June 26, 2014

終りなき戦い

キーワード:
 ジョー・ホールドマン、SF、ベトナム戦争、ウラシマ効果、兵士
SFミリタリー作品。以下のようなあらすじとなっている。
画期的な新航法”コラプサー・ジャンプ”の発見により、人類の版図はいっきょに拡大した。だがその過程で、正体不明の異星人”トーラン”と遭遇、全面戦争に突入する!過酷な訓練を受け、殺人機械と化した兵士たちが、特殊戦闘スーツに身を固め辺境星域へと送り込まれるが、戦況は果てしなく泥沼化していく……俊英が壮絶なる星間戦争を迫真の筆致で描き、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した傑作戦争SF!
(カバーの裏から抜粋)
本屋でたまたま気になって買ってみた。最近では西新宿のブックファーストのフェアで『今夜は、音を立てずに人を殺す八つの方法を教授する』というポップとともに紹介されている。本書はSFミリタリー作品で、著者はベトナム戦争に従軍した経験をもとにこの作品を書いたようだ。主人公マンデラは、知能指数150以上でとびぬけて健康かつ頑強な肉体を持つ精鋭であり、訓練惑星に行って戦闘スーツを着込んで訓練を受ける。その後二足歩行で二本の細い腕があるが、肩も首もないトーランと呼ばれる交戦中の異星人のいる惑星に送り込まれ、そいつらと戦うことになる。そいつらを撃破して戻ってくるころには、宇宙船が限りなく光速に近い速度で移動しているので、ウラシマ効果によって地球はもとにいた時から数百年たっているという状況になる。

戦闘描写は最初のほうと最後のほうが多いが、中盤はあまり戦闘描写はない。どちらかというと、中盤は戦争に従軍して生き続けるしか道がない主人公が描かれている。ただ生き残っただけで英雄扱いされて地球に戻り、その間に数百年経っているので、給料は天文学的な数値になっている。

しかし、半年ほどの休暇の後、有無を言わさずに次の戦地に送り込まれる。生き残った者が階級が上がるので、マンデラは二等兵から少佐まで出世していく。そして部隊に地球から送り込まれた部下たちは、地球の制度変化によってみな同性愛者ばかりだったりする。そんな状況で主人公は古参兵として文化も言語も微妙に違う彼らとともにトーラン討伐に向かい続ける。

主人公はどこか冷めた目で戦争に従軍しているような、そんな印象を受ける。周りの兵士は常に死に、たまたま自分が生き残っているのは運が良かっただけだと感じており、恋人と違う船に乗ってそれぞれの光速航行を行うと、もう会うこともなく数百年がたってどちらかは死別しているという状況。そしてトーランとの戦争の最初から最後まで、1143年間戦い続ける。そういう部分に著者のベトナム戦争体験が投影されているのだと思う。

中盤はなんだかダレるが、後半からまた面白くなってくる。そして、主人公の意思とは関係ないところで何百年も経った地球の環境、制度に翻弄されていくのもなんだか切なく感じる。

ミリタリーSF作品は以下もお勧め。本書は『宇宙の戦士』の影響があるとかないとか。それにしても、『共和国の戦士4』はいつ出版されるのだろう!?

ミリタリー作品を読みながら、自分の仕事を投射してみたりする。階級が上がっていき、部隊を率いて武功を上げていくような妄想をしながらwそんなこともあり、ときどき自分を鼓舞するためにSFミリタリー作品を読んだりする。

本書はSFミリタリー作品にしては読みやすい作品。



終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))
ジョー・ホールドマン
早川書房
1985-10

読むべき人:
  • SFミリタリー作品が好きな人
  • 戦争について考えてみたい人
  • 自分を鼓舞して仕事したい人
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