May 28, 2014

「思考」を育てる100の講義

キーワード:
 森博嗣、エッセイ、講義、人生論、持論
小説家による短編エッセイ集。以下のような目次となっている。
  1. 1限目 未来を考え、現在に生きる「人生」論
  2. 2限目 思考の盲点をつくらない「知識」論
  3. 3限目 なまった理性を研ぎすます「感情」論
  4. 4限目 疑問から本質に近づく「表現」論
  5. 5限目 客観的思考を手にする「社会」論
  6. 補論 思考に「遊び」をつくる森教授の視界
(目次から抜粋)
書店で大和書房フェアというのがあって、平積みになってたから買ってみた。たまには読みやすいエッセイで気分転換もかねて。

最初に1行のタイトルを100個考えて、それに対して2ページごとに著者の普段考えていること、過去の経験とか世の中のことに対しての持論を展開している。100個すべては挙げられないので、特に面白かったものをいくつかタイトルだけ列挙。
  • 6 ときどき、自分は何を作り出しているか、と考えてみよう。
  • 8 芸術家というのは、過去の仕事に価値が生じる職業だ。
  • 13 よく燃えるものは、早く消える。くすぶっているものは、長く燃えている。
  • 14 知識が災いすることは、知識が幸いを招くのとほぼ同じくらいの頻度。
  • 22 上手くいかないときには、必ず理由がある。それが現実というものだ。
  • 39 自信をみなぎらせる技術者は信頼できない。
  • 43 たとえば、今一番欲しいものは、三トンくらいの土である。
  • 49 なにごとも経験、というが、経験は効率が悪すぎる。
  • 73 小説を読むことが趣味だ、と言えるほど、文芸はマイナになった。
  • 84 仕事をしないことがいかに健康的かわかった。
  • 96 給料というのは、お小遣い感覚だった。
タイトルがそのままその章の結論のような内容となっている。もちろん、タイトルだけでは何のことかわからないものも多いけど。

著者の本、作品は過去に1つしか読んだことがない。ミステリー作品などもまったく読んだことはない。そんな感じなので、割とニュートラルに本書を読んだのだけど、著者の思考は割と人と変わった部分があるのかなと思った。それが普段考えたこともないような内容で、なかなか面白かった。

例えば、『30 他人の感情的評価に影響されることで、大勢が自由を失っている。』では、Amazonなどのネットレビューに関しての内容で、買おうと思っていたものの評価を見てしまい、買えなくなってしまう場合がある。その場合は、それを買おうと思っていた人にとっては、買いたいものを買えなくなったので不幸なことだとある。そして、最後に以下のように示されている。
 僕の小説の書評で、「前作を読んでいないと面白さは半減だ」と書いている人がけっこういるが、その書評を読まずに作品を読んだら、楽しみは倍増だろう。これを書いた人は、自分が前作を読んでいたから面白かった、と分析しているようだが、前作を読んだために、もっと面白い部分を見逃している。他者との出会いだって、大人になってからいきなり相手を知るのだ。過去の履歴を知らなければ、人を好きになれないものだろうか?
(pp.077)
これは考えたこともなかったな。アニメとか映画、小説のシリーズものなどはたいていは順番通りに鑑賞したい派であって、いきなり途中の巻から読んだり見たりはしないな。もしくは、割と独立しているけど、前作の続編の位置づけというものなら読まなくてもいいかもしれない。そいうとき、前作に出てきたキャラとかエピソードが不明で、面白くないのではないか?と思ってしまうので。

しかし、作品の作り手側としては、そうならないように書いているのかもしれないし、知らないほうがもしかしたら先入観なく、違う部分に面白さを感じられるのかもしれないなと。それが人間関係にまで展開されていて、言われて納得だなと。好きになれば、その人の過去、生い立ちなどを知りたいと思うけど、好きになるきっかけとしての『過去』はあまり関係ないだろうなと。

また、反対に僕も同意だなと思う部分も示しておこう。『14 知識が災いすることは、知識が幸いを招くのとほぼ同じくらいの頻度。』から。
 どんな本を読んでも、僕はなにか得られる。本を読んで、何も得られないということはありえない。得られないのは、自分で耳を塞ぎ、心を閉ざしているからだろう。
(pp.043)
さらに、読む時間に見合った得られるものの多寡があるから、損をすることもあるが、それでも得をしたいから素直な気持ちで読みたいとあった。まぁ、そうだよねと。絵本でも漫画でも軽いビジネス書なども得られるものは何かしらある。駄本だって反面教師的に学ぶことはできる。ということをたまに忘れがちなので、僕も素直でありたいと思う。なので、よほどダメな本とか内容が明らかに間違っていると断言できない限りは、このブログで酷評するようなことはない。

他の小説作品も読みたいと思ったけど、それ以上に著者の変わった考えのエッセイをもっと読んでみたいなと思った。見開き2ページごとに話題が変わっていくので、電車通勤とか細切れ読書に向いていて、気分転換に気軽に読める本だった。




読むべき人:
  • 森博嗣のファンの人
  • モノづくりが好きな人
  • 小説家が何を考えているか知りたい人
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