December 28, 2016

この世界の片隅に

キーワード:
 こうの史代、日常生活、ご飯、人間関係、普通
このエントリも漫画と映画両方をまとめた内容となる。映画の予告を見たときは、なんだか古臭い感じの映画だなと思ってスルーする気だったけど、facebook上で見た人の感想が絶賛に近いものだったので、見ないわけにはいかないと思って、初回は予備知識なしで見に行った。

映画はとてもよかったなと純粋に感じだ。戦時中の何でもない呉市で生きる人たちの日常風景がとてもいとおしく思えた。また配給制なので食料もまともにない中で工夫して食事を食べていき、終戦後に食べる普通の白いご飯がとてもおいしそうだった。そして、終わったあと、新宿の寒空を歩きながら一人で見に行ったことにとても寂寥の気持ちで満たされてしまった。つなぐもう一つの手がないと。

映画を見たときには、どうしても完全に理解できていないことがあった。ストーリーとしては冒頭のもののけ?の存在や座敷童がいる!?というようなところとか、呉市の方言が微妙にわかりにくかったり、「吊床」や「モガ」といった言葉の意味することが何なのか正確にはわかっていなかった。

漫画も絶賛されているので、読む必要があると思って読んで見た。そしたら映画だけではわかりにくかった部分がちゃんと描写されていて、ようやく全容を把握できたと思った。と同時に、映画と漫画で受ける印象が少し違ったと思った。

映画は原作の作画にかなり忠実に映像化されており、またのん氏の声もよく合っており、日常生活、特に『ご飯』がキーワードのように思えた。しかし、漫画のほうを読んで見ると、終戦後に食べる白米のシーンはなく、また映画にはカットされていた周作と白木リンとのエピソードがあり、すずさんが嫁に行った家族、周作、水原哲たちの間で揺れ動く『人間関係』が描写されている気がした。

また、初回の映画を見たときに水原哲が一時入湯上陸に周作の家に来た時に語っていた『すず、お前だけはこの世界で普通でいてくれ』というようなセリフには特に何も感じずに、わざわざ周作家にやってきて邪魔な奴だなぁと思っていたけど、再度映画を見たときはここはとても重いセリフだなぁと感じた。戦地に赴いて殺し合いをすることになり、常に死と隣り合わせの水原哲にとってのすずの何でもない『普通』が救いだったのだなと感じた。

漫画は特にセリフのないコマの使い方がとてもよい。昔サザエさんの原作を読んだことがあるのだけど、その雰囲気にとても似ている。語らずともコマだけで伝わる部分もあるし、微妙な間があって情緒豊かに感じる。そういうのがとてもよい作品で、ゆっくりと読みながら心地よい時間が流れる。

結局、初回予備知識なしで映画鑑賞 ⇒ 漫画を買って読了 ⇒ 2回目の映画を見るというプロセスを経て、『この世界の片隅に』を本質的に鑑賞できた。2回も見たのは今年は『シン・ゴジラ』くらいだ。そして2回目があった大きな理由は、2人で見に行ったからだった。見終わった後、手はつなげなかったけど、居酒屋でご飯を食べに行った。

作品そのものは絶賛されているだけはあったなと思った。日常生活がとてもいとおしく思えて、こういうなんでもない生活ができることが人生で大切なこと、優先すべきことなんじゃないかとも思った。

イベント補整も少なからずあるけど、この作品はきっと思い出に残るものになるはず。




読むべき人:
  • ご飯が楽しみで生きている人
  • 日常生活を大切にしたい人
  • 幸せな気分に浸りたい人
Amazon.co.jpで『こうの史代』の他の作品を見る

bana1 片隅クリック☆  にほんブログ村 本ブログへ



トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by 本が好き!運営担当   February 09, 2017 22:08

突然のコメント、失礼いたします。はじめまして。
書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」を運営しております、和氣と申します。

貴ブログを拝読し、ぜひ本が好き!にもレビューをご投稿いただきたく、コメントさせていただきました。

本が好き!:http://www.honzuki.jp/

こちらのサイトでは、選ばれたレビューアの方が本をもらえるようになる「献本サービス」を行っています。レビューをご投稿の上ご連絡いただけましたら、通常は審査を通過した方のみ申し込み可能な献本に、すぐご応募いただけるようにいたします。

1.会員登録 
 こちらのフォームよりご登録ください。
 http://www.honzuki.jp/user/user_entry/add.html
2.書評投稿
 書籍を検索し【書評を書く】ボタンよりご投稿ください。
3.ご報告
 貴ブログ名をご記載の上、こちらのフォームよりご報告ください。
 http://www.honzuki.jp/about/inquiries/user/add.html

名前の通り「本好き」の方がたくさん集まって、活発にレビューを投稿して交流をされているサイトですので、よろしければぜひ一度ご訪問いただけましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

2. Posted by フランツ   July 06, 2017 14:01

賢者の図書館様

突然の書き込み失礼いたします。
「この世界の片隅に」は小生には特別な存在です。
小生の父は、昭和20年6月から呉海軍工廠で働いて、すずさんと同じ時期を共有しているからです。
平成24年8月から父の呉海軍工廠の足跡を調査して、一冊の本に纏めております。題名は、「ポツダム少尉 68年ぶりのご挨拶 呉の奇蹟 第4版」(自費出版 非売品)と云います。

当時の呉海軍工廠の当時を知る方々は、既に86歳から90歳以上になりますが、数少ない方々からお聞きした当時の話を記述しております。

自費出版の本ですが、既に、北海道旭川市から南は九州鹿児島県立図書館など・・・全国の概算120の図書館で読めます。
口コミですが、徐々に読んで頂いている方は増えているようです。

お時間ありましたら、ご覧ください。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星