September 18, 2015

モナリザ・オーヴァドライヴ

キーワード:
 ウイリアム・ギブスン、スプロール、モナ、マトリックス、爆走
サイバーパンクSF小説、スプロール3部作の最終章。以下のようなあらすじとなっている。
13歳の久美子は単身、成田発ロンドン直行便に乗り込んだ。だが、《ヤクザ》の大物の娘である彼女は知るよしもなかった――やがて自分が、ミラーシェードを埋めこんだ女ボディガードや大スターのアンジイ、そして伝説的ハッカーのボビイらとともに、電脳空間の神秘をかいま見る冒険に旅立つことになろうとは!全世界注目の作者が、疾走感あふれるシャープな展開でマンを持して放つ、ファン待望の《電脳空間》三部作完結編
(カバーの裏から抜粋)
SF映画とかアニメが好きなので、ニューロマンサーをはじめとするこのスプロール3部作はぜひ読んでおきたかった。しかし、ニューロマンサーは新装版が出ているけど、2作目のカウント・ゼロと3作目の本書、モナリザ・オーヴァドライブは絶版になっている。Amazonのマーケットプレイスだと送料込で1500円近くもする。だが近所の図書館に幸運にも3作とも置いてあったので、借りた。借りたのは2回目で初回は読む余裕がなく返したけど。

ニューロマンサーを最初に読んだときは面食らった。まったく内容が頭に入ってこなくて。大抵の小説は一読すれば頭に映像が浮かぶ。たとえそれがSF小説で未知のものであったとしても。しかし、ニューロマンサーは例外だった。独特の世界観とそれを損ねることなく現した優れた翻訳にもかかわらず、ストーリーを体系的に追うことができなかった。次は続編のカウント・ゼロだ。こちらは4人の登場人物の視点から物語は進む。さすがにニューロマンサーに慣れていたこともあり、読みにくさはあるが、なんとなくはストーリー展開を追うことができ、面白いと感じることができた。そして、最終章の本書、モナリザ・オーヴァドライブ。一番タイトルが躍動感があってカッコいい。カウント・ゼロ同様に4人の視点から物語は進む。舞台はカウント・ゼロのおよそ7年後の世界で不忍池(シノバズ・ポンド)や秋葉原、新宿といった日本的なものも前作同様に出てくる。さすがに前2作で文体と世界観は慣れたはずだ、きっと楽しめるだろうと思っていたが、予想外にさっぱりよく分からなかったぜ!!w

前作の主人公、ボビイも出てくるし、ニューロマンサーのモリイも出てくる(最初はサリイと名乗っている)し、続編というワクワクする要素がちりばめられているが、やはり前作に比べてかなり難解に感じた。相変わらず余計な説明はなく、世界観やガジェットやサイバーパンク的な要素は既知なこととして進み、それぞれの人物がパズルのピースのように最後に収束してはまっていくような、そんな物語構造のはずだ。結局マトリックスは自律的なAIだったのか!?みたいなよく分からなさの余韻は残る・・・。

まぁ、いいんだ。SF、サイバーパンクものが好きな人でもこのスプロール3部作を全部読んでいる人は少数派だろうし、完全に理解している人はもっと少ないだろう。事実、ニューロマンサーのAmazonレビューは最近の日付まで更新されて、レビュー数も多いが、カウント・ゼロ、モナリザ・オーヴァドライブとなると、書店で手に入らないというのもあって、レビュー数も少ない。

また、モナリザ・オーヴァドライブに関してググってみても、作品について言及しているブログなどはやはり少なく、また内容の詳細に触れているところはあまりない。その気持ちはよく分かる。難解すぎて何も深く書きようがないのだから!!wとはいえ、会話のテンポと描写はなんだか詩的な印象を受けた。

本書は、SF小説が好きというある種の虚栄心を見たし、話のネタとしてギブスンのスプロール3部作を最後まで一応読み通したことがあるんだぜ!!っていう自慢ができる作品か。まぁ、残り「クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF)」の短編集が残っているが。こちらはニューロマンサーの前のお話で一応書店でも買えるはず。

もしスプロール3部作を読み通すなら、3部作をとりあえずすべて手に入れて、勢いで一気読みがいいかも。分からなくてもとりあえず進む。そしてまた読み返せばいいはずだ。

想像力の限界に挑戦して、マトリックスの世界に没入(ジャック・イン)だ!!



モナリザ・オーヴァドライヴ (ハヤカワ文庫SF)
ウィリアム・ギブスン
早川書房
1989-02

読むべき人:
  • サイバーパンクSF作品が好きな人
  • 自分の想像力と理解力を試してみたい人
  • 収束していく物語が好きな人
Amazon.co.jpで『ウィリアム・ギブスン』の他の作品を見る

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