December 06, 2014

窓際のスパイ

キーワード:
 ミック・ヘロン、スパイ、窓際、組織、落ちこぼれ
落ちこぼれスパイ小説。以下のようなあらすじとなっている。
〈泥沼の家〉と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか? ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて〈泥沼の家〉が動き出す! 英国スパイ小説の伝統を継ぐ新シリーズ開幕!
(カバーの裏から抜粋)
主人公はイギリス国内のテロ対策などに対応する保安局、通称MI5に所属している。ある日昇進試験としてテロ犯を捕まえるという訓練中に致命的なミスを犯し、通称「泥沼の家」に左遷されて出世の道から外れ、事務処理などの些末な仕事をする日々を送っている。郊外にあるビルの1室の「泥沼の家」には同じように職務で失敗したものやアルコール中毒の人間など、「遅い馬」と呼ばれる落ちこぼれたちが集まっていた。

そんなときにパキスタン人の19歳の大学生が誘拐されてネット上に監禁されている動画が流される。その事件解決を独自にやろうと「泥沼の家」のメンバーが奮闘する!!というお話。

スパイというとジェームズ・ボンドのようにMI6所属で海外を飛び回ってテロ組織と対抗したり銃撃戦をしたり、ボンドガールとの情事があったりとスケールの大きなものを想像しがちだけど、これは全く逆。なぜなら主人公は30歳前で落ちこぼれて無能扱いされて、ロンドン市内だけの話にとどまっている。そんで「泥沼の家」でそこのボスからの指令の仕事もまたミスったりしている。それでも本人は自分は無能ではない、左遷されたのは何かの間違いだ!!と思いながら出世のメインストリームに返り咲くことを切望して悶々としているという状況。

舞台のスケールは狭く、派手さはあまりない。敵のイデオロギーみたいなものも特にないし、どちらかというと本部とわき道にそれた「泥沼の家」の内部対立のような組織小説?のような感じで読むと面白い。主人公が落ちこぼれで僕と年齢が近いというのも、個人的に共感できる部分。実際は無能ではない設定になっているが、本作ではあまり活躍しておらず、主人公の存在が薄いのだけど。

一般的なスパイ小説として読むとどこか物足りない。しかし、落ちこぼれた人間たちが一致団結して活躍する小説として読めば面白い。割と読みやすくページも結構すんなり進み、引き込まれるような感じなので。これがシリーズ化されてあと2作続くようなので、主人公の活躍は次の2作に期待したい。



窓際のスパイ (ハヤカワ文庫NV)
ミック・ヘロン
早川書房
2014-10-10

読むべき人:
  • スパイ小説が好きな人
  • 部署内の対立を経験している人
  • 落ちこぼれてしまった人
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