May 05, 2017

上弦の月を喰べる獅子

上弦の月を喰べる獅子 上 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-5)上弦の月を喰べる獅子 下 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-6)

キーワード:
 夢枕獏、SF、螺旋、仏教、宇宙
夢枕獏の仏教SF小説。以下のようなあらすじとなっている。
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する……ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
(カバーの裏から抜粋)
人は、幸福せになれるのですか? 野に咲く花は幸福せであろうか?――螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる……進化とは? 宇宙とは? 人間とは? 究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
(カバーの裏から抜粋)
あらすじを補足すると、舞台は安保闘争が終わって、ベトナム戦争があったと思われる時代に、売れない戦場カメラマンであった螺旋蒐集家は、あらゆるものに螺旋を見出し、しまいには幻覚まで見えるようになってしまっている。あるとき新宿の高層ビルに奇妙な螺旋階段を発見し、それは設計図上あったが、現実には存在しない螺旋階段であった。そこに足を踏み入れて・・・。

時代は変わり、岩手のイーハトーブの詩人は病床に伏している妹を思いながら、出かけた先にアンモナイトの螺旋を発見し、そこに取り込まれていき・・・。

目覚めた世界で主人公はアシュヴィンとなり、蘇迷楼(スメール)という世界で海よりはい出て、そこからその世界の頂上を目指すことになる。そこで出会った人間や、足のある魚のような生き物、原人のような存在もあり、それらはみな頂上をめざす過程で人間になっていく。そこで出会う螺旋師から主人公の行き先を先導し、主人公を含め、そこに存在するすべてのものは『汝は何者であるか』と問い続けなくてはならない。

夢枕獏の作品は改行が多く、一文が短いのですらすら読める。そしてそれが仏教的な印象を強めている。作者のあとがき曰く、この作品は宇宙を文学作品、物語として表現したかったというようなことが示されていた。それを主人公が蘇迷楼の世界で様々な苦難に見舞われながら修行し、頂上を目指して悟りの境地に至ることで表されていた。

禅問答のような観念的な描写も多く、理解できたようなできなかったような部分もある。しかし、物語として、格闘シーンやサバイバルシーン、血みどろの描写もあり、主人公が次にどのようになっていくのかが気になる要素がちりばめられている。さらに、仏教的な精神世界が舞台であり、魚やカエル、トカゲのような生き物から人間になるまえの原人なども出てきて、やはりこれはSFでもあり、冒険小説的でもあった。

螺旋が一つのモチーフ的になっているので、あれだ、グレンラガンも螺旋だ!!と思って読んでいた。間違いなくこの作品に影響を受けたのだろうと思った。螺旋力、螺旋王なども出てくるし、物語的にも螺旋的な構造を持っていたのが似ているし。Wikipediaを見ると関連作品に示されていた。グレンラガンはまだ、Amazonプライムで20話までしか見てないけど、合わせて鑑賞推奨だ。GW中に読み始めて割と夢中になって読めた。その間はずっと夢を見ているような不思議な読書体験だった。





読むべき人:
  • サバイバル小説を読みたい人
  • 仏教的宇宙観を体験したい人
  • 螺旋に引き寄せられている人
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