April 05, 2015

計画と無計画のあいだ

キーワード:
 三島邦弘、ミシマ社、出版、一冊入魂、仕事
自由が丘にある出版社ができるまでの奮闘記的なエッセイ。以下のような目次となっている。
  1. 1それでも会社は回っている
  2. 2 始まりは突然に
  3. 3 自由が丘のほがらかな出版社、誕生
  4. 4 凸凹メンバー集まる
  5. 5 手売りですが、なにか。
  6. 6 世界初!?仕掛け屋チーム
  7. 7 この無法者たち!
  8. 8 野生の感覚を磨くのだ
  9. 9 原点回帰ってなんだろう?
  10. 10 一冊入魂!
  11. 11 計画と無計画のあいだ
(目次から抜粋)
西新宿のブックファーストのフェアで「新入社員に読んでほしい本」というのがあって、そこで置いてあったのが目に止まり、買って読んだ。ミシマ社の創業者である三島氏のことは、以下の本で読んだことがあった。本書は著者の三島氏が、2003年の28歳のとき天啓のように出版社を作ろうと思い立ち、勤めていた出版社をボーナス支給直前で辞めて、何の事業計画もない状態で出版事業をスタートして、Excelの使い方もよくわからない、決算って何?という状況でなんとか本を出版しつつ今に至るまでの奮闘記が面白く示されている。本があまり売れなくなって、昨今の出版事業は斜陽産業なので、出版社の中の人も出版だけはやめておけと言ったりするような状況で、新たに出版社を作るというのは、チャレンジングなことだと思う。しかも、ほぼ無計画。しかし、無計画ながらも事業の核になる理念は明確に本書で示されている。「血の通った本をつくり、しっかりと読者に届けたい」+「ひとつひとつの活動が、未来の出版を築く一歩でありたい」=「未来に開かれた出版社を自分で作る」という理念があり、100年後の出版の未来まで考えられているようだ。

そのため、「直取引営業」で取次を介さずに直接書店に卸したり、手書きのミシマ社通信を書店に置いてもらったり、読者はがきを手書きにしたりして、普通の大手出版社と異なる独自性がある。実際にミシマ社の本を買ったことがあり、ミシマ社通信は手作り感があって本を作っている人が見えるようでよかった。ちなみに、ミシマ社の本は以下のものを読んだことがある。特に『街場の文体論』が面白かった。

また、この本はすごく熱量がこもっている本だと思った。著者が出版の思いを熱く語っている感じで、それが著者の熱量をこもったままの本を提供するというのに通じている。変な話だけど、そういう本は書店で表紙を見ただけで直感的にわかるようになる気がする。何冊も買って読んでいると経験則的に。

あとなんだか無計画でも理念や強い想いがあれば、何とかやっていけるのだなと思った。もちろん、読んでいるとベンチャービジネスの大変な過程を見ているようで、自分がそんなことできるかというと、無理だろうと思うけど。でも特に以下の部分になるほどと思った。28歳でボーナス直前で勤めている会社を辞めることについての部分。
 だが、そんなこともみな、百も承知の上での行動だった。きっと、ほんの少しでも計画的な人間であればそうはしなかったろうと思う。
 けれどぼくは一切後悔していない。むしろ逆だ。
 あのとき、自分に嘘をついていたら、と思うとぞっとする。ずっと自分のなかで湧きあがる感情に対して感覚を鈍らせたまま生きる人間になっていたかもしれない。
 いま、この瞬間、どうしても動かなければいけない。そういうときが人生のうちに必ずある。
 その瞬間、理屈や理性、計画的判断といったものを超えて動くことができるかどうか。
(pp.242-243)
まさに今僕もそんな境地のような気がして、かなり参考になったし、感化された。まぁ、自分の方向性がどうなるかはわからないけど、それでも日々考え中で。

出版にかかわる人、出版社に就職したいと思う人はみんな読んだほうがいいし、本好きな人も読んだほうがいい。またベンチャービジネスの試行錯誤の状況も読んでいて面白いし、出版事業を通して仕事、自分の働き方も考えるきっかけになってよい。あと、人生、自分の方向性に迷っている人も読めば何か得られるかもしれない。




読むべき人:
  • 出版事業にかかわる人
  • 本好きな人
  • 自分の仕事について考えたい人
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