊目となる。

著者のジェフェリー・ディーヴァーもあまり知らず、他の作品も読んだことはない。どうやら映画、『ボーン・コレクター』などの原作者らしい。イアン・フレミングのほうも読んだことがないので、単純に過去のジェームズ・ボンド像とどう違うのかはわからない。せいぜい映画から受ける印象とこの作品を読んだ印象の違いのみしか分からない。

この作品の舞台はアメリカの9.11テロが起こった後のiPhoneが存在する時代となる。この作品ではジェームズ・ボンドの所属はMI6ではなく、海外開発グループという組織の00セクションとなる。この組織は物語中に出てくるMI5やMI6など実在の英国の諜報機関とは違い、架空の組織となっている。ここに属するまでの逸話、Mとの出会い、なぜこの海外開発グループが存在するか?といった背景もしっかり描写されている。

そして、タイトルの『白紙委任状(carte blanche(仏語))』というのは、簡単に言えば、国外での捜査、調査権限を全面にジェームズ・ボンドに任せるというような内容。そのためには手段は問わず、というような感じだが、英国国内の諜報活動などはMI5などの管轄となって、行動が制限されるようだ。本書のジェームズ・ボンド像は、30代前半で体重78キロ、黒髪で右頬に8センチほどの傷痕がある。元海軍予備中佐階級で殺しのライセンス(00)を持つエージェントである。このボンド像はきっと映画の歴代ボンドの誰にも当てはまらない、新生ボンドとして脳内でイメージしながら読んだ。でもところどころダニエル・グレイグが近いかなと思ってイメージした。

愛車はベントレー・コンチネンタルGT、時計はロレックス、軍所属時は射撃の腕で表彰されるほどで、ロッククライミング、スキーが得意なスポーツで、語学の才能もあり、ロシア語は原文で読めて、毎日10キロのランニングを欠かさず、ワインにも詳しく、ドライビングテクニックは一流で、システマをベースとした格闘もでき、当然頭脳も優れており、さらには魅力的な女性とのウィットに富んだ会話で相手を惹きつける。

そんなジェームズ・ボンドが映画でも見ているように脳内で映像化されてくる。お決まりのウォッカマティーニの注文のセリフ『ステアではなくシェイクで(「Vodka Martini, Shaken, not stirred.)』といった部分やQによるiPhone型の盗聴器やのどスプレー?型の小型カメラなどのガジェットも出てくるし、当然ボンドカーも出てくるし、ボンドガールのような女性キャラも出てきて、ジェームズ・ボンドはセルビア、英国、ドバイ、アフリカと黒幕を探し出すために世界を飛び回り、銃撃、格闘シーンなどもしっかり描写されている。

映画だけに関しては、ダニエル・クレイグ以前の007作品はどう見てもコメディ調なスパイアクション映画なのだけど、それ以降の作品はよりシリアスな展開となっている。特に物語の深さがスカイフォールで現れていたと思う。つまり、なぜジェームズ・ボンドは007の使命を果たすのか!?という意識的な部分がより描かれていた。それがこの小説でも2段組み400ページ超の長さの間に描かれており、単純なエンタメ作品に終始していないのがよかった。

ついつい映画などを見ていると、トムフォードのスーツに身をまとい、オメガの時計、アストンマーチンのボンドカー、ウィットに富んだセリフ、ボンドガールとの駆け引きなど表面的なところにあこがれを抱き、ロールモデルはジェーム・ボンドだ!!とか意識してしまいがちになる(どうでもいい話だけど、『慰めの報酬』公開時にコラボとしてauからガンバレットモデルのフルチェンケータイがかつて発売され、それを買ったくらい意識してたww)。

しかし、特に本書を読んで、ジェームズ・ボンドが007としての使命を果たす意識などを学べた気がする。目的のためには速攻で敵の企業と取引できるニセの人物に成りすますために必要な知識を頭に叩き込んだり、格闘術や射撃の訓練も常に必要で、外国語も数か国は軽くできなくてはいけないし、仲間の力をうまく借りたり、そして命を懸けなくてはいけない。僕も仕事でそこまでの意識で取り組むべきなのだなと思った。そこまでやるから優秀なプロフェッショナルなのだなと。もちろん死なない程度にねw

長いけどすごく読みやすくて面白かった。図書館に返すのがもったいないくらい。買って読めばよかったなと思う。そして本棚に堂々と飾っておきたいと思える作品だった。



007 白紙委任状
ジェフリー・ディーヴァー
文藝春秋
2011-10-13

読むべき人:
  • 007が好きな人
  • ロールモデルはジェームズ・ボンドな人
  • プロフェッショナルになりたい人
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