October 05, 2014

パラークシの記憶

キーワード:
 マイクル・コーニイ、SF、ミステリ、凍結、真相
SF小説。以下のようなあらすじとなっている。
冬の再訪も近い不穏な時代、村長の甥ハーディは、伝説の女性ブラウンアイズと同じ瞳の色の少女チャームと出会う。記憶遺伝子を持つこの星の人間は、罪の記憶が遺伝することを恐れ、犯罪はまず起きない。だが少年と少女は、背中を刺された男の死体を発見する…名作『ハローサマー、グッドバイ』の待望の続編。真相が今語られる
(カバーの裏から抜粋)
前作は『ハロー、サマーグッバイ』で、こちらは1975年に書かれたもので、それから時間がたって、1990年代に本書、続編が書かれたようだ。時代設定は前作から数百年は経っていると思われる惑星で、人型の異星人、スティルク人が住んでいて、地球人より少し小柄で、狩猟や漁業を営んで男性と女性が別の集落で暮らしている。一応モーター車などの機械文明も一部あるが、前作よりも少し衰退したような文明設定になっている。

そして人々はオブジェクト指向の親クラスを継承するクラスは親クラスのメンバを自由に参照できるように、先祖の記憶を生まれながら継承している。その記憶を見るために星夢といって意識的に先祖の記憶をさかのぼるように眠りについて、過去の経験値を受け継ぐ。そのため、本に頼ることもない。その記憶を一番さかのぼれるものが村長になるという風習が残っており、22世代前くらいが一番古い記憶になる、という設定になっている。

主人公は17歳の少年で、だんだん寒さが厳しくなり、食糧難になりかけている村にいるという状況で、殺人死体を発見してしまう。星夢により殺人など起きることのない文化なのに、それが発生してしまい、自分に嫌疑をかけられ追われつつ謎を解いていかなくてはいけない。そこで数世代前からやってきて居ついている地球人の力を借りつつ、真犯人も追いながら、迫りくる厳しい凍期にも対処しなくてはいけないというお話。

前作も読んだ場合は、前作とどちらが面白いかと比べたくはなる。しかし、個人的にはこれは、2作品で1セットの内容で比べる意味もないかなと。遅れて出版された上下巻のような位置づけ。なぜなら前作だけでは面白さが半減してしまうかもしれないから。つまり、前作だけを読むと、なんという悲劇!!と読み間違えてしまう可能性があった。僕は完全に読み間違えていた。インターネッツが発達していない時代、まして本作が出版されていない状況だったら、前作の真相はわからないままだったろう。

つまり、前作の結末の真相が描かれている。本作は去年(2013年)に河出文庫で出版されたようで、本当に出版されてよかったと思う。

本作では主人公と舞台設定が若干変わっている。前作の主人公たち、少年ドローヴと少女ブラウンアイズは神格化されて伝説の人物となっており、直接的には出てこない。でもそういう前作の登場人物がところどころ物語のキーとなるのがRPGの続編っぽい面白さの要素になっていて好きな展開。あと前作の二人は12歳くらいの少年少女なので、ほんわかとしているけど、こっちはソレナンテ・エ・ロゲ!?裏山けしからん!!ww(ソレナンテ・エ・ロゲ - アンサイクロペディア)な展開が多くて恋愛要素としては若干何とも言えない部分もある。

しかし、本作の全体像としては、訳者解説に以下のように示されている。
 前作巻頭の作者の言葉をアレンジして説明するなら、
これは恋愛小説であり、ミステリ小説であり、SF小説であり、さらにもっとほか多くのものでもある
(pp.521-522)
いろんな要素が描かれていて、楽しめた。個人的にはSF要素が一番よかったかな。

前作を読まなくても楽しめるような内容にはなっているけれど、絶対に読んだほうがいい。特に前作を読み終わった後、どういうことだってばよ!!Σ (゚Д゚;)ってなった後すぐにググらず本作を読み始めるのが吉。そしたらセットでそういうことだったのか!!と楽しめる内容になっている。

520ページ近くと前作よりもだいぶ長い物語になっており、途中若干中だるみしたりするが、300ページを超えたあたりから面白くなってくる。SF小説にありがちなよく分からない描写なども少なく、読みやすい。ロリンという人型の毛むくじゃらの生物がいたり、村の風習、星夢などの設定も面白く、その独特の世界観に没頭できるし、最後の結末、真相もひっくるめて楽しめた。



パラークシの記憶 (河出文庫)
マイクル・コーニイ
河出書房新社
2013-10-08

読むべき人:
  • ミステリ小説が好きな人
  • 続編RPGが好きな人
  • 独特の世界観に没頭したい人
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