漫画

December 28, 2016

この世界の片隅に

キーワード:
 こうの史代、日常生活、ご飯、人間関係、普通
このエントリも漫画と映画両方をまとめた内容となる。映画の予告を見たときは、なんだか古臭い感じの映画だなと思ってスルーする気だったけど、facebook上で見た人の感想が絶賛に近いものだったので、見ないわけにはいかないと思って、初回は予備知識なしで見に行った。

映画はとてもよかったなと純粋に感じだ。戦時中の何でもない呉市で生きる人たちの日常風景がとてもいとおしく思えた。また配給制なので食料もまともにない中で工夫して食事を食べていき、終戦後に食べる普通の白いご飯がとてもおいしそうだった。そして、終わったあと、新宿の寒空を歩きながら一人で見に行ったことにとても寂寥の気持ちで満たされてしまった。つなぐもう一つの手がないと。

映画を見たときには、どうしても完全に理解できていないことがあった。ストーリーとしては冒頭のもののけ?の存在や座敷童がいる!?というようなところとか、呉市の方言が微妙にわかりにくかったり、「吊床」や「モガ」といった言葉の意味することが何なのか正確にはわかっていなかった。

漫画も絶賛されているので、読む必要があると思って読んで見た。そしたら映画だけではわかりにくかった部分がちゃんと描写されていて、ようやく全容を把握できたと思った。と同時に、映画と漫画で受ける印象が少し違ったと思った。

映画は原作の作画にかなり忠実に映像化されており、またのん氏の声もよく合っており、日常生活、特に『ご飯』がキーワードのように思えた。しかし、漫画のほうを読んで見ると、終戦後に食べる白米のシーンはなく、また映画にはカットされていた周作と白木リンとのエピソードがあり、すずさんが嫁に行った家族、周作、水原哲たちの間で揺れ動く『人間関係』が描写されている気がした。

また、初回の映画を見たときに水原哲が一時入湯上陸に周作の家に来た時に語っていた『すず、お前だけはこの世界で普通でいてくれ』というようなセリフには特に何も感じずに、わざわざ周作家にやってきて邪魔な奴だなぁと思っていたけど、再度映画を見たときはここはとても重いセリフだなぁと感じた。戦地に赴いて殺し合いをすることになり、常に死と隣り合わせの水原哲にとってのすずの何でもない『普通』が救いだったのだなと感じた。

漫画は特にセリフのないコマの使い方がとてもよい。昔サザエさんの原作を読んだことがあるのだけど、その雰囲気にとても似ている。語らずともコマだけで伝わる部分もあるし、微妙な間があって情緒豊かに感じる。そういうのがとてもよい作品で、ゆっくりと読みながら心地よい時間が流れる。

結局、初回予備知識なしで映画鑑賞 ⇒ 漫画を買って読了 ⇒ 2回目の映画を見るというプロセスを経て、『この世界の片隅に』を本質的に鑑賞できた。2回も見たのは今年は『シン・ゴジラ』くらいだ。そして2回目があった大きな理由は、2人で見に行ったからだった。見終わった後、手はつなげなかったけど、居酒屋でご飯を食べに行った。

作品そのものは絶賛されているだけはあったなと思った。日常生活がとてもいとおしく思えて、こういうなんでもない生活ができることが人生で大切なこと、優先すべきことなんじゃないかとも思った。

イベント補整も少なからずあるけど、この作品はきっと思い出に残るものになるはず。




読むべき人:
  • ご飯が楽しみで生きている人
  • 日常生活を大切にしたい人
  • 幸せな気分に浸りたい人
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December 23, 2016

聲の形

キーワード:
 大今良時、障害、贖罪、青春、コミュニケーション
聴覚障害を持つ少女、西宮硝子とその子をいじめていた石田将也の関係性が描かれている作品。漫画は漫画喫茶で読んでいて、そして9月ごろに京アニで映画化されたので見てきて、そしてやはり原作も買ってもう一度読むべきだと思って読んだ。このエントリは漫画単独というわけでもなく、映画も含めた作品評、感想となる。

まず、映画については、これは本当にすごかったというか、いろんな感情を喚起させられて、感動してボロ泣きしてしまうほどの作品だった。映画はそれなりに多く見ているけど、そこまでになるようなものは本当に300本ほど見て1つあるかどうかなのだけど、これはその1作だった。

京アニによって本当に綺麗に映像化されているなぁと思ったし(まぁ、美化されすぎという側面もあるし、客観的にいじめていた人間に好意を抱くことができるのか?と思ったりもするのだけど)、aikoのエンディングテーマ曲もよかったし、漫画原作7巻を130分ほどによくまとめたなぁと感嘆した。必要なシーン、そぎ落とすシーンをうまく取捨選択し、映画だけで完結して映画独自のテーマを提示していたように思える。

ボロ泣きしたのは、もちろんこの作品特有の泣かせようという意図があるという要因も大きい。特にそれは西宮硝子の境遇に対する同情心のようなもので、漫画と同じく独特の魅せる表情で泣かれていると、こっちまでつられて泣いてしまう。しかし、どうしてもボロ泣きした理由がそれだけでは説明できない部分があった。

感動して泣いた理由の内訳は大体以下のようなものだと思う。
  • 辛い、痛々しい、憐憫のような感情・・・5割
  • 結末に対するよかったねというさわやかな気持ち・・・3割
  • 自分でもよくわからない心の内奥をかき乱される気持ち・・・2割
やはり感動といってもいじめのシーンは漫画よりも見ていて辛いものがあるし、半分くらいはそんな気持ちであって、結末は石田が最後にみんなと和解して学園祭を回って、よかったねで終われる。でもそれだけでは普通は泣いたりはしない。もっと描写的には辛い実写映画とか、さわやかに終わる映画を見たりしているが、泣くほどではない。最後の2割はいったい何だったんだろうか?というのが見終わってからもいまいち確信が持てなかった。

そういうのもあって、漫画を速攻で買って読み返した。そしたらそれはコミュニケーション不全を起こしていた主人公たちに自分のことのように感情移入していたんじゃないか?となんとなくわかってきた。それは、伝えたくても伝えられない感情があって、それが心のうちに渦巻いており、そしてそれをどう表現していいかわからない、伝える手段がなくて苦悩して、自分の精神がずっと牢獄に捕らわれて外に出れないようなもので。それがこの作品で聴覚障害と手話、いじめなどによって表現されている、コミュニケーションをテーマとした作品なんだとなんとなく思っていた。

そして、映画公開後に発売された著者インタビューなどが載っている公式ハンドブックを読んで見ると、まさにその通りだった。その部分をほんの少しだけ引用する。
「人と人とが互いに気持ちを伝えることの難しさ」を描こうとした作品です。
(公式ハンドブック pp.170)
なので、『聲の形』というタイトルでかつコミュニケーションがテーマとなっていると語られていた。この部分を読んで、やっといろいろなことが腑に落ちたと思った。自分のこの作品への感じ方は間違っていなかったのだなと安心した(もちろん、作者の意図通りに受け取ることだけが絶対的に正しいということではないし、いろいろな感じ方、受け取り方があってよい)。

おそらく普通の人よりもそれなりに多く映画を見ているけど、これほどに感情を動かされた映画は稀有だなと思った。なので、今年は他にもいろいろな邦画の当たり年であったけど、この作品が今年一番の映画である。

さて、次は漫画について。漫画はやはりいじめのシーンがしんどいというのはあると思う(でも改めて漫画、映画両方見てみると映画のほうがしんどい描写のように思えた)。しかし、いじめそのものは小学生の頃の回想として入っており、1巻がメインで終わる。2巻以降は主に高校3年生になった石田と西宮たちの人間関係の軋轢と修復で進む。なので、1巻を読み終えられたらきっと最後まで読み終えることはできるはずだ。

この漫画が特にスゴいと感じている部分は主に2つある。
  1. 絵柄というか、キャラの表情の描写
  2. 主要キャラのほぼ全員に共感と嫌悪感を抱かせられること
もちろん、いじめや手話、贖罪、青春の物語の側面からもいろいろと示すことができるのだけど、特にこの作品に対して秀逸だなと思ったのはこの2点だ。

まずキャラの表情については、これは作者の前作(原作は冲方丁氏だけど)の『マルドゥック・スクランブル』の主人公、ルーン・バロットの喜怒哀楽がとても豊かに描写されていてよいと感じていた。『聲の形』では、画力が向上しており、よりキャラの表情に磨きがかかっているなと思った。特に声を発することができない西宮の戸惑っている表情、辛そうな泣き顔、照れている顔、嬉しそうな笑顔など、セリフのないコマでとても引き付けられる。個人的にはセリフのないコマが効果的にかつキャラの表情を魅せられることが漫画の良作の基準だと思っている。これが本当に同情心を誘ったり、本能的に感情移入してしまう。ちなみに他の漫画作品で特にキャラの表情がよいなと思うのは『ヴィンランド・サガ』。

そして、次は主要キャラの共感と嫌悪について。これはこれでまたよくキャラを描いているなと思う。石田そのものは小学生時代にいじめていた部分にたいしてひどい奴だという嫌悪と同時に、高校3年生になったときの贖罪の気持ちと、学校で他人が×に見える部分とかに共感した。西宮に対しては、一見憐憫の情だけが占めているようでもあるけど、よく冷静になってみると、意外に意地っ張りで思い込みが激しく植野が指摘するような部分に同族嫌悪のようなものを感じさせられる。

さらには植野のように西宮に対して敵愾心を抱いているところは表面的にはとても嫌な女だなと思ってしまうけど、時折石田に対するかなわない気持ち、切ない表情を見せたりするところにあぁ、わかると共感してしまう。あとは特に西宮の母親の立場も、硝子に対して強く当たりすぎだろと思うけど、父親がいなくなる背景や親としての立場上、そうなってしまうのもわかる、と思えるし。さらには川井は、当事者意識がなく他人事で自分がかわいいと思っている感じで、地味に嫌なタイプだなぁと思うし(作者的には作っているのではなく常時素であるらしい)、かといってそう保身になってしまうのもわかる、と思うし。

石田と西宮をとりまく群像劇で、そのキャラたちの表情や行動それぞれに感情移入や嫌悪を抱かされて、著者自身の何気ない日常生活でよく観察されているのだなとも思った。

映画だけ、漫画だけ鑑賞しても本質的なことはなかなかわかりにくいというのはあると思う。また、いじめや聴覚障害というところで受け入れられる、好き嫌いがはっきり分かれる作品でもあるので、万人受けするものでもないし、絶対見ろとも言い切れないところがある。

なので、できれば、もしこの作品を鑑賞するのなら、映画を見て、漫画もすべて読み、さらに公式ハンドブックまでぜひ読むべきだと思う。公式ハンドブックは著者インタビューやキャラの裏設定やあのシーンはこういう意図があったといったことが示されているので、ある意味作品解釈に対する模範解答的なものになってしまう。それでも、よりこの作品を深く理解するには、作者の意図をくみ取ったほうがよりよいと思った。



この作品を通して自分自身の抱えていたわだかまりが消化(昇華)されたような、そんな感じがした。別にいじめ当事者であったり、聴覚障害があるわけではないから、そういう観点からの共感はそこまでないのだけどね。そして、主人公たちと同じような高校3年生くらいのときに読みたかったと思った。そしたら、もっと違う高校生活を送れていたのかもしれない。

ということで、映画と漫画、両方含めて、『聲の形』はかなりの良作だ。




読むべき人:
  • 高校生くらいの人
  • 贖罪の気持ちがある人
  • コミュニケーション不全を起こしている人
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September 29, 2015

孤独のグルメ2

キーワード:
 久住昌之 / 谷口ジロー、孤独、ランチ、開拓、自由
久しぶりの漫画カテゴリの更新は、18年ぶりに新巻となる孤独のグルメ2巻目。今回は13話収録で、以下の料理が出てくる。
  1. 静岡県静岡市青葉横丁の汁おでん
  2. 東京都新宿区信濃町のペルー料理
  3. 東京都品川区東大井の冷やし中華とラーメン
  4. 東京都三鷹市下連雀のお茶漬けの味
  5. 東京都世田谷区下北沢路地裏のピザ
  6. 鳥取県鳥取市役所のスラーメン
  7. 東京都世田谷区駒沢公園の煮込み定食
  8. 東京都文京区東京大学の赤門とエコノミー
  9. 東京都千代田有楽町のガード下の韓国料理
  10. 東京都渋谷区松濤のブリ照り焼き定食
  11. 東京都千代田区大手町のとんこつラーメンライス
  12. 東京都荒川区日暮里繊維街ハンバーグステーキ
  13. フランス・パリのアルジェリア料理
前作は東京以外もあったけど、大体定食的な料理が多かった。今回はペルー料理、韓国料理、アルジェリア料理など異国料理も含まれている。

最近ではグルメ漫画はいろいろあるけど、グルメ漫画にはまるきっかけになったのは間違いなく前作の影響だ。読んだのは7年前だけど。なんというか、1人で好きなものを食べることの自由さに大分共感できた。今作もそれは変わらない。

主人公の井之頭五郎はいつも腹を空かせていて、その時の気分の思うままにお店を吟味し、いざよさそうなお店を見つけると入るのに若干躊躇するときもある。そして入ってみると外れかなと思ったりで、メニューを吟味して迷いながら注文し、食べてみたら案外行けるぞ!!ということでさらに追加注文する。冷やし中華を食べた後にラーメンを食べたり、スラーメンの後にカレー、ハンバーグステーキの後にハムエッグを食べて、いつも食いすぎている。

また、他のグルメ漫画のようにキラキラしたコマで(゚д゚)ウマーと言っているような過剰な演出ではないが、控えめだがとても満足そうにそして精神的にも満たされて食べているのがいい。そして各話の最後のコマはどこか余韻と哀愁がただようのも孤独のグルメってかんじでよい。

孤独のグルメを読む(もしくはドラマを見ても)と、知らないお店に入って冒険したくなる。10代のころは1人でご飯を食べるとなると、マックとかファーストフード店でしか食えなかった。怖くて1人で定食屋とか入れなかったから。20代ではいろいろなお店に入れるようにはなったが、それでも昭和な感じの大衆食堂みたいなところは入りづらかった。30代になった今ならそういうところも冒険して入れるようになってきたね。ただ、さすがに赤ちょうちん的な居酒屋に1人で行くのはまだやったことがないので、いつかできるようにはなりたいけど。

また、ドラマ版は全然見てなかったが、最近になってAmazonプライムの動画見放題サービスでシーズン1~4が見れるようになったので、今シーズン1を毎日夕食を食べながら見ている。ドラマ版はやはり料理が映像としてわかりやすいのがいいね。あと見ていると腹が減ってくるので、空腹時には見ないのがいいねw

孤独のグルメは、日常のありふれた何気ない料理を食べる楽しみを気付かせてくれるような漫画。特に僕のように食事制限しなくてはいけない身としてはね。朝と夜はあまり食べず、ランチに1日の食事のすべてを込めているような、そんな境地。なので、五郎のように好きなものを好きなだけ食べられるのがとてもうらやましくも思った。



おまけ

今日のランチは孤独のグルメっぽく開拓してみた。前から安いメニューが気になってたお店。肉野菜炒め定食。550円。

grume

肉量が思ったより少ないのが肉があまり食えない身としてはよかった。あと野菜炒めの下によく弁当に入っているパスタが入っている。孤独のグルメ2にもハンバーグステーキの回で五郎が『この付け合せの具無しスパゲティくんがどういうわけか俺 大好き』と言っている。改めて同じくと思った。あと味噌汁に細く切った大根が結構入っていてよい。さらに写真には見えないけど、のりたまふりかけが置いてあったのもよかった。

カウンター席だけで広くはないお店だけど、年配のおじさんが昼間から瓶ビールを飲んでいる自由さもいいなと。さらにおそらく定年退職した近所の常連のおじさん3人組がやって来て、店主と世間話しながら食べている感じもよかった。店主の客への気遣いもよかった。次回はハンバーグを食べたい。

行ったお店は以下。後で調べてみたら、テレビに取り上げられたりするような有名店だったようだ。

クロンボ - 高円寺/洋食 [食べログ]

一見怪しいお店も入ってみると案外よかったというのが、孤独のグルメっぽくて、次のお店の開拓につながるね。それが最近のふらふらした生活の地味な楽しみだったりする。



孤独のグルメ2
久住 昌之
扶桑社
2015-09-27

読むべき人:
  • 食べることが好きな人
  • ランチをいろいろ開拓したい人
  • 自由に食事を楽しみたい人
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May 02, 2015

荒木飛呂彦の漫画術

キーワード:
 荒木飛呂彦、漫画術、ジョジョ、王道、黄金の道
人気漫画家による王道漫画の描き方本。以下のような目次となっている。
  1. はじめに
  2. 第一章 導入の描き方
  3. 第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
  4. 第三章 キャラクターの作り方
  5. 第四章 ストーリーの作り方
  6. 第五章 絵がすべてを表現する
  7. 第六章 漫画の「世界観」とは何か
  8. 第七章 全ての要素は「テーマ」につながる
  9. 実践編その1 漫画が出来るまで
  10. 実践編その2 短編の描き方
  11. おわりに
(目次から抜粋)
ジョジョの奇妙な冒険』が好きであれば、著者の荒木飛呂彦の説明は不要だろう。もちろん僕も第1部1巻から第8部の最新巻までは一通り紙のコミックで読んでいる(漫画喫茶でとかだけど)。僕が中学生くらいのときは第4部が連載中で、濃くスピード感がない絵であまり面白くはないと思っていて、ジャンプを読むときも読んでないことがあった。しかし、大学生くらいになって再度1巻から読んでみたら面白いなと評価を改めた。2部までの波紋による肉弾戦も好きだけど、3部以降のスタンドバトルや魅力的な敵キャラ(吉良吉影とかカーズとかいろいろ)なども出てきて、割と好きな漫画だ。ちなみに一番好きなのは『冒険』という意味では3部、『奇妙な』という意味では4部だ。

映画が好きで、よく映画DVDを見ると、特典映像に監督によるシーンの解説とかが入っていたりして割と面白かったりする。どういう風に撮影されていて、何を意図してこのシーン、このセリフを役者に言わせているのかなどがわかるので。本書は、荒木先生による30年にわたる漫画家歴によって、漫画家を目指す人のために王道漫画のハウツウーを示したものであり、基本的に漫画家を目指す人のための本であるが、一漫画読者にとっては、映画の制作過程の舞台裏解説の漫画版のような本でもある。

漫画は絵だけがうまければいいってものではなく、キャラ、世界観やストーリー、テーマの各要素(これを基本四大構造と示されている)が綿密に絡み合っていないと漫画として面白くないというようなことが示されている。そして先生はこれを相当考えたり分析しながら漫画を設計(制作過程としては、アイディアノート→スケッチブック→シナリオ→ネーム→原稿となるらしい)されているのだなと思った。コマ割りとかキャラの服装、言動、表情、1話の構成など、相当いろいろと読者に面白く読んでもらえるように考えられているというのがよく分かった。漫画はなんとなく才能がすべてで感覚的に描かれるようなイメージがあったけど、割と地道な知的作業なんだなと思った。

ジョジョの魅力は各キャラの性格や言動、信条(例えば5部のブチャラティはマフィアの一員だが麻薬を忌避していたり、4部の吉良吉影の能力がありながら目立たないように平凡な生活を送っていたり、岸辺露伴の原動力が好奇心だったり)が作りこまれているからだなぁと思って読んでいた。これはキャラづくりには履歴書をベースにして、さらに将来の夢、恐怖、幼少期の精神的体験など60項目に渡る身上調査書を作るかららしい。へーと思った。

あとは第3部など世界を旅するようなものだし、5部はイタリアが舞台で実在のところもよく描写されていて、外国に行った気になるなと思っていた。そこは世界観の作りこみ時に入念なリサーチを事前にしてから、実際に現地に行って取材によるものらしい。さすがプロ漫画家だからそこまでやるのだなと思った。

痛いニュース(ノ∀`) : 【画像】 荒木飛呂彦(54)、顔写真による年齢判定サイトで27歳という数字を叩き出す - ライブドアブログ

最近のタイムリーネタで、また若返っているとか、若さの秘訣は石仮面をかぶったからとか、さすが波紋の使い手だとかいろいろと諸説が噂されるのだけどw、個人的には若さの秘訣は、本書に示されている「アイディアは尽きない」という部分が関連しているのではないかと思う。以下該当箇所の引用。
「アイディアは尽きないんですか?」と聞かれることもありますが、アイディアが尽きるというより、自分の興味が尽きるからアイディアがなくなるのだと思います。よいアイディアは、自分の人生や生活に密着しているのですから、興味がなくなってしまえば生まれなくなるのです。
 逆に、常に何かに興味を持つことができて、周囲の出来事に素直に反応できるアンテナを持ち続けられるのであれば、「アイディアが尽きる」ということはないはずです。
(pp.229)
よく新しいことや身の回りの出来事に興味や関心を失っていくと老化の兆候のように考えられるから、逆にそういう関心を常に持っていると少なくとも精神的には若く保たれるのではないかと思った。しかし、個人的には若さの秘訣は、世界観を作りこむ取材過程などで、当然のように波紋をマスターしている説を支持したいww

本書を読んでから漫画の読み方が変わるだろうなと思う。最近はKindleでジョジョのカラー版の5部まで買って読んでいるのだけど(ちなみにカラー版おすすめ。ジョジョの奇妙な冒険 第1部 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL))、漠然とストーリーを追う読み方から、作者の意図を読み解きながら分析的に読むようになる気がした。漫画好きな読者にとってはそういう本。漫画家になる人には、教科書のような本。漫画を描かない人、またジョジョをあまり知らない人が読んでもいろいろと面白いと思う。




読むべき人:
  • 王道漫画家になりたい人
  • 漫画を読むのが好きな人
  • 先生の若さの秘訣を知りたい人w
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May 31, 2014

人生って、大人になってからがやたら長い

キーワード:
 きたみりゅうじ、コミックエッセイ、大人、仕事、人生
人生についてのコミックエッセイ。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 30歳ってすごく大人だと思ってた。
  2. 第2章 仕事をがんばることが大人だと思ってた。
  3. 第3章 正解を知ってることが大人だと思ってた。
  4. 第4章 自分はもう少し大人だと思ってた。
  5. 第5章 少しずつ、「大人であろう」と思っている。
(目次から抜粋)
著者はフリーのイラストレーターであるが、最初は普通に就職し、プログラマとして働いていたようだ。その間に1回転職し、その会社が清算されて別会社に入るということを経験されたらしい。会社員としてのかたわら、副業でイラストレーターとしての仕事もこなしていた29歳くらいのときに、まだ自分の道を決めかねていたが、30歳を迎えるときにイラストレーターとして生きていくことを決め、会社を辞められたようだ。

著者は29歳になった年に、『なんかぜんぜん大人になってないんだけど』と気づいたらしい。それが1章のタイトルになっている。そして、著者曰く、『30歳になるころには、もっといろんなものが見えていると思っていたけど』と。

本書は書店のIT技術書コーナーでたまたま目に入って、1章のタイトルに惹かれて買って読んでみた。30歳になったばかりのころだったので、その昔、たとえば中学生のころに思い描いていた30歳像と現状の自分にえらくギャップがあるなと改めて思った。そんで著者と同じように、『30歳ってすごく大人だと思ってた』と思っていたが、現状ではいまだに週刊少年ジャンプを買って読んでいるし、その他にも漫画も読みまくり(ゲームはやらなくなった)、精神年齢もあんまり大人になっていないなと。そんな自分の現状も重ねて読んだ。

本書で示されていることは、割とありふれた出来事かもしれない。結婚したり、家を買ったり、子供が生まれたり、家族のために保険に入ったり、妻の家族との死別など。唯一特殊なのは、会社などで雇われではない、フリーのイラストレーターで仕事をされているという部分。それ以外は、誰でも経験していきそうな、もしくは経験されているものだ。

しかし、そのありふれた出来事は、自分にとってすべて未経験なので、先を生きている先輩の経験談としてとても勉強になった。30歳になってから、どうやって生きていくべきか?と以前もよく考えていたが、最近特に考えるようになっていたので。

例えば、結婚して家庭を持つと、もはや自分だけの生活ではないし、家族のためにお金を稼がないといけないし、子が結婚して巣立つのを見届けるまで死ねない!!とか、なるほどなぁと思った。婚活婚活と言っていろいろと言動しているけれど、そういう具体的な将来像までまったく思い描けていないよなと。そんで、今までほとんど貯金もしてなかったし、家を買うとなるとローンとか頭金と考えないといけないが、そんな金ないしなと。なんというか、もっと現実的に考えなくてはダメじゃないか!?と思った。

あとは会社員ではなく、イラストレーターとしてのお仕事の状況も勉強になった。独立してフリーで仕事をすると、仕事がないとか予定が何もないと恐ろしい状況であるようだ。そんで、仕事をたくさん引き受けて、時間当たりの効率化をはかり、たくさん稼ごうと思っていたけど、だんだん仕事が嫌になってきたりして、頑張った結果が「壊れて終わり」だとダメだよなと気づかれたらしい。それが2章の『仕事をがんばることが大人だと思ってた。』になる。

独立してフリーで生きていくのは大変そうだなと思った。かといって、会社員は会社員でそれなりに大変なのだけど、きっとそれはベクトルの違いだ。

以前から人生ってなんだ?どうやって生きていくんだ?とずっと考えていた。このブログも結局はそれを考えるためのきっかけのためにあったりする。そうやってずっと10年近く考えてきたのだけど、考えているだけでもダメだよなと。もちろん何も考えないよりはいい。それでも現在進行形で生きているという現実に目を向けて、やるべきこと、やりたいことを淡々とこなしていくしかないのかなと思った。

30歳という年齢は、自分のできること、できないこと、得意なこと、向いていること、やりたいことがなんとなく経験的にわかってくるころだろうなと。大学生くらいのころはそういう経験が圧倒的に足りないから客観視できなかったりするしね。そうやって経験してみて、ではこれからどうしようか?とやはり考える時期で。個人的には持病もあるし、ずっと今の仕事、会社員として働くのはしんどいから、なんとかそれ以外の方向で模索していくしかないのかなと思ったりもする。

そして、野望とか夢に良くも悪くも諦めも重要で、今まで保留にしてきたこと(どこで誰とどうやって生きていくかといったことなど)も少しずつ確定していかなくてはいけないんだろうなと。そうやって現実と理想の折り合いをつけていく頃が30歳なんだなと。

そんなことなどを、著者のコミックエッセイを読みながら考えた。今のままじゃダメじゃん、という側面もあれば、でも案外なんとかなるんじゃない!?とも思った。

コミカルに描かれている絵だし、ありふれた出来事なんだけど、著者の等身大の心情が描かれている気がする。きっと良い人なんだろうなと著者の人柄も感じさせられる。漫画として読んでも面白しい、何よりも自分のこれからの生き方について気軽に考えられたのがよかった。もちろん考えながら、地道に行動もしていかないとだけどね。




読むべき人:
  • 30歳くらいの人
  • フリーで生きていきたい人
  • 人生について考えたい人
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November 24, 2012

マルドゥック・スクランブル【漫画版】

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC)
マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC)

キーワード:
 冲方丁×大今良時、バロット、ウフコック、ボイルド、焦げ付き
冲方丁氏のSF小説の漫画化作品。作画は大今良時という人。どうやらこれが初連載作品らしい。原作は以下の記事を参照。この作品を読んだ後に、漫画版が刊行されていたことを知った。原作はとても面白くて、ページが止まらなくなるほどだった。サイバーパンク的でバトル要素もあるこの作品が漫画化されたとなると、チェックしないわけにはいかない!!全7巻で、7巻目は今年2012年6月に刊行されたようだ。

先に小説を読んでいると、どうしても主人公である15歳の少女、ルーン・バロットのイメージが脳内にすでにあり、それと具体化された漫画の作画のギャップがあるものだと思っていた。特にコミックのカバーイラストは小説のカバーイラストと違うので、微妙かと思っていたのだけど、実際に読んでみるとあまり違和感がなかった。むしろ、大人でも子供でもない微妙な15歳という年齢、そして透明感をまとったルーン・バロットが白兵戦兵器のネズミ、ウフコックと共に脳内イメージ通り、いやそれ以上に躍動していた。

これが初連載とは思えないほど画力が安定しているなぁと思った。キャラの描き分けもバトルシーンも問題なかった。これでも漫画喫茶で割と漫画を読みまくっているほうなので(昨日も逝って12時間以上いたけど何か!?ww)、画力に対するチェックは厳しくなるのだけど、これは結構よかった。小説で読みながらイメージ化していたものが見事に具現化されているし、バトルシーンでどうしてもイメージしずらいところもちゃんと描かれていた。

何よりもよいのは、主人公ルーン・バロットの表情の描写だなと思った。精神的に未熟な部分もあったり、虐げられていた過去もあったりして物憂げな表情であったり、ウフコックという兵器を濫用して狂いつつある恍惚な表情、泣き顔、追い詰められて絶望する顔、自分の意志で決断した顔、笑顔などちゃんと描かれていて、これだよこれ!!と感じさせてくれた。

個人的には、ストーリーとか設定、単純な画力のよさではない、これはいいね!というか何か惹きつけるものがある漫画は、キャラの表情をちゃんと描き分けられること、もっと言えば意志のある瞳を描けるかどうか?にかかっていると思っている。セリフが全くない状況でも表情や瞳で描写できるかがとても重要な要素だなと。好みの問題もあるかもだけど。

後は先に小説を読んだのなら、自分でイメージしたキャラたちと漫画の描写のギャップを楽しめるかな。まったくギャップがないわけでもないので、そういう部分になんか原作のイメージと違うと自分の好みで低評価を下しがちだけど、そういうギャップを楽しめたほうがよいと思う。僕の場合は、敵のボイルドが一番ギャップがあった。もっとおっさんでゴツいものを想像していたけど、漫画では20代後半で細身で長身の男として描かれていた。しかし、ボイルドが迫ってくるシーンなどは小説で読んだ緊迫感がそのまま再現されているようで、読んでいる方もプレッシャーを感じる。

あとはカジノでバロットとルーレットで勝負する、女スピナーのベル・ウィング。自分は勝手に太った女性像をイメージしていたけど、ポニーテールのスマートな感じだった。むしろ漫画のイメージのほうがいいじゃないかと思いつつ読んだ。逆にドクターの描写はあぁ、イメージ通り!!と思った。

さらにネズミのウフコックはなんだかとても可愛らしく描かれていて、とても兵器には見えない。でもそれが全体の柔和な画力をより引き立たせているようでもあった。

漫画のストーリー展開はかなり原作に忠実な感じだと思われる。要所にこれは原作のセリフをそのまま決めゼリフに使っているなというのがよく分かる。しかも違和感もなく。もちろん漫画版のアレンジが全くないわけでもない。例えばバロットが街のお祭りで射的をやってタコの人形をゲットして小さい子供にあげたりとか。そういうアレンジも楽しめる。

最近劇場アニメ版の3作目、【排気】が公開されたようなので、初期作品からチェックしようと思う。こちらはショートカットなバロットのようだ。

先に漫画から読むのもよし、原作を先に読むのもよし!!どちらからでも一気読みできることは間違いない!!



マルドゥック・スクランブル(7)<完> (講談社コミックス)
マルドゥック・スクランブル(7) (少年マガジンKC)
著者:大今 良時
販売元:講談社
(2012-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • マルドゥック・スクランブルが好きな人
  • SFバトル漫画が好きな人
  • 「なぜ私の?」と問うたことがある人
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March 18, 2012

聖闘士星矢

聖闘士星矢 1 (集英社文庫―コミック版)
聖闘士星矢 1 (集英社文庫―コミック版)

キーワード:
 車田正美、戦い、神、正義、愛
聖闘士星矢の文庫版、全15巻。あらすじ的なものはWikipedia参照。過去に1回だけ漫画喫茶で通読したのだけど、以前参加したスゴ本オフの『戦争』がテーマのときの戦利品として全15巻を譲り受けた。前から文庫版を集めようかなと思っていたところだったので、思わぬ収穫であった。ちなみに、自分は『スカイ・クロラ』で参戦した。

聖闘士星矢を持参された方曰く、この物語は『人間の神への挑戦』ということらしい。物語としては聖域編、海皇ポセイドン編、冥王ハーデス編と3部作となっているが、それぞれ神になろうとした双子座(ジェミニ)のサガ、全知全能の神ゼウスと双肩するポセイドン、そして冥界の神ハーデスへと星矢たち青銅聖闘士が戦いを挑んでいくというお話(若干守るべきアテナに翻弄されつつも・・・)。

数年ぶりに読んでみると、内容をさっぱり忘れていて、また楽しめた。熱い。まさに小宇宙(コスモ)が燃え上がってくるような感覚。ジャンプ黄金時代に連載されていて、友情、努力、勝利を体現しているような作品だったなぁと。まぁ、細かいところに突っ込まざるを得ない部分が多いのだけど(笑)。やたらと死にかけの状態で何度でも立ち上がってコスモを燃やせば戦闘中に強くなり、お前ごときに絶対やられるはずがないと自信たっぷりの敵が『なにぃ!!』と言いながら結局やられるという展開とか。

あとは、黄金聖闘士中、エイトセンシズに唯一目覚めている乙女座(バルゴ)のシャカとか、仏教徒が聖闘士として活躍するのはまぁいいのだけど、超必殺技、天空覇邪魑魅魍魎で背景画に天使が出てきたりとかwwそこはなんというかもうちょっと仏教の天上天下唯我独尊的なイメージでもよかったのではないかとか。

だが、戦闘はテンポよく進み、ページ見開きの必殺技の派手さ、ネーミングセンスは圧巻であり、迫力満点。もう宇宙とか異次元空間とか幻覚を見せたりとかそれぞれのキャラ特性、星座特性を活かした大技が繰り広げられて、自分もついなんか必殺技名を声高に叫びたくなるwwペガサス流星拳、廬山昇龍覇、ダイヤモンドダスト、ネビュラストーム、鳳翼天翔って感じで!!でも紫龍や氷河、瞬は必殺技をたくさん覚えていくのだけど、星矢だけは終始ペガサス流星拳だけで戦っていた印象が強く、なんか超必殺技がほしかったなぁと思った。

あと、聖衣はいいね!。もうかっこいい。聖衣(クロス)から鱗衣(スケイル)、冥衣(サープリス)、そして神聖衣(ゴッドクロス)といろいろ種類があるのがいいね。自分は特に黄金聖衣がいいかな。12星座それぞれのデザインがすばらしい。自分は水瓶座なので、ついついカミュの聖衣に肩入れしてしまう。この黄金聖衣、実物大のレプリカが昔秋葉原で展示されているのを見に行ったことがある。神々しく光り輝いていた。絶対自分が着ても似合わないだろうけどww

あとはキャラ設定とか伏線の貼り方もわりと面白いなぁと思う。漫画全体としては、こまけーことはいいんだよ!!っていう感じで詳細に目をつぶると、王道バトル漫画の教科書的な内容かなと思う。画力あり、話の展開は割と見えない、死んだキャラが復活して活躍する、ブロンズ、シルバー、ゴールドなどの階級、ギリシャ神話、神といった設定もすばらしい。

聖闘士星矢シリーズは他にも結構たくさん出ていて、それらも当たってみたい。以下がとても参考になる。そして、聖闘士星矢のオリジナルアニメ、聖闘士星矢Ωが4月1日からスタートなので、これも見逃せない!!聖闘士星矢を読むと、熱い気持ちになれつつも、絶望的な状況でも最後まで諦めない大切さみたいなものを教えてくれる気がした。そして、熱い気持ちで修行したい人はこれらのシリーズ全部読むべきかなとwwコスモが燃えてくること間違いなし!!!!



聖闘士星矢 文庫 全15巻 完結セット (集英社文庫―コミック版)
聖闘士星矢 文庫 全15巻 完結セット (集英社文庫―コミック版)
著者:車田 正美
販売元:集英社
(2011-02-28)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • 王道バトル漫画が好きな人
  • ギリシャ神話とか神設定が好きな人
  • 熱い気持ちで日々過ごしたい人
Amazon.co.jpで『聖闘士星矢』の他の作品を見る

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December 29, 2011

【ネタ記事】2011年激プッシュ漫画11作品!!

年の瀬ということで、まとめ記事みたいなものを書いていきたいと思う次第で。

ということで、

2011年激プッシュ漫画はこれだ

本来なら漫画カテゴリを設定しているので、1作品ずつ紹介すべきなのだけど、このカテゴリはなるべく完結したものだけを取り上げたい。しかし、面白いもので連載中のものや漫画喫茶で読んだものを個別に取り上げるのはちょっと微妙ということもある。とはいえ、いろいろと紹介したいというのもあって、今回のまとめ記事となる。

以下選定基準は、単に今年買って読んでみてよかった、もしくは漫画喫茶で読んで面白かったもの、以前から連載中で特に面白い!!と感じたものを挙げる。すべて1巻を示す。今年刊行された漫画ではないのであしからず。

結果的に11作品の紹介となったが、特に11には深い意味はない。

狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)
著者:久慈光久
販売元:エンターブレイン
(2010-02-15)
販売元:Amazon.co.jp
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2chの漫画スレでプッシュされていたもので、買ってみたら結構よかった。ドイツとイタリアを結ぶ狼の口と呼ばれる関所の話で、そこの地元民がパプスブルク家に関所以降から出れないようにされている。そこで、その関所を乗り越えようと密航や戦闘であの手この手で試みるが、無残にもそこの番人に阻まれるというお話。

画力が何よりもすばらしい。中世もので、バトル要素もあり、残酷な描写も多い。そこの番人をどうやってギャフンと言わせるかの地元民のこれからの展開が気になるところ。中世、バトル要素好きなら要チェック!!

キングダム 1 (ヤングジャンプコミックス)キングダム 1 (ヤングジャンプコミックス)
著者:原 泰久
販売元:集英社
(2006-05-19)
販売元:Amazon.co.jp
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漫画喫茶で読み始めて、まだヤングジャンプで連載中。秦王朝時代の合戦物。下僕の身分のわらしべ信が秦軍で将軍目指して、伍長、百人将、千人将と出世して活躍していく。割と合戦中の兵の配置など戦術的な話もあり、そこが単純なバトル漫画とも違ってよい。あとは、秦王朝時代の政治的な話、歴史的な話も読んでいて面白い。特にこれが熱い漫画で、信が武功を立てて出世していくのが爽快!!出世目指す人は必読だ!!

死がふたりを分かつまで(1) (ヤングガンガンコミックス)死がふたりを分かつまで(1) (ヤングガンガンコミックス)
著者:たかしげ 宙
販売元:スクウェア・エニックス
(2005-12-24)
販売元:Amazon.co.jp
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だいぶ前に買って読んでみて、今も連載中で15巻まで続いている。盲目の剣士がエレメンツネットワークという犯罪排除集団に属し、あらゆるものを切り伏せていくお話。闇の組織とか中東の武装集団との戦闘シーンが迫力満点!!主人公が盲目だけど、特殊なサングラスで対象物を認識し、ハイテクブレードで弾丸までもスパスパと切り伏せていく。この物語、単独でも面白いのだけど、途中でクロスオーバーして他の漫画の主要キャラが入り乱れてくる。そこが他の漫画にはない面白さ!!

JESUS 砂塵航路 1 (ビッグコミックス)JESUS 砂塵航路 1 (ビッグコミックス)
著者:七月 鏡一
販売元:小学館
(2009-09-30)
販売元:Amazon.co.jp
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死がふたりを分かつまで』とクロスオーバーしている作品がこれ!!この漫画の前作として『ジーザス』というのがあって、それの続編。特殊部隊上がりの凄腕の殺し屋がひょんなことから高校教師になって、生徒を守りながら闇の組織と戦うというお話。死がふたりを分かつまで』の主人公との同じ戦闘シーンがそれぞれの漫画で別視点から描かれていたりする。もちろん全話クロスオーバーしているわけではないので、単独で読んでもよいが、『死がふたりを分かつまで』で描かれなかったエピソードがこちらに載っていたりと、あわせて読むと2倍、3倍と面白くなる作品。バトルシーンの画力も高く、前作も含めて読むのが絶対お勧め!!

闇のイージス 1 (ヤングサンデーコミックス)闇のイージス 1 (ヤングサンデーコミックス)
著者:七月 鏡一
販売元:小学館
(2001-03)
販売元:Amazon.co.jp
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クロスオーバー作品は、2作で終わらない!!『JESUS 砂塵航路』の原作、作画コンビの別作品がこれ。これの続編で『暁のイージス』というのがあって、すでに完結している。ハイテクの義手をつけたイージスの盾と呼ばれる守り屋が闇組織に立ち向かうという話。この主人公も『死がふたりを分かつまで』、『JESUS 砂塵航路』に出てくる。まだ数巻しか読んでないけど、これもあわせて読むと、クロスオーバー作品が格段に面白くなる。

自分の中では、このクロスオーバーの試みはすごくよいと思う。ワンピースとドラゴンボールのような1話読みきりスペシャルなコラボではなく、脇役急に何度も出現して活躍する感じ。バトル漫画だからなおさらそれぞれの持つ戦闘特性を活かしていてよい。

牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)
著者:七月 鏡一
販売元:スクウェア・エニックス
(2010-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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JESUS 砂塵航路』、『闇のイージス』と同じ原作者の作品。作画は別。最近買って当たりだった漫画。世界大戦後から数百年たった現代で、高度な文明は衰退している世界。旧世代の武器を発掘しては使えるようにし、それを売り歩く女武器商人の話。モンスターや霊的なもの、獣人とかも出てきて、ダークファンタジー的な世界観となる。そこで旧世代の重火器や刀剣を馬車につめて売り歩く武器商人が活躍する。

何よりも画力がよい。濃い線で、読ませる絵。まだ3巻までしか出ていないので、ストーリー展開はこれから期待したいところ。強い女キャラが好きな人は買い!!

シンバ・ラ・ダ 1 (ヤングジャンプコミックス)シンバ・ラ・ダ 1 (ヤングジャンプコミックス)
著者:塩塚 誠
販売元:集英社
(2011-07-19)
販売元:Amazon.co.jp
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記事タイトル通り、今年発売した漫画となる。ヤングジャンプで連載されていたらしいが、全3巻で完結してしまっている。

Wikipediaに記事がないので、簡単にあらすじを示すと、大戦後に海が広がり、絶海の孤島で暮らす少年は、他国から漂流した王子と出会う。少年が住む島には、植物の遺伝子操作から生まれたラ・ダと呼ばれる人型の巨大兵器が隠されていた!!という話。

ストーリーは微妙な感じだったが、画力が何よりもすばらしかった。『エアギア』、『天上天下』の大暮維人の絵に似ている。日本刀を持つ女親分の喜怒哀楽の表情描写が特によかった。セリフがなくても絵で語っているのがよくわかり、絵に心を奪われるような感じ。これからの作品に期待!!

なんかバトル漫画ばかり挙げている気がするなぁww
気にせず続けると、次は以下。

ドロヘドロ 1 BIC COMICS IKKIドロヘドロ 1 BIC COMICS IKKI
著者:林田 球
販売元:小学館
(2002-01)
販売元:Amazon.co.jp
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これもよくネット上で話題に上がる作品。20代前半のころに読むのを試みたけど、なんとなく絵が受け付けず、読めなくて面白くないと思っていた。しかし、改めて読んで見たらこの世界観に見事はまった!!妙に世界観がサブカル系だなぁと思って作者を確認すると、女性らしい。納得した。なんだか中世ヨーロッパの見世物小屋のような感じで、アクマとか魔法使い、ゾンビ、ゴキブリみたいな巨大生物などがいろいろ出てきて面白い。魔法でトカゲになった主人公がうまそうに餃子ばかり食べているシーンが多いので、ついつい自分も中華料理屋で餃子を食べるようになってしまった(笑)

絵は鉛筆画のようで、人によっては受け付けないかもしれないけど、多様な登場人物が出てくるのがよい。そしてストーリーは謎解きな感じで進み、どうなるかは、『それはまだ……混沌の中。それが……ドロヘドロ!』となる。

闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)
著者:真鍋 昌平
販売元:小学館
(2004-07-30)
販売元:Amazon.co.jp
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ここでちょっと趣を変えてこれ。よくネット上で話題に上がり、かつニートの典型的なダメなやつのシーンがアップされている元ネタがこれ。闇金業者の社長のウシジマくんが多種多様な金に困っているやつに貸し付けるお話。人はなぜ借金に走るのかがよくわかる。それと同時に、無計画な闇金からの借金は絶対ダメだ!!ってことがよくわかる。ウシジマくんが『身の丈にあった生活をしていればいいんだよ』みたいなことを言っていて、カード払いしすぎな自分を反省するww

画力も高く、読ませる内容だけど、鬱展開のときが多く、漫画喫茶で読んでいるとなんだか精神的に沈んでいくので、連続して3〜5巻までしか読めない(笑)。借金に来る多様な人々にそれぞれスポットライトを当てて話が進んで行き、下層階級の人々の人間模様がリアルに描かれている。一つの社会勉強になるのかな。

星を継ぐもの 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)星を継ぐもの 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
著者:星野 之宣
販売元:小学館
(2011-06-30)
販売元:Amazon.co.jp
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今年発売。J・P・ホーガン原作のSF小説の漫画化となる。原作は大学生のときに挫折しそうになりながらなんとか読んだ。改めて漫画で読むと、こんな話だっけ?となった。どうも続刊の『ガニメデの優しい巨人』のエピソードが含まれているようだ。

でもまぁ、地球人に近いルナリアンや異星人、異形な動物が出てきたり科学的な講釈があったりで割りと面白いと思う。小説ほど読みにくいということはないので、こちらから入るのがよいかもしれない。

図書館の主 1 (芳文社コミックス)図書館の主 1 (芳文社コミックス)
著者:篠原 ウミハル
販売元:芳文社
(2011-08-09)
販売元:Amazon.co.jp
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今年発売らしい。これは最近買った漫画で一番の当たり作品!!!児童図書館の話で、口の悪い図書館司書が大人にも児童書を勧めて、その人のうまくいっていない部分や気づきを示唆するというお話。

出てくる児童書は、『宝島』だったり『幸福の王子』、『ニルスのふしぎな旅』、『うた時計』などが出てきて、子供のころに読んだっていうものから、知らないものがあったりで、童心に戻れる部分もあり、改めて大人になって読むと得られる気づきもあるのだなぁと気づかされる。

また、口の悪い主人公のセリフに名言があり、なるほど!!と思わされる。一番いいね!っていうのは、『お前が本を選ぶんじゃない 本がお前を選ぶんだ』というセリフ。これはよかった。

そして、何よりもこの漫画は図書館、そしてそこで働く司書の存在意義や重要性を示してくれる。より多くの人によい本を読んでもらいたいという主人公の想いが示されていて、このような『図書館』と名づけて読書ブログをやっている自分にとって、これはとても共感でき、かつ重要漫画だと思った。

まだ1巻までしか出ておらず、2巻は年明けに出るが、単純に読み物としても面白いので、絶対買い漫画!!今年一番のプッシュ作品はこれだ



なんか偏ったラインナップとなったなぁ〜。本当はもっといろいろあったのだけど、それらは完結したときに漫画カテゴリで個別に示すことにしよう。

今年は普通の本よりも、漫画喫茶でたくさん読んだ印象。去年はTOEICトレーニングでまったく漫画もあまり読めなかったし、今年はその反動で漫画喫茶に何度も行った感じかな。もう漫画喫茶で生活したいくらい(笑)

あとは今年読んだ本、ベスト10記事でも示しておこう

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December 04, 2010

天上天下

天上天下 1 (ヤングジャンプコミックス)天上天下 22 (ヤングジャンプコミックス)
天上天下 1 (ヤングジャンプコミックス)
天上天下 22 (ヤングジャンプコミックス)

キーワード:
 大暮維人、格闘、学園、歴史、強さ
大暮維人による学園バトル漫画。あらすじはWikipediaにまるなげ。最近になって最終巻、22巻が発売され、完結した。

初めてこの漫画を読んだのは、中学3年生の高校受験時期だったと思う。1巻を誰かが持ってきたのを読ませてもらって、この漫画に強烈に引き寄せられた。ここまで漫画のキャラに引き寄せられたのは初めてだったのではないかと思う。

自分が今まで読んできた漫画の枠組みがぐっと広げられた気がする。それほどキャラの躍動感がすごいと感じていたと思う。それから10年ほど経ち、ようやく完結した。

学園バトル漫画なので、最初は不良二人が強い敵とどんどん戦っていく話だったけど、だんだんと歴史的な話や異能な格闘家が出現するにつれて話の収集がつかなくなっていった気がする。そしてラストは、スクウェア系のRPGのラスボス戦みたいな感じになっている。

ストーリーは正直1回読んだだけでは全容が把握できない。もう一度最初からいっきに読めばよく分かるかもしれない。まぁ、そもそもこの漫画にストーリーの整合性などを求めてもしょうがない部分があるかもしれない。そもそも主人公が出番少なくて影薄すぎるしwww

どちらかというと、圧倒的な画力を鑑賞するべき漫画かもしれない。バトルシーンは圧巻の一言に尽きる。漫画を多く読んできたけど、ここまで繊細かつ力強い描写ができる漫画家はいないのではないかなぁと思う。絵柄もダントツで好きな感じだ。

10年ちょっと前、中学3年生のころから読み始めた漫画が完結するのはなんとも言えない感じだ。もう今では漫画の主人公たちの年齢を通り越して、社会人になってしまった。なんともいえない寂しさが残る。年2回単行本が発売するのを楽しみにしていたからね。

暴力、グロ、エロ描写がダメな人は読まないほうがよいかもしれない。面白さは正直分からない部分もあるけど、圧倒的な勢いがあるのは確か。

同著者のエアギアはまだ連載中で、こちらもよい感じ。

エア・ギア(30) (少年マガジンコミックス)
エア・ギア(30) (少年マガジンコミックス)

まぁ、よく二刀流でここまで描けるもので。



天上天下 1-21巻コミックセット (ヤングジャンプコミックス)天上天下 1-21巻コミックセット (ヤングジャンプコミックス)
著者:大暮 維人
販売元:集英社
(2010-10-29)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:
  • バトル漫画が好きな人
  • 綺麗な絵柄が好きな人
  • 強くなりたい人
Amazon.co.jpで『大暮維人』の他の作品を見る

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April 21, 2010

MW

MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
MW(ムウ) (1) (小学館文庫)

キーワード:
 手塚治虫、毒ガス、米軍基地、テロリズム、狂気
手塚治虫の漫画。あらすじをWikipediaの記事から一部抜粋。
梨園に生まれたエリート銀行マン・結城美知夫(ゆうきみちお)には、狂気の連続凶悪犯罪者としての顔があった。犯行を次々に重ねては、その後に教会を訪れ、旧知の神父・賀来巌(がらいいわお)のもとで懺悔を行なう美知夫。しかし、2人は同性愛者として、肉体関係を結んでいた。

かつて美知夫は、少年時代に南国の沖ノ真船島(おきのまふねじま)を訪れ、この地にたまたま来ていた不良少年グループにかどわかされた経験をもつ。その際、同島に駐留する某外国軍の秘密化学兵器「MW(ムウ)」が漏れた。島民が相次いで変死する地獄絵を目の当たりにしたトラウマと、自らも毒ガスを吸ったショックとから、美知夫は心身を蝕まれる。
もうちょっと詳しく見たい場合は、以下から参照。手塚作品は何百作品もあり、自分もいろいろと読んできたけど、これはかなり狂気じみた内容だなぁと思った。間違いなく18禁。中学生でもまだ早い内容だなぁ。

強姦、殺人、脅迫、男色、テロリズムなどなどと、ムウガスによって狂わされたエリート銀行マンの執念じみた犯罪が繰り返し描写されている。手塚作品にはいろんな悪役が出てくるけど、ここまで冷酷なキャラはそうはいないんじゃないかなぁと思った。他の作品は悪にも理由が描かれているような気もするが、これはほとんどそれが描かれてない。

結城美知夫が望むのは、ムウガスによる世界の破滅であり、徹底的に慈悲もなく殺しまくる。それはムウガスによって善良な部分が犯されてしまった結果であるとも示されている。結城美知夫もまた考えようによっては、ガスの被害者とも取れる。

軍事基地のモデルは、米軍基地のようで、田中角栄をモデルにした政治家なども出てくる。現在普天間基地問題が起こっている中、これを読むといろいろと考えさせられる。もしそんな大量殺戮兵器があったら?と考えたりするとね。杞憂だと思うけど。

この作品は映画化されており、気になっていた。まだ見てないけど。同性愛描写があるのかどうか気になるところだが、Wikipediaによると、スポンサーの意向でカットされたらしい。腐女子じゃあるまいし、そんなボーイズラブ展開を期待してもしょうがないが・・・。

面白いことは間違いない。しかし、ラストの衝撃と読了後の後味の悪さもあいまって、他の手塚作品ほど正面から受け止められないのも確か。怖いもの見たさで読めばよいかもね。漫画なのに読み進めるのが若干ためらわれる。

こういう作品は、以下の作品に似ているかもしれない。もちろん、これも読み進めるのが若干というか、かなり躊躇させられる内容だけどね。

2巻で完結の作品。狂気に触れてみたい人はどうぞ。



MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
著者:手塚 治虫
販売元:小学館
発売日:1995-02
おすすめ度:4.5

読むべき人:
  • 普通の漫画に読み飽きてきた人
  • 米軍基地問題に関心がある人
  • 狂気について考えてみたい人
Amazon.co.jpで『手塚治虫』の他の作品を見る

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November 03, 2008

エンゼルバンク 4

エンゼルバンク 4―ドラゴン桜外伝 (4) (モーニングKC)
エンゼルバンク 4―ドラゴン桜外伝

キーワード:
 三田紀房、エンゼルバンク、転職、読書論、成功タイプ
転職請負漫画、エンゼルバンクの最新刊4巻。基本的には、漫画は完結したものしか取り上げないのだが、今回の内容は特になるほど!!と思ったので、特別に取り上げておくことにする。

今回の内容の肝は、『啓発本は書いた本人だけが成功しているものだ』という桜木の主張で、これはなるほど!!と思った。これはどういうことかというと、自己啓発本というものは、正しい読み方をしない限り、ただ山ほど読んだところで、成功は近づかないとある。そして、本を読んでも成功する人間はほんの一部であると示されている。以下そのシーンの桜木の台詞を抜粋。
教えてやろう
本への反応の仕方を 見るだけで 
成功するかどうかわかる
反応は二通り

「へえ」と 「そうそう」だ

(中略)

成功するのは 「そうそう」と 思うタイプ
(キャリア33 世界一のパン屋から抜粋)
これはどういうことかというと、「へえ」と思うタイプは、知識を得て驚いて、内容をすぐに実践するが、すぐに結果が出ないと次の本に手を伸ばし、繰り返し失敗しても本のせいにするようだ。結局、「へえ」タイプは自分では何も考えていないということらしい。これは図星で思い当たるなぁ・・・。そして、「そうそう」と思う人間は成功するようだ。以下そのシーンの桜木の台詞を抜粋。
「そうそう」と 思うのは・・・・・・
本に書かれていることと 自分の普段の考えが 
似ているから

成功した人と 同じ思考法なことで 自信がついて

堂々と行動でき 成功への確率が より高まる

自分で考えて いるかどうか・・・
本の読み方だけからでも 
そいつがどれだけ モノを考えてる奴か 
推測できるんだ
(キャリア33 世界一のパン屋から抜粋)
これはもう衝撃的!!なるほど!!(「へえ」じゃないよ!!)と思った。漫画なのにこの桜木の台詞を思いっきり蛍光ペンでマークした(笑)

確かに言われてみればそうだよなと思った。自分は何回この書評ブログで『へえと思った』と書いたか分からない(笑)もうぜんぜんダメ。「へえ」をこの書評ブログのNGワードに設定wwwでも中には、「そうそう」と思うものもあった。直近では、『「突き抜ける!」時間思考術』での午堂さんの本の読み方について。これはもう「そうそう」と思って読んだ。この「そうそう」感!?で、自信を持っていろいろな本を読めていると思う。

正直最近迷いがあって、特に右のサイドバーにあるビジネス書、自己啓発本カテゴリの冊数だけが突出していて、同じような本を読み続ける意味はあるのか?と思っていた。自己啓発本を多読する意味って、実はあんまりないのではないかと思っていた矢先にこの桜木の主張。これは引き寄せの法則!?が働いていると思う。

今漠然と考えているのは、自己啓発本の読書を一時凍結しようかと思っている。もう、新たに得られる知識や知見がなくなってきて、正直飽きてきたというのが本音。それよりも、自分の読みたいほかの分野をもっと読むべきかなと。そうなると、毎日更新ができなくなるが・・・。今後の方向性については、後ほど別記事で示しておこう。

この社会人版ドラゴン桜である、エンゼルバンクはいつも気づかされることが多い。本当に勉強になる。これはもう、読み続けるしかないよ。社会人で転職やキャリアについて漠然と考えている人は絶対読んだほうがいいよ!!

また、ビジネス書評ブロガーである、鹿田さんはドラゴン桜のほうを全巻レビューされているので、こっちもようチェック!! これを機に、自分もエンゼルバンク、もしくはマネーの拳
を全巻レビューしようかしら!?

著者の本では以下もお薦め。とにかくこの著者の本も漫画もどれもお薦め!!
エンゼルバンク 4―ドラゴン桜外伝 (4) (モーニングKC)
エンゼルバンク 4―ドラゴン桜外伝

読むべき人:
  • 自己啓発本を多読するのが好きな人
  • ついつい本を読んでいて「へえ」と感嘆してしまう人
  • 転職やキャリアについて漠然と考えている人
Amazon.co.jpで『三田紀房』の他の本を見る

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August 13, 2008

走れ!クロノス


走れ!クロノス―The best 4 stories by Osamu Tezuka (秋田文庫)

キーワード:
 手塚治虫、SF作品、宇宙人、馬、友情
手塚治虫の短編集。以下のような目次となっている。
  1. 走れ!クロノス
    1. <発進ミス>
    2. <ふしぎな子馬>
    3. <野馬追い事件>
    4. <友情は宇宙を馳せて>
  2. ひとでの秘密
  3. ぐうたろう千一夜
    1. <不幸駅へのキップ>
    2. <女隊長デルマ>
    3. <異次元教室>
  4. バカ一
(目次から抜粋)
ある日馬型の宇宙人が地球にやってきたが、宇宙人の宇宙船が発進ミスにより爆発し、山が噴火し、ふもとの村を壊滅させてしまう。村の少年至は、母親や家族を亡くし、至自身も半身不随になり、父親と二人暮らしになる。クロノスというのは、至の家の家畜の新生馬で、至に懐くようになる。しかしあるときから、クロノスは笑ったり、カンガルーほどの跳躍を見せることになり、さらには喋れるようになる。それは、馬型の宇宙人によって知能強化剤を与えられたからだった。クロノスは大型の馬に成長するが、馬型の宇宙人の宇宙法違反の証拠隠滅のために、クロノス殺害が命じられ、クロノスは追われる身となる・・・。

『走れ!クロノス』というタイトルは、太宰治の『走れメロス (新潮文庫)』をもじっているのだと思う。そんなタイトルに惹かれて買ってみたが、これはそこまで面白いなとは思わなかった。『走れ!クロノス』以外にも、ヒトデ型宇宙人に人が乗っ取られる『ひとでの秘密』や、ぐうたろうという冴えない中学生が主人公の『ぐうたろう千一夜』、ちびで何もとりえのなかったバカ一が催眠術に目覚めて町に混乱をもたらす『バカ一』などの物語が収録されている。『走れ!クロノス』が長編だと思って期待していたら、違って少しがっかり。

これらの作品は『中一時代』という雑誌に載ったものなので、中学生向けの内容だと思う。しかし、それにしても結構残酷に人が死んだりして、中学生当事に読むと少し衝撃を受けるかもしれない。簡単にハッピーエンドにならず、少し考えさせられる内容を狙っていたのかなと思った。

このような短編集は、気分転換に読むのがいいと思う。

読むべき人:
  • 手塚治虫が好きな人
  • テストが嫌いな中学生の人
  • SF作品が好きな人
Amazon.co.jpで『手塚治虫』の他の作品を見る

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June 17, 2008

大人も知らない「本当の友だち」のつくり方


大人も知らない「本当の友だち」のつくり方

キーワード:
 松本啓子 / かなしろにゃんこ、友だち、漫画、コミュニケーション、きりかえ
友だちと心を通わせるために役立つコミュニケーションの方法が漫画とともに示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 序章 本当のことを言ったらきらわれる?
  2. 第1章 自分のことをわかってもらおう―宣言のわたしメッセージ
  3. 第2章 「イヤ」と言いたいときの伝え方―返事のわたしメッセージ
  4. 第3章 したいことをするのはわがままなこと?―予防のわたしメッセージ
  5. 第4章 友だちのイヤなところを変えてもらう―対決のわたしメッセージ
  6. 第5章 意見対立!うまく話し合うには―勝負なし法
  7. 第6章 タイプが違う子ともなかよくなれる―価値観の対立をとく方法
  8. 第7章 大切な友だちが悩んでいたら―援助的な聞き方
(目次から抜粋)
なんとなく期待せずに買って読んでみたら、これは当たり本!!目からうろこ。これをもっと早く読んでおけば・・・・。

簡単に内容を説明。著者は親業訓練インストラクターとして、親子関係や周りの人との関係を、もっと心が通うものにするにはどうしたらよいかということを伝える活動をしてきたらしい。そして、わが子を通して中高生がとても生きにくい状況であることを知って、彼らをサポートしたいと思われたようだ。そして、「話す」と「聞く」ということについてどうしたらよいかと悩む中高生の事例を漫画で示し、それについての解説と解決策が文章で示されている。

考えてみようという著者のコラムがあり、その部分にいいことが多く示されている。内容紹介はそっちのけで、以下は完全に自分専用のメモ。まずは「わたしらしさ」ということについて。
 心が成長していくと、「これがわたしらしさかな」と思えるようになり、「この自分でいい」と自分を認める気持ちが大きくなります。さらに「この自分でこれからもやっていけるぞ」と自信もわいてきます。これがアイデンティティの確立なのです。
(pp.30)
自分はまだ、アイデンティティの確立に至っていないようだ。

能動的な聞き方について。
 能動的な聞き方とは、「相手はいま、どんな気持ちなのかな」と相手の気持ちを考えながら話を聞き、自分が理解したことをことばにして相手に返しながら聞く、という聞き方です。カウンセリングなどで悩みを抱えた人の話を聞くときによく使われる技法です。特別な聞き方なのですが、相手の反発を受け止めるのにとても効果的です。
 こうした能動的な聞き方で対応されると、相手は自分の気持ちをわかってくれたんだ、と理解することができます。自分が尊重されていることがわかるので、安心してあなたと話をする気持ちになるのです。
(pp.40)
この本では特にこの能動的な聞き方がポイントとして示されている。これがうまく使えると、対人関係がずいぶんよくなるのではないかと思う。

「友だち」というタイトルの考えてみようのコラムから。
 あなたがありのままの自分を見せても平気な人は誰でしょうか。お互いにありのままでいることができ、「この子はわたしのことをわかっている、わたしを信じてくれる」と思うことができる友だちが親友です。そしてお互いに相手を思いやり、相手を尊重する心が友情です。だから、自分の心の内を知られることを恐れていたら、友情は生まれません。ひしひとりでも親しくしたいと願う友だちがいたら、率直に話してみましょう。率直に思いを伝えあうことから、信頼関係づくりは始まります。まずあなたが率直になることで、友だちの心に一歩近づくことができるのです。
(pp.48)
この本でここが一番自分にとって重要だった。

「思いこみ」から。
 たしかに「断ったらきらわれる」場合もあります。でも「断ったらきらわれるとは限らない」のです。何か迷うときには、自分のこの考えは「思いこみ」かも?と考えてみましょう。
(pp.68)
ひっこみ型の自分にとっては、断るということがなかなかできない。ついつい相手との関係を気にしすぎて。それは、思いこみにすぎない、と思いこもう。

最後の抜粋は、「本当の欲求」から。
 前にも欲求を知ることの大切さについてお話しました。欲求は「自分らしさ」なのであり、自分らしく生きていくためには、大切にしたいものなのです。対立を恐れて、自分の欲求を封じ込めてしまっては、かけがえのない存在である自分を大切にして生きているとはいえません。自分の欲求に気づいたら、顔をあげて、率直に伝えてみませんか?勝負なし法が、それを手伝ってくれるでしょう。
(pp.132)
なるほどなと思った。自分らしく生きていなかったのかなと思った。

他にも、いつも自分の感情をあらわさないようにおさえ込んでいると、だんだん自分の気持ちがわからなくなってしまうようだ。だから、自分の感情を正直に話すことも重要なようだ。

漫画は、かなしろにゃんこという人のもので、少女漫画風の絵柄である。少女漫画にありがちな絵の線が細すぎて読みにくかったりせず、うけつけない絵柄ではない。割と万人受けする絵柄で、事例のほとんどが女子高生や女子中学生の視点で描かれている。

漫画カテゴリに設定したが、どちらかというと自己啓発や心理学的な側面が強い。

中高生向けに漫画で示されており、文章も2段組で著者が語りかけるようになっており、さらに漢字も少ないのでかなりわかりやすい内容となっている。

この本は、中高生向けに書かれたものだが、示されていることを大人が完全に知っているはずがないと思った。大人でも中高生でも、精神的な成熟度の違いはあるが、対人コミュニケーションの本質が変わるわけではないので、大人も同じように悩むと思う。その具体的な解決策が示されており、大人が読んでも十分役に立てられると思う。特に、孤立しがちで自己主張があまりできず、感情に乏しい傍観者で、『準ひきこもり』の特性を持つ自分にとっては、これは本当に目からうろこだった。本当に。高校生時代の自分に読ませてやりたいと思ったが、初版出版が2005年7月15日なので、そうもいかず。

この本を中高生のうちから読んでおけば、対人関係での悩みをかなり軽減できるのではないかなと思う。そして、人間関係も円滑になり、周りに人が集まってくるような魅力を得ることができると思う。

対人関係や他者とのコミュニケーションで悩んでいる人は、絶対読むべし m9(・∀・)ビシッ

読むべき人:
  • 対人関係で悩む中高生の人
  • コミュニケーション能力に自信がない人
  • 準引きこもりの人
Amazon.co.jpで『松本啓子』の他の本を見る
Amazon.co.jpで『かなしろにゃんこ』の他の作品を見る

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June 03, 2008

アポロの歌


アポロの歌(1)  アポロの歌(2)

キーワード:
 手塚治虫、愛、苦しみ、SF、月桂樹
手塚治虫の漫画。2巻で完結。2巻の最初にちょうどよいあらすじがあるので、その部分を抜粋。
子供の頃、
両親の愛を受けずに育った近石昭吾は、
心に病を持ち、
動物に対して異常な増悪を持つようになった。
そして、警察から病院へ送られた昭吾は、
そこで治療を受けることになる。
しかし、神は彼に、
永遠に解き放たれない運命を与えた。
それは―
死んで再び生まれ変わろうとも、
ひとりの女を愛し、
結ばれぬ恋をするであろう・・・と―。
そして昭吾は
試練の人生を繰り返すことになる―。
(2巻の前巻のストーリーから抜粋)
本編は以下のような5章編成になっている。
  1. 第1章 デイ・ブルーメン・ウント・ダス・ライヘ(花と死体)
  2. 第2章 人間番外地
  3. 第3章 コーチ
  4. 第4章 女王シグマ
  5. 第5章 ふたりだけの丘
舞台は幅広い。1章では大戦中のドイツ、2章は無人島、3章は箱根の山、4章は合成人が支配する未来の日本、5章は物語の起点となった世界の箱根の山。

昭吾は常に同じ人間に惹かれることになるが、結ばれる直前や結ばれた直後に、必ずどちらかが死ぬ運命にあり、その運命に翻弄されて苦しみ続ける。愛することはすばらしいが、苦しみを伴うというメッセージがこめられている。

女王シグマという話が一番面白かった。未来の世界では、光化学スモッグにより人間は死滅しそうになっていて、そこから人間をベースとした合成人間を作り出した。合成人間は、人間よりも能力的に優れているが、やがて人間を支配するようになる。合成人間は都会人の合理性を追求した結果なので、性器を持たず、愛情を表現することができない。そこで合成人の女王シグマは、人間の奴隷である昭吾に愛の証明を迫る。

しかし、昭吾は女王暗殺の指令を受けている。合成人の女王の愛の真似事に反発し続け、女王を何度も殺すが、合成人である女王は何度でもクローンでよみがえり、昭吾に迫る。結局は、お互いに心が通じ合うが、そのときは運命どおりに二人とも死んでしまうという話。

どの話も決して報われず、永遠の苦しみが待っている。とてもやりきれない内容だと思った。

あとがきは手塚自身によるもの。曰く、主人公は手塚作品の中でもかげの多い人物で、はっきり劇画タッチに変えているようだ。その当時は虫プロのゴタゴタに巻き込まれて、余計に暗くてやりきれない内容となっているらしい。

火の鳥の未来編のような感じで、何度も生と死を繰り返している。

愛とは何か?

愛のために苦悩するのか?

ということがよく現れている作品だと思う。久しぶりに手塚作品の中であたりだった。心情を投射しすぎると、読むのに少し辛い作品でもある。

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • 愛することができない人
  • 愛とは何か?を考えたい人
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May 23, 2008

椎名大百貨店


椎名大百貨店 (サンデーGXコミックス)

キーワード:
 椎名高志、短編集、パンドラの箱、妖怪、ダメ人間賛歌
サンデーの人気漫画化の短編集。収録タイトルは以下になる。
  1. GSホームズ極楽大作戦!! 血を吸う探偵
  2. パンドラ BOX1 美少女は空から落ちてくるか?
  3. パンドラ BOX2 それで人生は変わるのか?
  4. パンドラ BOX3 箱入り娘は一人だけか?
  5. TIME SLIPPING BEAUTY 前編
  6. TIME SLIPPING BEAUTY 後編
  7. 蜘蛛巣姫
この漫画でこの書評ブログで取り上げたものが300冊目になる。うーん、記念すべき300冊目がこの漫画でよかったのだろうか・・・。まぁいいか。

『GSホームズ極楽大作戦!!』はGS美神の外伝になるようで、この巻では2話目になり、1話目は『椎名百貨店超GSホームズ極楽大作戦!! (少年サンデーコミックス)』に収録されているようだ。こちらはまだ前巻が未チェックなので、この話はまだ読んでない。早く買わなければ。GS美神のピートとマリアが出てくるらしい。

『パンドラ』は2浪のさえない男の前にある日パンドラの箱が空から降ってきて、美少女パンドラと1年無事に過ごせば世界が救われるという話。ばかげている設定がこの漫画家らしい。そしてあとがきにも漫画家自信、ダメ人間の血の叫びと示している。それでもこの話歯は好きだ。この漫画家の作品にはダメ人間が多く出てきて、そこが面白い。

『TIME SLIPPING BEAUTY』は時間能力を持つ妖怪御破時鬼に取り付かれている女子高生が、時間を越えて事件事故から人々を救う話。いろいろ考えさせられる。

『蜘蛛巣姫』は時代劇物で、妖怪の蜘蛛に好かれた男の話。これもいい。

面白かった。短編もいいね。この漫画家の作品は好きだ。他にも以下がある。

GS美神極楽大作戦!! 1 新装版 (1) (少年サンデーコミックスワイド版)
この漫画から好きになった。代表作だろう。地縛霊退治、妖怪退治から神様の話までスケールが大きい。何よりもキャラが立っているのがいいね。特に横島。煩悩の塊でダメなやつだけど、だんだん成長して強くなっていくのがいい。魅力的な女性キャラもたくさん出てくるし。これは既に完結している。


絶対可憐チルドレン 1 (1)
現在サンデーに連載されている作品。超能力を持った少女が政府御用達組織に所属し、超能力バトルを繰り広げるサイキック漫画。これもキャラが立っているのがいい。面白い。最近テレ東でアニメ化されたらしい

この漫画家の絵柄は、女性キャラほど魅力的に描かれている。たぶん作者の願望が入っているのだと思う。主人公に都合のよい女が出てくる反面、わがままで意地っ張りだったりツンデレだったりするキャラも出てくる。あと、やたらにダメ人間も出てくるし。欲望に忠実なやつとか。

また、なんともいえないノリ突っ込みのギャグ要素も面白くてついつい笑ってしまう。ギャグがあると思えば、かたや切ない話のときもあって、物語に引き込まれる。

読むべき人:
  • 椎名高志が好きな人
  • 妖怪や神話が好きな人
  • 自分はダメ人間だと思う人
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May 18, 2008

最近読み始めた漫画

最近読み始めた漫画を列挙してみる。漫画は基本的に完結したものしか書評しないことにしているので、以下はまだ未完結ものなので、簡単に感想を示しておく。


神の雫 (1) (モーニングKC (1422))
ワイン漫画。絵がかなり綺麗で自分好み。ワインブームに一役買っているとか。ワインに詳しくなりたくて買っている。


専務島耕作 1 (1) (モーニングKC)
人気企業漫画。ヤング、課長、部長まで読んで、これは手元に買って読んでいる。
課長島耕作 1 新装版 (1) (モーニングKC)
最近課長が新装版になったようなので、全巻そろえるか。常務はまだ読んでないし。日本企業の組織やサラリーマンの群像劇が勉強になる。


マネーの拳 1 (1) (ビッグコミックス)
ドラゴン桜の著者のビジネス漫画。紀伊国屋のForestで特集が組まれていたのでなんとなく買ってみたら面白かった。ドラゴン桜で受験、銀のアンカーで就職、エンゼルバンクで転職、そしてこのマネーの拳で起業をテーマにしている。相変わらず、絵は自分好みでなく、表情がやたら大げさに描かれているが。しかし、商売の本質が示されていて勉強になる。


王様の仕立て屋―サルト・フィニート (1) (ジャンプ・コミックスデラックス)
今日買ったのがこの漫画。スーツに詳しくなろうと思って買ってみた。なんだか、職人とは何かということがよくわかる。ブラックジャックみたいな展開が多い。価値のわからないやつには大金をふっかけるが、人情で仕事をするときは格安になる。そんなところが面白いかも。


美味しんぼ (1) (ビッグコミックス)
最近とうとう主人公・山岡士郎と、確執関係にあった父親の海原雄山が「突然」和解というニュースが流れたので、気になったので・・・。まぁ、以前チラッと読んだときに食は深いなと思って。また、腎臓病を患っていて、食事制限をしなければならないので、余計に食に関して貪欲になったので食に詳しくなりたいと思って1巻を買った。1巻を買ってしまったので、100巻以上を買い続けることになる・・・。まぁ、いいけど。

他にもまだ買っていないけど、
バーテンダー (Vol.1) (ジャンプ・コミックスデラックス)
も面白い。これは漫画喫茶で読んでいたので、そのうち買って手元においておこう。

これらの漫画はどれもとても勉強になる。その分野の解説もかなり詳しいからね。これらはどれも職やビジネスなどのこだわりが多く示されていて、普通の自己啓発本を読むより含蓄がある場合がある。一流であるとはどういうことかという本質が示されてて、自分の仕事はどうだろうか?と振り返ってしまう。

大人になったら楽しめる漫画というのもあるんだなぁと思った。特にこのような教養系漫画はいいね。もちろん、友情、努力、勝利の冒険漫画も好きで、いまだに週刊少年ジャンプを買っている。ONE PIECEとHUNTER×HUNTERが毎週楽しみ。

いつも漫画カテゴリは手塚治虫作品しか挙げないのは、1巻完結のものが多いから。他の作品はまだ連載中で、1巻ごとに書評するのもなんか違うなと思って。やはり最終巻まで読んで判断したいと思うから。

たまにはこういう特集エントリもいいね。


May 06, 2008

日本発狂


日本発狂 (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)

キーワード:
 手塚治虫、幽霊、UFO、戦争、恋物語
手塚治虫のSF漫画。

定時制高校に通う主人公、イッチは夜の帰り道に幽霊の行進を目撃する。また、さらにその後駅で女子高生松本くるみの幽霊と出会い、そこからあの世、この世を含めた世界の混乱に巻き込まれていくという物語。

以下ネタバレを含むの注意。

死んだら魂があの世に行ってしまい、あの世では戦争が起きているという世界観。そしてあの世で正常に死ぬと、この世で記憶がすべてなくなって赤ん坊に転生するという設定。あの世で消滅すると完全に無になるようだ。そしてイッチは松本を追いかけるために自らも死んであの世に行ってしまい、最終的には、お互い新たに転生して出会うことを約束する。

イッチとくるみの恋物語がメインになっている。ストーリーは結構急展開で、そこまで練られたものではないかなと思った。でも印象に残ったセリフがあるので抜粋。
イッチ:なぜ生と死があるんだろう・・・・
くるみ:わかんないわ・・・・

イッチ:どっちの世界だって住みにくい点ではおんなしじゃないか・・・・
くるみ:肉体があるのとないのとのちがいね

イッチ:この世界ではからだがあれば感覚も運動もある 苦しみやいたみもある

イッチ:そのかわり何か ちからいっぱいやろうと思えばやれる・・・・・

イッチ:からだがなけりゃ精神的に苦しんでもなんにもできやしないんだ
(pp.160-161)
これが手塚のメッセージなんじゃないかなと思った。

設定的には結構面白かった。幽霊が出てきたり、あの世とこの世の世界観、幽霊が乗るものがUFOであり、死神がいたり。

読むべき人:
  • あの世に関心がある人
  • 死生観を考えたい人
  • 恋物語が好きな人
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March 16, 2008

孤独のグルメ

キーワード:
 久住昌之 / 谷口ジロー、孤独、グルメ、哀愁、野武士
地味に売れ続けている人気漫画、孤独のグルメ。個人で輸入雑貨の仕入れを営んでいる主人公、井之頭五郎は常に空腹で食いたいものを探している。そして、常に独りでどこかの飯屋にたどり着き、食べるものを一口ずつ吟味しながら評価している。そこには食べることへの独特の美意識があり、どこか哀愁さえ漂う。そんな漫画。

以下のようなグルメとなっている。
  1. 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス
  2. 東京都武蔵野市吉祥寺の廻転寿司
  3. 東京都台東区浅草の豆かん
  4. 東京都北区赤羽の鰻丼
  5. 群馬県高崎市の焼きまんじゅう
  6. 東京発新幹線ひかり55号のシュウマイ
  7. 大阪府大阪市北区中津のたこ焼き
  8. 京浜工業地帯を経て川崎セメント通りの焼き肉
  9. 神奈川県藤沢市江ノ島の江ノ島丼
  10. 東京都杉並区西荻窪のおまかせ定食
  11. 東京都練馬区石神井公園のカレー丼とおでん
  12. 東京都板橋区大山町のハンバーグ・ランチ
  13. 東京都渋谷区神宮球場のウィンナー・カレー
  14. 東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ
  15. 東京都内某所の深夜のコンビニ・フーズ
  16. 東京都豊島区池袋のデパート屋上のさぬきうどん
  17. 東京都千代田区秋葉原のカツサンド
  18. 東京都渋谷区渋谷百軒店の大盛り焼きそばと餃子
  19. 釜石の石割り桜 あとがきにかえて 久住昌之
この漫画はよく、ネットで話題になっていて、なんだか怪しい雰囲気だなと思っていた。けれど、実際に読んでみると、共感できる部分が多い。なかでも、この漫画が好きな人なら確実に琴線に触れるだろうセリフがある。以下抜粋。
モノを食べる時はね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあ
ダメなんだ

独りで静かで
豊かで……
(pp.123)
この部分に思わす赤い蛍光ペンでマークした。この部分に共感できる人は、孤独のグルメの仲間入り確定だよ。自分はもちろん、孤独のグルメ派で。

このセリフがとても共感できる。というのも、自分は腎臓病を患っており、腎臓の負担を抑えるためにたんぱく質の1日の合計摂取量が40g、塩分は10gという食事制限を行っている。そのため、普通に外食をするのが難しい。朝と夜に腎臓病食を食べるなら、なんとか低たんぱくな食事を外で食える。そういった状態から、食べることに対する意識が大きく変わった。そしてこの漫画のように、普通に外食を一食食べるときは本当に味わって、内面が満たされていくような気分になる。それは誰にも邪魔されていはいけない。独りで、まだなんとか食べられることに感謝するという境地。だから、基本的に外で食うものは何を食ってもうまいと感じる。

面白いのはこの漫画そのものだけではなく、原作者のあとがき部分かな。久住昌之氏は小心気味で、入ったことのない定食屋に入るのを躊躇するようだ。そして障子戸をガラっとあけて何の躊躇もなく定食屋にズンズン入り、ドカっとすわり、「オヤジ、飯だ」と怒鳴るような野武士のような態度にあこがれるらしい。自分もなんとなく分かる気がする。常連がいそうな古びた中華屋とか定食屋に独りで入るのは、いつも勇気がいる。そういうのも共感できて、面白かった。

孤独のグルメ。自分はきっと当分これを続けていくと思う。誰かと食べるとね、普段食べられないものをじっくり味わうことができないからね。自分にとってはこの漫画はバイブルかもしれない。続きが連載されないかね。

読むべき人:
  • 独りが好きな人
  • 食事に独りでいけない人
  • 食事制限をしている人
Amazon.co.jpで『久住昌之』の他の作品を見る
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February 17, 2008

デビルマン 愛蔵版


デビルマン 愛蔵版

キーワード:
 永井豪、悪魔人間、サタン、アルマゲドン、心
デビルマンの豪華愛蔵版。全話収録の1,000ページ超のボリューム。ずっと前から読みたいと思っていたが、読む機会がなかった。最近になって愛蔵版が出たので、すかさず購入。

あらすじは省略。簡単に感想を。

劇画タッチの漫画だなと思った。また、救われない内容だなと思った。最初は不動明がデーモンと融合し、人間の心を持ちながら悪魔の体を手に入れ、人びとを守るために自分の住む街に出現するデーモンと戦っていく。次第に話は世界、地球とスケールアップしていく。

劇画で、グロテスクな描写も多い。残酷で救われない世界観が表現されている。人間とは何か、心とは何かがよく分かるような気がする。

昔の作品なので、展開が早い。もっと綿密に練った物語だったらより面白かったかもしれないが、これはこれでよいのだろうなとも思った。

また、1,000ページもあるので、1日で読むのはかなり大変。かといっていっきに読まないと、面白さというか、ダイナミクスが損なわれるので、時間を取っていっきに読むのがいいと思う。

数年前に映画化されたものは見る価値なしらしいので、見ないことにしよう。

あと、絶望系漫画なら『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン』もぜひチェック。

読むべき人:
  • デビルマンを読んだことない人
  • スケールの大きな物語が好きな人
  • 人間とは何か?を考えたい人
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February 03, 2008

エンゼルバンク 1


エンゼルバンク 1

キーワード:
 三田紀房、転職、キャリア、相場、チューニング
ドラゴン桜の外伝で、社会人のための転職指南漫画。漫画は基本的に完結しなければ取り上げないことにしていたんだけど、これはとても勉強になるからちょっと例外扱い。

簡単にストーリーを。

龍山高校の英語教師井野が、教員に飽きてきたことから転職を考えるようになる。その頃受験合格請負人であった桜木は、他の高校を再建させつつビジネス塾も開催していた。井野は同僚の勧めで桜木のセミナーに参加し、そこで桜木から転職代理人海老沢を紹介され、井野の転職物語が始まる。

ドラゴン桜』、『銀のアンカー』と同じようにおなじみの問答法で物語が進む。

今回のポイントは以下。
  • 人の価値は相場で決まる
  • 30歳過ぎたら利息で暮らせ
  • 信頼というのは結果・・・成功した後に得られればいいんだよ
  • 転職は人生のチューニング
ネタばれするのもよろしくないので、詳しい内容は読んでみるべし!!

途中にリクルートの転職代理人による転職模擬面接のアドバイスが載っている。なるほど思うことが多い。

こんなサイトがあった。エンゼルバンクSPECIAL EDITION―転職支援のリクルートエージェント

正直、絵は相変わらず自分好みではないなと思うけど、勉強になることが多い。今回は、転職は人生のリセットにはならず、必ず仕事のどこかで我慢をしなくてはならないという部分がなるほどと思った。

これから転職しようかなと思っている人や、仕事に疑問を持っている人は必読かも。転職に関して勉強になるが、自分は今のところまったく転職しようという気はない。まったく不満がないわけではないが、今の組織で必死で頑張ろうと思っているから。それでも勉強になる部分は取り入れていきたい。

読むべき人:
  • 転職を考えている人
  • 仕事がつまらないと思っている人
  • 成功したい人
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November 30, 2007

やけっぱちのマリア


やけっぱちのマリア

キーワード:
 手塚治虫、性教育、ラブコメ、オカルト、ダッチワイフ
手塚治虫による性教育漫画。ストーリーは、やけっぱちという荒くれの中学生の男子が妊娠したと思い込むことから始まる。やけっぱちは母親を幼いときになくしており、そのため愛情に飢えていたので、やけっぱちの内面で女性を作っていたようだ。それがエクトプラズムとなってやけっぱちの体から出てきて、やけっぱちの父親が作ったダッチワイフに乗り移って生き人形、やけっぱちのマリアとなる。

全編が性教育ベースになっている。精子と卵子の描写であったり、男女の体つきの特徴などなど。例えば、手塚治虫によれば結婚とは以下のようなことを示すようだ。
男の人と女の人が 愛しあって結婚する
それは 男の人が自分のからだの中の
セイシを 女の人のからだの中のランシに
くっつけてもいい ということなんです

心から信じあっている
男の人と女の人が
結婚したあと
愛しあい
セイシと
ランシとを
くっつけます

そうすると
子どもができます
・・・・・これを結婚というのです
だから 結婚とは
ただの儀式じゃなくて
重大な 神聖ないとなみです
(pp.265-266)
これによると、婚前交渉はきっと神聖ではないようだ。。。

物語としてもそれなりに面白い。自分の中から生まれたマリアをやけっぱちは好きになるが、学園の女王様がやけっぱちのことを好きで、下僕どもをけしかけてマリアをさらったりしたりする。けれど、女王様はやけっぱちにはまったく相手にされず、マリアを貶めたりする。最後には、やけっぱちは普通の女の子に恋をして、マリアはいなくなる。

笑ったのが、『ゼッタイに彼女にきらわれるタイプ』というのが図説で1ページも使っているところ。『ズボンのポケットになんでもかんでも入れてふくらませるとイナカモノにみられるよ』とか『彼女と話すときビンボウユスリはよそう』とか。手塚自身の実体験なのかなとか思ったwww

それにしてもダッチワイフとは・・・。40年前の小学生くらいの読者がダッチワイフが何なのか分かるのかなぁと思った。漸進的だ。

読むべき人:
  • ラブコメが好きな人
  • オカルトものが好きな人
  • 性教育漫画を読みたい人
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September 16, 2007

キャプテンKen


キャプテンKen

キーワード:
 手塚治虫、SF、火星人、戦争、火星撃ち
手塚治虫のSF作品。火星での西部劇が舞台。ある日、地球人が火星に侵略し、火星人モロ族を奴隷として虐げ、火星を地球人が支配しているという世界。モロ族は地球人に反乱を起こそうとしており、またモロ族との対立を避けるように言う地球人の主人公ケンがある目的を達するために火星にやってくる。

戦争を描いた作品。憎しみあっていてはいけない、そんなテーマ。

ロボットでできたウマとか宇宙船とかSFっぽいものが結構出てくる。また、主人公キャプテンケンの正体も謎のまま中盤まで進む。結構面白い設定だと思う。

また手塚作品によく見られる同じキャラが他の作品にも登場するスターシステムにより、ランプが悪役として出てくる。それもよかった。

手塚作品は、簡単にハッピーエンドにならないものが多い。これもそんな作品。

この作品の巻末に手塚自身のあとがきが載っている。

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • 西部劇が好きな人
  • 戦争ものが好きな人
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July 01, 2007

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン


真説 ザ・ワールド・イズ・マイン

キーワード:
 新井英樹、叙事詩、暴力、道徳の教科書、神
何気なく2chのまとめサイトにあった鬱になる漫画にこの作品が載っていたので買って読んでみた。衝撃の一言に尽きる。なんじゃこれは!?なぜ自分はこの作品を今まで読んでいなかったのか!!と思った。全5巻。1巻が600ページもある超大作。

あらすじとか書くとめんどくさいし、ネタバレもするので、それはwikipediaの記事にまかせるのでそちらを参照してほしい。

キーワードに5つ挙げたけど、正直それだけでは足りないんだよね。以下にもっと重要なキーワードを列挙。
  • 大量殺戮
  • ヒグマドン
  • 怪獣
  • 不条理
  • 自衛隊
  • なぜ殺すのか
  • 凶悪
  • 神話
  • アニミズム
  • 絶望
  • 暴力
  • 人質事件
  • 同時多発テロ
  • 預言者
  • 運命
  • カリスマ
  • 俺は俺を肯定する
  • 実存主義

  • 新世界
物語に関してはここでは触れない。長いし。書き出したらキリがないし。このキーワードから一体なにをイメージできるかな。タイトルを直訳すると『世界は俺のモンだ!!』って感じたしね。

とはいえ、説明不足ではこの記事が進まないので、物語のほんのさわりだけを説明すると、モンとトシは東北地方を北上しながら消火器型爆弾をしかけていく。そしてマシンガンや手榴弾を手にし、無差別に大量殺人を行いながら警察の捜査から逃れていく。その一方、北海道で隕石が落ち、そこから巨大なヒグマが出現し、津軽海峡を超え、青森をくだり、秋田の街で大暴れし、街を壊滅させる。そして大量殺人を行う2人組み、トシとモンは怪獣のごとき巨大ヒグマ、ヒグマドンと遭遇する。そして・・・。

後は適当に感想を。

まず、扱うテーマが重いなと思った。昨今の少年犯罪の凶悪化、人質立てこもり事件により警官の殉職、アメリカでの同時多発テロ。それらのどれもが予見されたかのような物語。この作品自体は1997年から2001年まで連載されて完結を迎えたが、今読んで見ると未来を予感しているような気もする。

物語は徹底的に人が殺されまくって進行する。その描写もかなりグロテスクで詳細なものになっている。臓物が飛び出ていたり、バラバラにされたりとか・・・。気分が悪くなるような描写。そして、主人公は容赦なく道行く一般人を殺す。物を破壊するように。そこには明確な理由などなく、あえて言えば生きているからと語る。徹底的に殺しまくっていくことで、生きること、死ぬことなどを問い詰めているのだと思う。と自分が解説したところで力不足で陳腐なものに成り下がる・・・・。

あとは画力が何よりもある。ヒグマドンが秋田の町を暴れて破壊しまくるところは圧巻。怪獣映画を見ているような気にさせてくれる。それと同時に自分もその場に居合わせるような緊迫感も抱く。

物語構成というか登場人物のそれぞれのキャラ、主義主張も面白い。総理大臣、部下を虐殺されて降格した警部補、アメリカ大統領、主人公に殺される人、加害者の家族、警察の内部などなど。それぞれがとても重く強いセリフを語る。それらは本当に衝撃的で。ここは読んでのお楽しみだな。

本当にいろいろ考えさせられたなと思った。ただの娯楽作品じゃないよこれは。少なくとも自分は『罪と罰』を読了したときのように衝撃を受けた。物語単体としても先がまったく読めなくて面白かったので、最後4巻は2日で一気に読んだ。うーん、自分がここに感想を書けば書くほどすごさがあまり伝えられない気がしてきて・・・。

結末は言えない。言ったらさすがに面白さが半減する。ただ、こんな時代だからこそこの作品を読んでおくべきではないかと思う。各巻の冒頭に作者のインタビューがあるのだけど、作者曰く道徳の教科書のつもりで描いたようだ。暴力描写、グロテスクなもの、思想的なものが受け付けない人は読むべきではないかもしれないが。

衝撃作。ただ、読んで単純に鵜呑みにしないで自分の中で整理する必要がある。この作品は間違いなく自分の中の衝撃漫画トップ5に入る。他は『火の鳥』、『ドラゴンヘッド』、『寄生獣』とかだね。これらの作品が好きなら間違いない。

読むべき人:
  • 衝撃作品を読みたい人
  • 哲学的な思索が好きな人
  • 絶望的な物語が好きな人
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February 12, 2007

魔神ガロン


魔神ガロン

キーワード:
 手塚治虫、ロボット、宇宙人、愚行、戦争
手塚治虫の漫画。ある日宇宙から人型の大きなロボットが隕石のように落ちてきた。それはあらゆるものを破壊しようとしていた。それは宇宙人が地球が善良な存在かどうかを確かめるために送り込まれたもので、もし善良でないと判断されたときには地球は滅ぼされてしまうというもの。そしてそのロボット、ガロン欲しさにあらゆる地球の悪党が愚行を繰り返すという話。全3巻。

正直そこまで面白くないなと思った。ガロンが暴れているだけの漫画のように思えた。ガロンの部品の一部であるピックという子供の存在がいるが、何かピックに危機が迫るとガロンを呼び、ガロンが敵を粉砕するということが繰り返し描かれている。そして最終的なテーマとしては、人類は戦争などの愚行を繰り返しているべきではないということだろう。

まぁ、手塚作品にも外れはあるのだろう。

読むべき人:
  • SF作品が好きな人
  • ロボット者が好きな人
  • 単純な話が好きな人
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December 31, 2006

KUROZUKA-黒塚


KUROZUKA-黒塚

キーワード:
 夢枕獏、野口賢、歴史、SF、不死、伝奇ロマン、千年
作家、夢枕獏の戯曲作品、『黒塚』が野口賢によって漫画化されたもの。10巻で完結。

主人公は平安末期の源九郎義経。ある日、従者である弁慶と奥州の山小屋で妖艶な黒蜜という女と出会う。九郎は次第に黒蜜に引かれていき、黒蜜と血の交換を果たすことで不老になり、そして最強の肉体を手に入れる。そしてそれから千年後の世界で、九郎は黒蜜を捜し求め、また不老の秘密を暴こうとする勢力にも追われ、立ちふさがる強敵を切り倒していく・・・。

この漫画を読む前に原作のほうを読んでいた。原作は戯曲形式で、文庫本で600ページもあるが、文章は短くテンポよく読める。何よりも、設定や物語展開に引き込まれていき、一気に読んだ。その原作が漫画になったので読んでみた。

結構原作とは違う部分もある。超能力を持った敵の存在や九郎が目指す町などは脚色されている。それでも、物語展開は原作にっけう忠実だった。

この漫画の魅力は、まず設定だろうか。源義経が主人公であり、ある異人と血の交換を行って不老不死になった黒蜜、そして黒蜜が慕う九郎をも不老不死にし、九郎は100メートルを5秒台で走り、傷もすぐに治癒するという能力を持つ。そして九郎を取り巻く敵との戦闘シーンなども圧巻。また、時代も平安末期、昭和、平成、そして隕石衝突後の荒廃した未来の世界と変遷していく。そんなSF的な要素も多くあり、とても面白かった。

ただ絵柄が人によって好みが分かれるかもしれない。黒い線が多く、全体的に暗い感じがする。剣術による戦闘シーンもたまにどのように描いているのかがよく分からなくなる。また、結構グロテスクな描写も多い。

漫画のカバーは光っていて豪華な感じがする。

原作と両方読めば面白さが向上することは間違いない。

読むべき人:
  • 歴史漫画が好きな人
  • 伝奇ロマンが好きな人
  • 戦闘漫画が好きな人
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November 12, 2006

ザ・クレーター


ザ・クレーター

キーワード:
 手塚治虫、短編、ミステリー、複雑怪奇、起承転結
手塚治虫の短編作品。全2巻。

1話ごとに複雑怪奇な物語が展開する。簡単に言えば世にも奇妙な物語に出てきそうなものが多い。

例えば、大学で化学兵器を研究している男が、ある夜に教室で学生を発見する。しかし、その学生は戦時中の学生の幽霊らしく、軍で化学兵器を作っていたようだ。その学生が戦時中に開発中の化学兵器の恐ろしさを知らしめるために、自らにそれを使った。そして体が解けて骨だけになり、その骨が、大学に標本として戻ってきた。それを知った男は、同じように化学兵器研究を破棄しようとするが、大学で盛んになっていた学生デモに巻き込まれて、幽霊となった学生のように化学兵器を浴びることになって解けて死んでしまうというような話。

このように、結構シュールで人が死んだりするものが多い。他にも宇宙人が出てきたり、未来から過去を変えようとやってきたりする人間がいたり、平安時代の呪いの仮面の話だったり、古代メキシコのいけにえの話だったりと幅広い。そのどれもが、かなり練られた内容となっている。1話がだいたい30ページほどだが、どれも起承転結の構造を持つ。幅広いジャンルが描かれているので、ものすごい想像力だなと思う。

印象に残ったもので、漫画家になるか大学に進学して会社員か迷っている学生の話がある。ある日迷っていたら、見知らぬ老婆にコインで決めろといわれ、主人公は漫画家になる。また、その老婆からは、別の運命に一度だけ変更できると聞かされていた。その後、主人公は漫画家として成功するが、かきたい漫画がかけず、いやになって別の運命に変更することを選ぶ。しかし、変更した後にまた漫画家になりたいと思ったら破滅すると老婆から聞かされていて、最後にはやはり漫画家になりたいと思い、破滅するという話。

この話は、なんだか手塚自身のスランプ時の心理描写のような気がする。かいてもかいてもいいものができず、壁にぶち当たり苦しみを知ったという一コマがあるが、まさにそう考えていたのではないかと思う。

長編作品もかなり話が練られていて面白いが、短編もまた独特の面白さを持っている。

読むべき人:
  • シュールな短編作品が好きな人
  • 手塚治虫の短編を読んだことがない人
  • 世にも奇妙な物語が好きな人
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October 15, 2006

ユフラテの樹

ユフラテの樹

キーワード:
 手塚治虫、禁断の実、選民、高校生、超能力
手塚治虫のマンガ。ある日、高校生3人が、ある島に調査にやってきた。その島は、個人所有のもので、専門家による調査は行われていなかった。その島では、記録をとろうとすると動物たちがその記録を持ち出していってしまう。その島の奥地には、禁断の実がなるユフラテの樹がある。

その実を食べると、超能力を身につけらる。高校生3人はその実を食べることによって、超能力を身につけ、やがてそのうちの一人は、世界制服をたくらむようになるというような話。

悪人は裁かれて当然といった描写や、自分こそがこの世界の支配者だという思い上がりなどは、最近のマンガのDEATH NOTEに似ている。もちろん、ユフラテの樹のほうが古いんだけど、かなり似ているなと思った。

もし、人知を超える力を手に入れてしまったら人はどうなるのか?ということがよく分かる作品だと思った。人間の弱さや醜さが結構描かれていて面白かった。

読むべき人:
  • 超能力が好きな人
  • デスノートが好きな人
  • 行き過ぎた科学はよくない結果をもたらすと思う人
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October 08, 2006

夢で逢えたら


夢で逢えたら

キーワード:
 山花典之、ラブコメ、ハッピーエンド、マスオ、渚、ツンデレ
ビジネスジャンプで連載されていたマンガが、メディアファクトリーという出版社から文庫になったもの。ラブコメマンガ。

あらすじは、もてない会社員フグ野マスオが、お見合いパブで幼稚園の先生をしている超美人な潮崎渚に一目惚れ。そこから二人の不器用な恋愛が始まるというような話。文庫本で全8巻。

もてない主人公マスオが渚さんのために必死でがんばるところがとてもいいなと思う。なんだか自分もがんばろうと思えてくる。

渚はなんだかツンデレキャラのように思えてくる。素直ではなく、男嫌いで、泣いたり笑ったり怒ったりと感情の起伏が激しい。また、早とちりしたりしてマスオに冷たくしたりするけど、最後には誤解が解ける。

渚は超美人でいろんな男から言い寄られるけど、もてないマスオが必死でがんばる姿に惹かれて最後には結ばれるという話。

絵柄が自分好みだ。なんだかデフォルメされている部分もあって楽しく読める。マスオの姿がそのときの気持ちによってジェントルな紳士になったり、乞食のような格好になったり、とろけたりするのが見ていて楽しい。

初めて読んだのは高校生のときくらいで、立ち読みだった。最近文庫化されたので、手元に置いておきたいなと思って全巻買った。最近読んだマンガで一番よかったなと思った。誰かを必死で想うのはすばらしいことだなとか思った。

読むべき人:
  • もてない会社員の人
  • 山花典之のマンガが好きな人
  • 電車男が好きな人
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July 22, 2006

ミノタウロスの皿


ミノタウロスの皿

キーワード:
 藤子・F・不二雄、短編、SF、ブラック
藤子・F・不二雄の短編作品集。ドラえもんなどに比べるとかなりブラックな内容となっている。収録タイトルを列挙。
  1. オヤジ・ロック
  2. じじぬき
  3. 自分会議
  4. 間引き
  5. 3万3千平米
  6. 劇画・オバQ
  7. ドジ田ドジ朗の幸運
  8. T・Mは絶対に
  9. ミノタウロスの皿
  10. 一千年後の再開
  11. ヒョンヒョロ
  12. わが子スーパーマン
  13. コロリころげた木の根っ子
やたら死んだりするようなものが多い。ドラえもんを読んでいるような気でいると、落ちにものすごい落差を感じてしまう。

例えば、自分会議というものがあるが、これはさまざまな時代の『自分』が集まって現代の自分が手に入れた遺産について言い争いするという内容で、一番幼い自分がそんな自分の未来は見たくないと思い、自殺するというようなもの。他にも人が殺される内容のものある。

また、この本のタイトルになっているミノタウロスの皿は、一言で言えば、サルの惑星に似ている。牛と人間が逆転していて、人間が家畜になっている惑星に地球人の男が不時着するという内容。これはこれで、いろいろ考えさせられる内容だった。

短編は短編なりの面白さがあるのだと思った。

やっと、手塚作品以外の書評ができた。しばらくは、藤子・F・不二雄の短編も読んでいくか。

読むべき人:
  • 短編作品が好きな人
  • ブラックな内容が好きな人
  • SF的な内容が好きな人
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July 15, 2006

ジャングル大帝レオ


ジャングル大帝レオ

キーワード:
 手塚治虫、ジャングル、ダイジェスト版、動物、ライオン
いろいろなところで連載していたものをまとめたもの。以下のようになっている。
  1. ジャングル大帝/小学二年生版
  2. レオちゃん
  3. ジャングル大帝/小学一年生版
  4. ジャングル大帝 進め!レオ
小学生低学年向けなので、難しい話ではなく、勧善懲悪的物語。物語というよりは、一話短編の寄せ集めとなっている。また、それぞれの連載元が違うので、設定が違っていたりしていて、一貫性はない。

まぁ、小学生向けの作品なので、そこまで面白いものではない。ただ、白いライオンの小さいレオがかわいい。『レオちゃん』は服を着ていて、ペットのように人間に飼われている。

レオはジャングルの王子という設定はなんとなくいいなと思った。

それにしても、漫画カテゴリは手塚作品しか扱っていない・・・。他の漫画はまだ連載中ということもあって、書評しづらいから・・・。

読むべき人:
  • 小学生
  • 手塚作品は極めたい人
  • われこそはライオンだと思う人
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July 13, 2006

ナンバー7



ナンバー7 (1)
ナンバー7 (2)

キーワード:
 手塚治虫、SF、戦隊、7人、宇宙人、侵略
手塚治虫のSF作品。第3次世界大戦後に、放射能で汚染された地球に次々に宇宙人が侵略してくるが、7人による地球防衛隊が活躍するという物語。

まぁ、それなりに面白いが、物語が結構散漫になっているので、まとまりがない。終わり方も微妙だった。他の作品の『ノーマン』に似ている。

いろんな宇宙人が出てくるのが面白かった。

読むべき人:
  • 手塚作品は全て読みたい人
  • SF物が好きな人
  • 戦隊ものが好きな人
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June 11, 2006

ノーマン


ノーマン (1)
ノーマン (2)

キーワード:
 手塚治虫、SF作品、月、超能力、戦争、戦隊
手塚治虫の作品。2巻で完結。

簡単にあらすじを。

ある日、中条タクという少年は、銃を曲げて撃つことができる男と動物を自在に操る男とある場所に呼び出される。その後、彼らは異次元空間を通って5億年前の月に連れて行かれる。5億年前の月には人が住んでいて、文明も進んでいた。しかし、トカゲを祖先とするゲルダン人という宇宙人の侵略を受けていた。やつらは分裂、変身、毒ガス、念動、仮死ボールという5つの特殊能力を持ち、さらに残虐な性質も併せ持っていった。月に連れられた中条タクたちはそれぞれ超能力の持ち主で、ゲルダン人に対抗すべく集められた特殊能力戦隊の仲間になる。そして、ゲルダン人との攻防が始まる・・・。

特殊能力を持つ戦闘員が活躍するのが面白い。それぞれ、怪力、動物操作、念力、再生能力、分身、音速、透視、破壊脳波と、個性あふれるキャラたち。異星人が多く出てくるので、スタートレックを見ているような気分になってくる。

相変わらず、物語がしっかり練りこまれているなと思った。最初は謎が多く、引き込まれていく。だんだん後になって、物語の核の部分が分かってくる。手塚作品の冒険物などによくある構造だと思う。

あと、主要なキャラが容赦なく最後のほうで死んでいくのが印象的だった。ただ面白いだけでなく、侵略戦争のおろかさなどを表現しているのだろう。

ただ、最後の結末だけがどうもまとまって終わってないような気がした。展開が急に進んでいったような気がした。それでも、全体的に面白かった。

読むべき人:
  • 手塚治虫のファン
  • SF作品が好き
  • さまざまな特殊能力を持ったキャラが出てくる作品が好き



May 07, 2006

アドルフに告ぐ


アドルフに告ぐ (1)

キーワード:
 手塚治虫、アドルフ・ヒトラー、ナチス、歴史、ユダヤ人、日本人、ドイツ人、人種、正義、戦争
手塚治虫の漫画。実際に読んだのは文春文庫のほう。文庫の画像がないから単行本のほうを採用。文春文庫だと全5巻で完結。

物語は3人のアドルフの関係が描かれる。実在したナチスのアドルフ・ヒトラー、架空のドイツ人と日本人のハーフであるアドルフ・カウフマン、架空のユダヤ人でパン屋の息子のアドルフ・カミル。これら3人が主な登場人物で、ヒトラーがユダヤ人の血を引くという出生の秘密文書をめぐった壮大な物語。それぞれが人種の意義、正義の正当性、戦争状況下での狂気、また秘密文書をめぐったミステリアスな物語を彩る。内容はあまり語ると面白くなくなるので省略。面白いのは確か。

ヒトラーがユダヤ人説というのは手塚治虫の創作らしい。歴史的な史実にはそれなりに忠実に描かれているが、実際の登場人物よりも架空の人物によってこの物語が重層的に展開する。何よりも他の作品より登場人物がかなり多い。日本人から、ユダヤ人、ドイツ人最後にはパレスチナ解放戦線まで出てくるからややこしくなる。そもそもこの漫画は少年雑誌に連載されたものではなく、週刊文春に載ったもので大人向け作品となっている。そのため、手塚治虫本人が漫画中に出てきたり、独特のユーモアのあるコマ割などはほとんどない。絵柄も晩年のものであるので、キャラがデフォルメされていた初期作品とは一味違う。しかし、壮大な物語のテーマの捕らえ方、構造などは他の作品のようにしっかりと描かれている。よくこんな物語を思いつけたなと思う。

手塚作品はただ面白いだけではなく、何かを訴えるテーマがかならず示されている。この作品では、人種の違いによる根本的な相違とは何か、それぞれの信じる正義とはどういう意義があるのかといったことだと思う。世界中の人がこの漫画を読めば世界の現状の何かが変わるかもしれない。そんな作品。

全5巻を一気に読むのはかなり疲れると思われる。それでも面白いのは確か。

読むべき人:
 人種問題に関心がある、手塚治虫を極めたい、歴史が好き、戦争ものが好き、ナチスドイツの蛮行を知りたい


April 20, 2006

ブッダ


ブッダ (第6巻)

キーワード:
 仏教、ブッダ、手塚治虫、長編、苦行、生老病死、八正道、四苦八苦、漫画、壮大な物語、業

手塚治虫の漫画。全12巻。画像は6巻のもの。手塚作品の中で一番長い作品。12年ほどかかって完結したらしい。

内容は仏教の祖ブッダの一生を描いた作品。ある程度歴史に忠実な部分もあるが、半分ほどは著者の創作。

ブッダは『目覚めた人』という意味で、主人公である仏教創始者の本名はシッタルダである。シッタルダはネパールのシャカ族の王子として生まれるが、シャカ族は隣国に狙われていて、いろいろ事件に巻き込まれていく。そしてさまざまな事件が起こるにつれて、生死のことについて悩み、ついには出家する。最初は苦行を行っていくが、苦行は苦しいだけで、何も価値がないと悟る。ブッダ自身、さまざまなことを悩み苦しみながら悟りを開いていき、弟子ができ、世の中の真理を世界中の人に説くことが使命であると目覚める。最後には弟子に見守られながら死ぬ。

このような壮大な物語が、さまざまな境遇を持った登場人物によって彩られていく。特に、インドはバラモン教のカースト制度が幅を利かせているので、奴隷の身分であるスードラ、さらに奴隷以下のバリアという身分の登場人物が多く出てきて身分の不条理さ、生きることの苦しみなどを嘆いたりしている。

何でこの作品を読んだかというと、手塚作品にある生きることに対する執着、言ってみれば生命の尊厳を描いているし、自分の心境的に何かすがりたい状態であったから。かねてから仏教こそが現実的な宗教であると思っていたから、少し苦しみの根源を見るのも必要だと思って読んだ。

この作品のブッダは現人神でもなく、紛れもなく苦しみながら生きる1人の人間として描がかれているので、仏教の教義のあつかましさや押し付けがましいところは何もない。むしろ、壮大な歴史ロマン作品として読むと面白いと思う。

読了後、現実を受け入れるしかないことを改めて認識した。

読むべき人:
 世の中の不条理さに嘆いている人、苦しみの境地にある人、苦行には価値があるのか悩む人、病気で苦しんでいる人、歴史ロマンが好き、仏教に興味がある、不遇な登場人物に感情移入しやすい、インドの歴史が知りたい、悟りの境地に至りたい人、哲学的に思考したい人