October 15, 2015

案外、買い物好き

キーワード:
 村上龍、買い物、海外、シャツ、ライフスタイル
村上龍の買い物エッセイ。2003年から2007年に雑誌連載されていたものが書籍になったもの。海外でいろいろなもの、例えばイタリアでシャツ、自転車バイク、マウイ島でゴムぞうりや新宿のホテルのセレクトショップでジャケット、ソウルのデパ地下のお菓子などなどいろんなものを買った経験について3ページごとに語られている。

村上龍の本は『新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)』くらいしかまともに読んだことがなかった。他にもいろいろエッセイがあるけど、それらはなんだか時代錯誤というか、いろいろ物議をかもしそうな内容のものが多いらしく、そういう過激!?なものは置いておいて、もっとわかりやすくて読みやすくて関心がもてそうなものを図書館で発見して借りた。ということで、また図書館で借りたエッセイ。

村上龍はサッカーの中田英寿選手と親交があったことから、たびたびサッカー観戦のためにイタリアを訪れていたようだ。そしてイタリアの街にいる男たちを見ていると、みんな長袖のシャツを着ており、どうやらイタリアの男のファッションの基本はシャツにあるということに気づき、ファッションにまったく興味がなかったところからシャツに目覚めたらしい。あるときなどはミラノのシャツ屋に行き、25分間で13枚も買いこんだとか。ちなみにイタリアの男の基本はブルーのシャツらしい。やはりブルーがいいね。

ネクタイとシャツのシミュレーション」というタイトルのものでは、24歳で群像新人賞をとるまでネクタイなんかしたことがなくて、ネクタイなんかしている人間は全員頭がおかしいと思っていたらしいが、好きなシャツのためにネクタイを締めるようになったようだ。そして、イタリアシャツはほとんどがブルー系のストライプかチェックなので、ネクタイ選びが楽しいらしい。朝起きて寝室の衣装ケースからシャツとネクタイを組み合わせて、さらにスーツと合わせるのが日課らしい。しかし、スーツを着る機会は基本的にテレビ出演時のみで、小説執筆時は普通にTシャツなど楽な格好なので、シャツを着る機会が少なくて残念とか。

ネクタイとシャツのシミュレーションは割と楽しいので共感できる。シャツに目覚めるのも分かる。自分のシャツのサイズは首回り36cm、袖丈84cm、肩幅45cmなので、既製品ではまずサイズがない。なので、まともにしっくりくるシャツはオーダーしかない。ということで、以下の本を参考に伊勢丹でオーダーしたらすごくよかった。今まで着ていた既製品のシャツは一体なんだったんだ!?というくらい着心地がよかった。シャツがよいものになると、それに合わせるネクタイ選びもいろいろあれこれ考えて買いたくなるね。基本はドットと無地しか買わず、レジメンタルは避ける。締め方はディンプルが一番優美な形になるダブルノットのみ。

一生の間続くいい気分」というものでは、小説家らしい内容である。長編小説を何年も書いてきて、それが脱稿した後は感慨もなく、高揚感も喜びの興奮も一切ないらしい。しかし、非表に静かでしっかりとした充実感や達成感が1ヵ月は続くらしい。執筆前には箱根の別荘の付近の成城石井でチーズやコーヒー、ヨーグルトや蜂蜜、肉まん、クッキーをよく買いこんでいたので、脱稿後にそれらを見ると不思議な実感がわいてくるらしい。執筆中は別荘で缶詰め状態なので、ひげが伸びっぱなしで、浮浪者みたいに見えるらしく、近所のスーパーに行くと周りから不審人物のように見られるらしいのだけどw

初めての大きな買い物は、『新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)』がベストセラーになった印税で得た100万円をおろして買ったステレオセットらしい。ちなみに、「限りなく透明に近いブルー」は寝食を忘れて1週間で書き上げたとか。なんだ、天才か、と思った。

買い物ネタの他に、ミラノ、ローマ、パルマ、フィレンツェなどのイタリアの各都市、パリ、上海、ソウル、ハバナ、マウイ、フランクフルトなどに訪れた時の雑感などが書き下ろしで追加されている。各都市いろいろな特徴があるようだ。例えば、フランクフルトのブランド店はどこも控えめで「マルティン・ルターの宗教改革を生み、実質剛健が自慢のドイツでこんなに贅沢で高価なものを売ってごめんなさいね」という雰囲気が店内に満ちているらしい。行って確かめたくなる。

村上龍はなんというか、個人的な先入観では武勇伝を語ったり、もっと突飛な感じがする印象があった。しかし、この買い物エッセイを読んでみると、あまり肩肘を張らずに自然体で、男性作家のエッセイにありがちな虚栄心のようなものは全くなかった。ありのままの買い物感をさらけ出しているようで好感が持てた。

海外に行って、買い物を楽しみたくなる感じだった。特にイタリアでシャツを買いたくなる。




読むべき人:
  • 買い物が好きな人
  • 小説家のライフスタイルを知りたい人
  • 海外旅行が好きな人
Amazon.co.jpで『村上龍』の他の本を見る

bana1 シャツクリック☆  にほんブログ村 本ブログへ



トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星