September 15, 2014

飢餓同盟

キーワード:
 安部公房、同盟、発電、革命、挫折
小説。以下のようなあらすじとなっている。
眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
(カバーの裏から抜粋)
夏になると思い出したように安部公房作品が読みたくなる。まだ未読の長編作品は本作品と『カンガルー・ノート』のみとなったので、こちらを先に読むことにした。

地方の町、花園はかつて温泉が出ていたのだけど、地震の影響で温泉が出なくなってさびれつつある。そこの主要産業であるキャラメル工場で働く花井という男は、尾骶骨あたりに尻尾のようなものが生えており、ひもじい様という神様を祭った茶屋で育ち、貧乏であったりよそ者など、何か満たされぬ者たちが集まるひもじい同盟を設立する。

あるとき、地下探査技師と名乗る織木がやってきて、服毒自殺を図り、その織木の遺書を読んだことから地熱発電で企業し、ひもじい同盟を飢餓同盟と改めてこの町、そして全国に革命を起こそうとする。

なんだかいろんな登場人物が出てきて、この町での派閥や思惑が安部公房独特の人物像、会話によってからみついていく、そんな作品。他の作品に比べてSF的な要素はあまりないのだけど、主人公が花井の境遇が不遇であり、育ててもらったが恨みを持つ人間に対して一泡吹かせてやろうという鬱屈した心情が描かれている。

安部公房の他の作品よりも没頭して読めなかったかな。それでも他の作品にも共通する閉塞感というか、翻弄される感じがよく描かれていて、読んでいる人間をどこか不安に陥れるような、そんな感じがする。

安部公房作品で、このブログで取り上げたのは以下。特に面白いのは、下2作品かな。このブログで取り上げていないのでは、鉄板の『砂の女』、『燃えつきた地図』、『他人の顔』なども。

不安と翻弄される非日常に没頭し、読了後に現実に自分に起こったことでなくてよかったと安堵(どの作品もハッピーエンドにならず、しばし後味の悪さは残るけど)したいなら安倍公房作品が断然いいなと思う。



飢餓同盟 (新潮文庫)
安部 公房
新潮社
2006-09

読むべき人:
  • 地方出身者の人
  • 不遇な境遇にある人
  • 常に何か満たされない境地の人
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