October 01, 2015

困ってるひと

キーワード:
 大野更紗、難病、エッセイ、ビルマ、生きる
難病を患った著者による闘病エッセイ。以下のような目次となっている。
  1. 第一章 わたし、何の難病?──難民研究女子、医療難民となる
  2. 第二章 わたし、ビルマ女子──ムーミン少女、激戦地のムーミン谷へ
  3. 第三章 わたし、入院する──医療難民、オアシスへ辿り着く
  4. 第四章 わたし、壊れる──難病女子、生き検査地獄へ落ちる
  5. 第五章 わたし、絶叫する──難病女子、この世の、最果てへ
  6. 第六章 わたし、瀕死です──うら若き女子、ご危篤となる
  7. 第七章 わたし、シバかれる──難病ビギナー、大難病リーグ養成ギプス学校入学
  8. 第八章 わたし、死にたい──「難」の「当事者」となる
  9. 第九章 わたし、流出する──おしり大逆事件
  10. 第十章 わたし、溺れる──「制度」のマリアナ海溝へ
  11. 第十一章 わたし、マジ難民──難民研究女子、「援助」のワナにはまる
  12. 第十二章 わたし、生きたい(かも)──難病のソナタ
  13. 第十三章 わたし、引っ越す──難病史上最大の作戦
  14. 第十四章 わたし、書類です──難病難民女子、ペーパー移住する
  15. 第十五章 わたし、家出する──難民、シャバに出る
  16. 最終章 わたし、はじまる──難病女子の、バースデイ
(目次から抜粋)
以前から気になっていた本で、図書館にあったので借りて読んだ。なんかいろいろスゴイと思った。

著者は上智大学に通いながらビルマの難民支援活動を積極的にやっていたところ、原因不明の病気になってしまう。常に38度以上の発熱があり、節々が痛く、杖をついて歩かなくてはいけないという状態にまでなり、いろいろな病院に行って検査をするも、原因が分からず。たらいまわしにされてある病院で診察してもらったところ、自己免疫疾患の一種である皮膚筋炎および筋膜炎脂肪織炎症候群と診断されて、通称オアシスと呼ぶ患者を大リーグ養成ギブスで鍛えるような病棟で9か月の入院、退院までがエッセイ調に示されている。

何というか、読んでいてとても辛い感じだし痛々しいなと思った。痛々しいというのは著者が受けた検査や病状の話で、麻酔があまり効かない状態で筋肉を切り取られたり、骨髄の髄液を取る検査では釘のようなものを刺されるし、おしりが腫れてそこから膿とかが1リットルくらい流れ出て激痛だったとか…。

他にも病状としては24時間365日インフルエンザに羅漢しているようなしんどさで、筋力も体力も免疫力もなく、ステロイドの影響で感染症や怪我に気をつけなくてはいけないし、紫外線も浴びれないし、皮膚や体の組織が弱っているので洗剤などにも触れられないらしい。

著者は入院中に最初のほうはステロイド(商品名はプレドニゾロン - Wikipedia)を1日60mgも服用していたらしい。そして全身痙攣、体が動かせず、話せずな危篤状態に陥ったらしい。さすがに1日60mgはきついだろうなと思った。なぜなら僕も現在進行形で同じものを服用しているからよく分かる。とはいえ、今は少し量が増えて2日に1回20mg(1錠5mgを4錠)で、過去最高でも1日30mgしか飲んだことはないけど、ただでさえ少量でもうんざりするような副作用があるのだから、60mgは発狂しそうなほどだろうなと思った。(これを書いている今も微妙に副作用で気持ち悪くて(^q^)な感じw)

後はいろいろと難病認定を得て公的な援助を得るためには山ほど書類を書いたりしなくてはいけないし、役所にいろいろと手続きがあって大変そうだなと思った。難病といってもいろいろと認定されたりされなかったりで、公的制度としても完全ではないのだなと思った。僕もいつかお世話になる可能性があるので、今からどうしようか?割と真剣に考えておく必要がありそうだ。あとはどうしてもお金がたくさんかかるのも大変そうだなと思った。

読んでいてとても大変そうだなと思う反面、どこか面白いと思って読んでいた。別に著者の境遇が面白いというのではなく、著者を取り巻くいろんな先生がいたり、出来事があったり、ノリツッコミがあったり軽快で悲壮さをあまり感じさせない文体で一気に読めた。

著者ほどではないけど、完治しない病気を患っていると、何でこうなったんだと?思う。でもなってしまったのだから、これからどうしようかとサバイバルするしかないなと。たまたま『難』のくじを引いてしまっただけで、生きるのがしんどくなって、希望もなく絶望してしまうのもよく分かる。でもほんの少しのきっかけで生きていけると決意する部分も共感できた。

著者にとっての生きていける希望は、同じ病棟で難病を患っていた電車の乗り方も分からなかったけどDIYが得意な人との出会いだったらしい。デートしたいという純粋な気持ちで退院して生きていきたいと。そういうのはいいなと思った。恋愛は生きる希望になるなと。見習おうと真面目に思った。

あと個人的には病んだ時にお勧めの本は以下だね。病気は何らかのメッセージというのがなんだか救いがあった。

余談だけどちょっと自分の病状が若干悪化しているので今日から実質休職になる。なので本書を読んでみたわけだ。著者は84年生まれと同世代だし、自分よりももっとしんどい難病を患っている人の話は何か生きていく上でヒントがあるかなと思って読んだ。読んで面白かったし、いろんな人の助けがあって生きていけるのだなと思った。僕も誰かの助けが必要になるときが来るかもしれないので、それまでは「情けは人の為ならず」を実践しておけば、きっと誰かが助けてくれるだろうと期待している。

あとは本書を読んで自分もがんばろう!!と思う反面、いやいや、がんばるのはもうよそうと思った。がんばらなくてはいけない局面はあるけど、常時がんばる生活に疲れたというか、がんばらなくても楽に生きられる道を模索したいと思うこのごろ。

本書を読めば共感できる部分も参考になる部分も、反発を覚える部分もあるかもしれないが、何かしら生きること死ぬこと、そういうものをいつもよりも深く考えられると思う。いきなり難病を宣告された人が本書を読める境地になれるかはわからないけど、病んでしまったら、もしくは病む前にいろいろな意味で保険として読んでおくのもありな本だった。



困ってるひと (ポプラ文庫)
大野更紗
ポプラ社
2012-06-21

読むべき人:
  • 難病を患ってしまった人
  • ビルマなどの難民支援に関心がある人
  • 生きるのがしんどいと思っている人
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